こんにちは、イラストレーターのmococi(モコチ)です。
今回は、「イラストレーターとして『インボイス登録』はするべき?」というお題でお話したいと思います。
企業との取引の際に「インボイス登録しているかどうか」が、取引継続の鍵になる場面も増えてきました。
そもそも「インボイス」ってなに? 登録するとどうなるの?
今回はそんな「インボイス制度」について、イラストレーター視点でお話していきたいと思います。
「インボイス制度」とは?
すごく簡単にいうと事業者が消費税を正確に納めるために定められた制度です。
つまり、まずは消費税について理解することが大切なのです。
■消費税のしくみについて
普段の買い物で払っている消費税。
一見、買った人が消費税を支払っているので、「消費者が納税している」気になりますが、
実際に税務署へ納税しているのは、売り手である事業者です。
(このように、納税者と負担者が異なる税金を“間接税”といいます。)
でも、事業者は売上の10%をそのまま納めているのではなく、
売上として受け取った消費税から、仕入れにかかった消費税を差し引いて納税しています(=仕入税額控除)。
私たちイラストレーターが事業者として活動する場合も、もらった消費税の全額を納めるのではなく、
経費で払った消費税分を差し引いて納税するという仕組みです!
ここでポイントなのが、この「仕入税額控除」!
納める税金を軽減できるのはありがたいですよね。
でも、「経費で払った消費税」がいくらなのか、どうやって計算すればいいの?
その計算の助けとなるのが「インボイス制度」なのです。
■インボイス登録をすると?
「インボイス制度」は、軽減税率制度(消費税が10%になった際に、食品などを8%のまま据え置く制度)に対応し、
複数税率の中で正確な課税を行うために設けられた制度です。
「インボイス登録」という言葉は、最近よく聞くようになりましたよね。
実は先ほどの「仕入税額控除」を適用するためには、インボイス登録が必須なのです。
【登録の仕方】
登録申請の方法は、以下の3つがあります。
・パソコン(e-Tax)
・スマートフォン(e-Tax)
・書面での提出(税務署へ)
私は税務署に行って手続きしました。
申請書は税務署に用意されていて、マイナンバーカードと開業届の控えだけ持っていけば大丈夫でした。
書き方が不安でしたが、書き方の見本も一緒にもらえて窓口で確認してもらえるので安心でした。
登録番号が記載されたハガキは約1カ月半後に郵送で届きました。
e-Taxでの申請のほうが早いとも言われています。
※時期によって必要書類や手続きの内容が変わる可能性もあるので、詳しくは税務署のホームページなどをご確認ください。
■インボイス登録をしたらやるべきこと
① 帳簿の記録
以下の情報を記録しておく必要があります:
・相手方の氏名・名称(例:アマゾンジャパン)
・取引年月日(例:2025年4月10日)
・取引の内容:軽減税率対象かどうかも(例:文房具、飲料 ※食品なら軽減税率)
・対価の額(税抜または税込)、適用税率、消費税額(例:550円、うち消費税50円)
インボイス番号(適格請求書番号)付きの書類は「仕入税額控除」の対象になります。
なので、番号のある領収書やレシートは分けて管理するのが基本です。
帳簿にも「控除対象」「非対象」と印をつけておくと便利です。
② 領収書やレシートなどインボイスの保存
インボイスは領収書やレシートが一般的ですが、
以下の記載事項がある書類もインボイスとして成立します。
・適格請求書発行事業者の氏名または名称
・登録番号
・取引年月日
・取引内容(軽減税率対象であればその旨)
・税抜または税込の金額(区分ごと)
・適用税率(10%・8%など)
・消費税額等(税率ごとに明記)
【インボイスとして認められる書類の例】
・請求書(〇 一般的に使用)
・領収書(〇 取引証明として有効)
・レシート(〇 小売業などでは「簡易インボイス」扱い)
※見積書・発注書は、原則としてインボイスに該当しません(取引成立前のため)
※自分が発行したインボイスも7年間の保管が必要です。
③ 自分の請求書/領収書を見直す
自分が発行する請求書/領収書にも、先ほどの「インボイスの記載事項」がすべて含まれているか確認してください。
④ その他に知っておくべきインボイス
▶ 修正インボイス
金額や数量の間違いを訂正するインボイス。
正確に修正しないと、相手が仕入税額控除できない場合もあるので注意です。
▶ 返還インボイス
返品・値引き・キャンセルなどで1万円以上の返金があるときに必要。
金額・税額を正しく調整するためのインボイスです。
⑤ 年末の確定申告
インボイス登録をすると、確定申告(青色または白色)に加えて、消費税の申告が必須になります(2月〜3月)。
ここまでがやるべきことなんですが……
はっきり言って、面倒くさい!!!
これまでエクセルで帳簿管理していた私ですが、インボイス登録を機に、
「これはもう会計ソフトに頼らないと無理だ…」と判断し、即契約しました。。
■インボイス登録はするべきなのか?
ここからが本題。
果たしてインボイス登録はするべきなのか?
私の結論としては「登録しない選択も十分アリ!」です。
①免税事業者という選択
事業者には、「課税事業者」と「免税事業者」があります。
2年前の売上が1,000万円以下であれば、消費税の納税義務が免除される制度があります(免税事業者)。
つまり、売上が1,000万円以下なら、消費税を納める必要がありません。
顧客から消費税を受け取っても、納税義務がないため、その分が利益になります。
ですが、インボイス登録すると、売上1,000万円以下でも課税事業者になってしまいます!
つまり、今まで納めていなかった消費税(10%や8%)を納税する必要が出てくるのです。
②インボイス登録をしないほうがいい?
年間売上が1,000万円以下の人はインボイス登録しなければ、これまで説明した、
・インボイスの発行 不要
・消費税の申告 不要
・帳簿の税率・税額記録 不要
・インボイスの保存 不要
・帳簿の分けた管理 不要
となります。
ですので、
・年間売上が1,000万円以下
・個人からの依頼が多い
・白色申告で帳簿もシンプル
こんな方には、免税事業者のままの方が負担が少なく、実質的な利益が多くなる可能性があります。
■登録するメリットは?
企業間取引(BtoB)の場合、取引先は仕入税額控除を受けたいので、
インボイス登録している事業者との取引を優先する傾向があります。つまり、インボイス登録することで“選ばれやすくなる”可能性が高いのです。
■登録しない選択もあり。自分に合う選択を!
インボイス登録は義務ではありません。
制度を正しく理解し、自分に合った選択をすることが一番大切です。
インボイス制度は少し複雑ですが、「自分の事業スタイルを見直す良いきっかけ」にもなります。
この記事が、皆さんの活動に少しでもお役に立てばうれしいです!