「こんなものにお金を払う人なんているの?」
「所詮は情報商材でしょ?」
きっとあなたも、どこかでそう思ったことがあるはずです。
私も正直に言えば、最初は半信半疑でした。
27歳無職の女性が「ただのURL集」を販売し、1億円を売り上げた――。
しかも、その中身は特別な裏技でも、難解なノウハウでもない。Googleの仕様の“隙間”を見つけただけだという。
しかし記事を読み進めるうちに、私は別の感情に襲われました。
「これは編集だ」と。
そして同時に、30年以上編集の仕事をしてきた自分の原点を、突きつけられた気がしたのです。
私の原点は「心の穴」を見つけることだった
私は講談社、主婦の友社を経て、300冊以上の本を編集してきました。
現在はひとり出版社として、電子書籍プロデュースをしています。
若い頃、先輩にこう言われたことがあります。
「本は情報を売るんじゃない。読者の“欠け”を埋めるんだ」
当時はピンときませんでした。
でも、売れた本を振り返ると、例外なく共通点があった。
不安を抱える人に“安心”を
迷っている人に“道筋”を
自信のない人に“言語化された確信”を
つまり、検索ボリュームや流行だけではない。
「その人の心の穴に何を提供すればいいか」を考え抜いた本だけが、生き残っていたのです。
彼女が売ったのは「URL」ではない
今回の記事の女性も同じことをしていました。
彼女はGoogleの表示の“バグ”を利用して、特定の情報に早く辿り着けるURLをまとめた。
表面的に見れば、それだけ。
でも、本質はそこではありません。
彼女が見ていたのは、
情報過多で疲れている人
検索しても答えに辿り着けない人
「自分だけが知らないのでは?」と不安な人
その人たちの焦燥感です。
彼女はURLを売ったのではない。
「未来を先に知っている感覚」を売った。
これは編集とまったく同じ構造です。
検索数ではなく“欠乏”を見る
今の時代、出版もビジネスも「数字」が先に語られます。
検索ボリューム
フォロワー数
トレンドワード
もちろん無視はできません。
しかし、それだけでは薄い。
私がプロデュースしてきた電子書籍で成果が出たケースも同様です。
フォロワーが少なくても、刺さる読者に深く刺さる設計をした本は、仕事につながります。
なぜか。
その本が「心の穴」をピンポイントで埋めているからです。
今回の記事を読んで、私は改めて確信しました。
編集者に求められるのは、
情報を集める力ではない
文章を整える力だけでもない
“欠乏を嗅ぎ取る力”だ。
私のこれからの編集の在り方
正直に言えば、私は最近、数字やマーケティングに引っ張られすぎていたかもしれません。
売れるテーマは何か
流行っているジャンルは何か
どうすればランキングに入るか
もちろん戦略は必要です。
しかし、その奥にある「人の感情」から離れてはいけない。
あの27歳の女性は、無職だったかもしれない。
でも、彼女は市場を見ていたのではなく、人を見ていた。
だから1億円が生まれた。
私は改めて思いました。
編集とは、
まだ言葉になっていない不安を見つけ
それに名前を与え
形にして差し出す仕事だ
URLでも、電子書籍でも、紙の本でも、形は関係ない。
本質は同じです。
「ただの情報」で終わらせない
もしあなたが、
自分のノウハウを本にしたい
でも「こんな内容で売れるのか?」と不安
フォロワーが少ないから無理だと思っている
なら、考えるべきは一つです。
その情報は、誰のどんな欠乏を埋めるのか?
ここを徹底的に掘れた人だけが、
「ただの情報」を価値に変えられる。
私はこれからの編集で、
もう一度そこに立ち返ります。
検索数ではなく、心の穴へ。
あの記事は、私の編集者人生にとって、
静かで、しかし決定的な転機になりました。