青の教室 陽子 第28話/4月17日(最終話) ――光の方へ――
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第28話/4月17日(最終話)
――光の方へ――
朝の青の教室は、
いつもと同じように静かだった。
陽子は、
ゆっくりと扉を開けて入ってきた。
その足取りは、
昨日よりも軽い。
机に座ると、
自然に自分勉強を始める。
(できるかもしれない)
胸の奥で、
その思いがそっと息をしていた。
鉛筆の音が、
青い光の中で静かに響く。
***
友彦は、
陽子の横顔を見ながら思った。
(子どもはまっすぐだ)
ただ、自分の光の方へ歩いていく。
その姿は、
いつ見ても胸に沁みる。
***
陽子はふと、
かばんの中から課題表を取り出した。
紙は、
昨日までと同じ紙のはずなのに、
どこか違って見えた。
そこには、
美咲の丁寧な字でこう書かれていた。
「陽子の思うとおりにね!」
陽子は息をのむ。
「……お母さん」
***
夜になって、
陽子は今日の勉強道具を片付けていた。
その姿を見て、
友彦が静かに言った。
「陽子の思うとおりにね」
陽子は顔を上げる。
その表情は、
これまでで一番まっすぐだった。
満面の笑みで、
陽子は返事をした。
「はい!」
***
その夜、
青の教室には誰もいなかった。
でも、
窓から差し込む青い光だけが
静かに部屋を満たしていた。
まるで、
陽子の胸の奥に灯った光と
同じ色をしているようだった。
***
青の教室は、
今日もまた、静かに、
誰かの光を見守っている。
( 青の教室 陽子 完 )