※個人情報保護のためフェイクを交えています
※数年前の話ですので、コロナ前になります
私は仕事の後、ストレッチ患者さんの病院へ向かった。病室の場所をきいていたので、直接向かう。
最後に見た患者さんよりもずっとずっと痩せていた。
私の顔を見ると、パッといつもの笑顔を浮かべてくれた。
「おぉ…先生じゃないか…来てくれたの?ありがとね」
私は患者様の部屋に入り、そばに行った。
奥様から聞いたことを話す。
「そうか…来てくれてありがとう。本当にリハビリに通った時間は尊い時間だった。死を前にした私へのご褒美の時間だったんだ」
患者さんが枕元にあった娘さんの写真を見せてくれる。可愛い女の子だ。
「本当に心から感謝しているよ。ありがとう。君はいつまでも素直で優しいまま生きて行ってほしい。私との約束だ。あと、幸せになってほしい」
話しながら泣きだす患者さんの背中をさすり、お礼を伝えて病院をあとにした。
ストレッチマン患者さんが亡くなったのは、それから3日後のことだった。
リハビリの仕事をしていると、機能が回復したらリハビリを卒業することがほとんどだ。ストレッチマン患者さんのような理由で通院するのは難しいだろう。
でも、私はこの患者さんと出会って過ごした期間を…最後の言葉をずっと忘れないと思う。