最終更新日:2025年5月7日
作成者:保科
ソフトウェア開発を外注する際、「著作権は全部買い取るべき?」「開発会社に権利を渡すのは不安...」とお悩みではありませんか?
実は、全権利を買い取る「完全譲渡型」では、開発費が2〜5倍に膨らむこともあります。
一方、最低限の利用権だけを得る「利用許諾型」なら初期コストは安く抑えられますが、自由度は極端に低く、将来的な事業展開や開発会社の変更はほぼ不可能です。
本記事では、その両極端のリスクを回避し、重要な権利だけ確保しつつコストも抑えられる「権利分離型契約」を徹底解説します。
権利分離型契約とは?
開発するソフトウェアを以下の2つに分けて、権利を適切に配分する契約方式です:
🟩 1. お客様専用部分(新規開発部分)
・御社の業務フローやビジネスロジック
・競争力の源泉となる独自機能
・→ 御社が著作権を100%保有
🟩 2. 汎用部分(開発会社の既存資産)
・データベース接続などの基本機能
・ログイン認証などの共通機能
・→ 開発会社が著作権を保有(御社には永続的な利用権を付与)
※ 利用権:社内利用が可能な権利(商用利用・サービス展開などの権利は持たない)
御社にとっての5つの具体的メリット
🟩 1. 開発コストを最大80%削減
・完全譲渡型では開発費が2〜5倍になることも
・例:300万円の案件で著作権をすべて買い取ると、600万〜1,500万円に膨らむ可能性も
・権利分離型を選ぶことで、実質数百万円単位のコスト削減が可能
・開発会社のシステム改善の恩恵を得られること
🟩 2. 重要なビジネスロジックは完全保護
・競合他社への流出リスクゼロ
・御社独自のノウハウは御社だけのもの
・将来の改修・拡張も自由自在
🟩 3. ベンダーロックインを回避
・必要に応じて開発会社の変更が可能
・保守契約の交渉力も確保
・ビジネス環境の変化に柔軟対応
🟩 4. 継続的な技術進化の取り込みが可能
・開発会社が他プロジェクトで得たノウハウや改良技術を横展開できる
・ライブラリや基盤部分のアップデートを無償または低コストで享受できる
・単独開発では得られない「集合知的メリット」がある
🟩 5. 初期構築以外の部分で時間とコストを短縮
・過去に開発された部品や機能を流用可能なため、ゼロから作る必要がない
・設計・テスト・運用などの工程が効率化され、納期短縮にもつながる
・PoCから実用化フェーズへの移行がスムーズ
権利分離型契約で付与される「利用許諾」の条件
システム開発契約で「権利分離型」を選ぶ場合、開発者が保有する汎用フレームワークの扱いが大きなポイントになります。
多くの場合、開発者はこのフレームに対して「利用許諾」を与えることで、クライアントがシステムを使えるようにしますが、その許諾範囲に応じて費用も大きく変わります。
今回は、一般的な利用許諾条件を付与されやすい(条件がゆるい or 費用が安い)順に並べ、開発費用への影響をわかりやすく整理してみました。
ポイント解説
✅ 基本的に許諾すべき条件(①〜③)
・クライアントが社内利用や将来的な引き継ぎに使えるようにする範囲
・開発者へのリスクは低く、費用増加もわずか
・一般的な契約でよく見られます
⚠️ 慎重な検討が必要な条件(④)
・利用範囲やサービス規模に応じて費用調整が付与されることが一般的です
・SaaSなど商用サービスに展開する場合
❌ 契約が難しい条件(⑤⑥)
・技術的な競争力の源泉を手放すことに直結するため、費用設定
・特に⑥の「フレーム単体での再販」は、開発者にとって最大のリスクであり高額になりやすい
「権利分離型契約」で開発をする場合のよくある質問と回答
🟩 Q1: 開発したシステムでサービス展開は可能か?
A: 「商用利用制限なし」で契約をした場合には、自由に展開が可能です。その制限をつけずに契約をした場合には、受託開発会社の汎用フレームワーク部分の知財に対して、ライセンス料を支払うのが一般的です。
🟩 Q2: 競合他社に同じシステムが提供される?
A: 御社固有の機能やビジネスロジックが他社に提供されることは絶対にありません。
・御社専用部分は御社の独占的財産
・汎用的な基盤機能のみ他社でも利用される可能性あり
🟩 Q3: 将来、開発会社を変更できる?
A: はい、可能です。
・御社が権利を持つ部分は自由に他社へ依頼可能
・汎用部分の利用権は継続
・ただし、技術文書の引き継ぎ条件は事前に確認推奨
🟩 Q4: コア技術部分の修正は可能?
A: 基本的な修正は可能です。
・保守, 運用に必要な修正権は標準で付与
・大規模改変は別途協議(追加費用が発生する場合あり)
※ 修正権:ソースコードや仕様を変更・修正できる権利のこと。(修正権がないと、自社 or 他社へ保守を依頼したい場合にも支障がでる)
🟩 Q5: 利用権で具体的に何ができる?
できること:
・システムの業務利用(無制限)
・バックアップ作成
・保守・運用のための修正
・社内での複製利用
できないこと:
・第三者への販売・譲渡
・ソースコード公開
・単独での製品化
当社からのご提案
🟩 契約の基本形態
弊社では、技術資産の保護とクライアントの知財の保護を両立可能な「権利分離型契約」を基本としております。
そして、まだ当方は個人事業主であり、事業規模が小さいことから、汎用フレーム部分の「利用許諾条件」については、商用利用制限を設けない現状以下を基本としています。
■ 利用許諾の条件(※汎用フレーム部分に関して)
・社内での展開
・システムの自由な利用・改変
・保守・運用、または他社への引き継ぎの許可
・商用利用の制限なし(SaaS等への展開を含む)
■ 利用許諾に含まれない条件
・システム全体の再販許可
・フレームワーク部分のみの再販許可
これにより、通常の受託開発よりも自由に事業に展開いただくことが可能となっています。
(※ より技術の資産性や需要が高まった段階で、この条件は見直すことを検討しています)
次のステップ
🟩 【無料相談の流れ】
・1.ココナラメッセージにてご連絡下さい
・2.御社の開発計画をヒアリング(※ オンラインでのビデオ通話にも対応可能です)
・3.最適な契約形態と概算費用をご提案
・4.必要に応じて詳細お見積もり作成
「うちの場合はどうなの?」という疑問にも、具体的な数字でお答えします。
お気軽にご相談ください。