キャンパスライフ充実編②:旅をしましょう。

記事
学び
He travels fastest who travels alone.(一人旅は早い。)
「世界は1冊の本にして、旅せざる人々は本を1ページしか読まざるなり。」(アウグスティヌス『告白録』)
「旅は真正な知識の偉大な源泉である。」(ベンジャミン=ディズレーリ)

 「旅と読書で自分を肥やしなさい」とはよく言われることです。人生は1回しかなく、自分が経験できることに限りがあることを思えば、読書を通して多くの人生に触れ、旅を通して生きた知識に触れることは重要でしょう。1人旅もいいですし、グループ旅行もおもしろいものです。てくてく歩く旅もよければ、サイクリングもいいですし、ヒッチハイクも刺激的です。山に登るのも、海で泳ぐのも、神社仏閣を訪ねてみるのも、それぞれ一興があるものです。
かつて、ケンブリッジ大学やオックスフォード大学を卒業した学生は、「グランド・ツアー」と称してフランスやイタリアを旅行し、自らの学業の仕上げとしていました。ヨーロッパ大陸の先進文化や古典文化に直接触れ、精神を豊かにしていったのです。こうした伝統は、今もヨーロッパの一部に残っています。
 旅はまた、「自分への旅」「内省の旅」でもあります。時には孤独な時間を作り出して、心ゆくまで休んだり、のんびり本を読んだり、自分を見つめ直す時間を取る必要があるものです。少なくとも1年に1度はこうした「旅」に出て、リフレッシュしてみましょう。例えば、ユダヤ民族は少数民族にして、多大な迫害を受け続けてきたにもかかわらず、滅びるどころか、文化・科学・経済・金融などの各方面で莫大な影響を及ぼしてきました。その理由の1つに「安息日」の思想が挙げられます。彼らは1週間に1日、必ず休みを取り、トーラー(律法の書)を読んで、心の糧を得るという伝統を守り抜いてきたのです。

【ポイント】
①まず日本国内を旅行してみましょう。
 西日本の人間は東北地方の県の順番が分からなかったりします。逆に東日本の人間は中国地方や九州の県の順番が分からなかったりするものです。狭い日本でありながら、意外に知らないことの方が多いのです。47都道府県の全てに足を運んでいる人も、実はそれほどいないのです。
<お勧めスポット>
◎北海道地方
オホーツク海の流氷(ここでしか見ることができません)
摩周湖(マリモや透明度で有名。周囲に阿寒湖・屈斜路湖もあり、雄大な大平原もあります)
アイヌ民族村(アイヌコタン。阿寒湖の近くにあり、北海道の先住民族・アイヌの文化を知ることができます)
函館ハリストス正教会(カトリックに並ぶギリシア正教・ロシア正教の教会で、明治期に第3教派の勢力であったことは意外に知られていません)

◎東北地方
宮沢賢治記念館(岩手県花巻市。「日本近代詩の父」と呼ばれる高村光太郎も宮沢賢治から多大な影響を受けたことが知られています)
出羽三山(山形県。羽黒山・月山・湯殿山。羽黒山には、「日本修験道の祖」である役行者も「修行未熟」のため追い返されたという「行者返しの地」があり、東北修験道の霊格の高さが窺えます)
山寺(山形県立石寺。松尾芭蕉が「閑さや岩にしみ入る蝉の声」と詠んだ所です)
多賀城跡(宮城県。古代東北経営の拠点となった地です)

◎関東・甲信越地方
明治神宮(宇佐神宮によく似た雰囲気を持つ所です。広々としています)
横浜中華街(日本のチャイナタウン。必見です)
富士山(日本人なら1度は登っておきましょう。平均4.5時間ペースですが、女性でも3時間を切る人はいます)

◎北陸・東海地方
伊勢神宮(近畿天皇家と結びつく不思議な伝統を持った神社です)
白山(北陸地方を代表する霊峰です)

◎近畿地方
鞍馬山(京都の北にあります。源義経が幼少期を過ごし、不思議な伝説も残っています)
金閣寺(夕方に行くと黄金がまばゆい、日本を代表する建築物です)
御所(6月の雨上がり、おぼろ月夜に都大路を歩いていると、平安時代にトリップします)
東大寺(奈良時代の国家的スケールを感じさせられます)
高野山(親鸞の墓や「大秦景教中国流行碑」のレプリカが置いてあるなど、不思議な霊域です)

◎中国・四国地方
出雲大社(古代出雲王朝の拠点にあります。縁結びの神様でもあります)
原爆慰霊碑(原爆ドーム・平和祈念公園の外に韓国・朝鮮人の原爆慰霊碑があります。訪れるべきです)
松下村塾(山口県萩市。27歳の吉田松蔭が行った、たった1年半の教育で国家有為の人材が多数輩出されたのは驚異的です)
室戸岬(弘法大師空海が法を成就した地とされます)

◎九州地方
大宰府(古代九州王朝の拠点です。菅原道真が祀ってあります)
宝満山(大宰府の背後にあります。雨上がりに登ると神秘的です)
阿蘇山(雄大なスケールを持つ火山で、中国の史書『隋書』にも出てきます)
知覧(特攻隊出撃の地です。若い命がここから飛び立って散っていきました)
桜島(宮崎から回って錦江湾に入る道路を車で走っていると、突然、真っ青な空と海の間にそびえる桜島が出てくるので、ついついアクセル全開となってしまいます)

◎沖縄地方
首里城跡(琉球王国の中心です)
ひめゆりの塔(「沖縄の悲劇」に対する鎮魂の塔です)
瀬底ビーチ・万座ビーチ(日本の中の南国です。)

②「ならでは」のものに触れることです。
 「そこでしか得られない経験」というものがあります。学問の方法論でもフィールドワークは重視されますが、自分の足で歩き、自分の眼で見、自分の頭で考えることは大変重要です。机上の知識や人からの伝聞では得られないものに、旅先でふんだんに触れましょう。そのためには、事前の下調べを十分しておく必要があります。

③「あったらいいもの」は「なくてもいいもの」です。
 これは旅行の基本原則です。ついつい荷物が増えてしまうので、持参するものは必要最小限に絞り、あとは現地調達するつもりで、身軽にすることです。海外出張を頻繁にしている、ある会社の社長はほとんど手荷物のみで出発し、下着類などは全部現地で買って、全て捨ててくるそうです。「これ、あったらいいだろうな、便利だろうな」と思われるものは、「別に無くてもいいもの」なのです。絶対に必要なもののみに絞り込むことがコツです。

④海外旅行は東洋と西洋の両方に。
 できれば短期であれ、長期であれ、留学をしたいところですが、それがなかなか難しければ、せめて海外旅行くらいは何度か行きたいところです。ここで重要なのは「複眼的視野」「複眼思考」を持つことです。例えば、アメリカに行って世界的スケールに是非、触れたいところですが、それならばアジアにも足を運んで、韓国や中国で文化的親近性や反日感情などにも触れておきたいところです。国際会議などでディスカッションをすれば、日本の学生の政治・経済・軍事・歴史などに対する認識の低さ、見識の無さは一目瞭然ですが、例えば東京から飛行機でわずか2時間の所にも国際紛争最前線があることを実感していない学生がほとんどです。これは38度線を指していますが、ここは停戦ラインではなく、休戦ラインであるため、いつでも戦争が再発する可能性があります。したがって、38度線の前後2kmにわたる非軍事ゾーンに入る時には、「ここで何が起きても一切文句を言いません」というサインをしなければならないのです。また、東南アジアの国の中には旧日本軍の蛮行の跡をそのまま残し、「Forgive, but Don’t Forget!(許せ、しかし、忘れるな)」という看板を掲げているところもあるのです。
留学はともかく、旅行であれば、5回、10回と回数を重ねることも容易でしょう。そして、現地の人々との交流がかけがえのない体験をもたらしてくれるのです。

⑤大地に寝転がってみましょう。
 例えば、ワシントンの中央部。街の真ん中に真っ白いプールがあり、その周りの芝生にはリスがチョロチョロしています。チョコレートを差し出せば手のひらでコリコリ食べてくれるでしょう。その外側はやはり真っ白い造りの博物館・美術館で囲まれていて、タダで自由に出入りできます。のんびりとジョギングする人もたくさんいて、そこでゴロンと横になっていると、本当にここで世界の政治が動いているんだろうか、という気にもなります。
 あるいは、北京の天安門広場。昼間ならそこに面した紫禁城に足を運んで半日ぶらぶらすることでしょう。夜中になれば、人通りも少なくなるので、天安門広場にゴロンゴロンと寝転がることもできます。ここで民主化を叫ぶ学生達を戦車が踏みにじったのか、と感慨深くもなりますが、日によっては見回りの兵士に追い出されます。

⑥海にも山にも地の底にも足を運んでみましょう。
 何も本格的なスキューバ・ダイビングやロック・クライミング、ケイビング(洞窟探検)をやる必要はありませんが、大自然の様々な諸相に触れるのは意義のあることです。危険は避けつつ、自然体験を豊かに持ちましょう。「自然は最高の教師」なのです。

⑦車の免許を取っておきましょう。
 車は旅に不可欠です。自動車免許は取れる時にさっさと取っておきましょう。普通免許があれば、ワゴン車も運転できれば、2トン車すら運転できてしまうのです。これはやはり便利です。中型免許を持っている人であれば、やはりツーリングにチャレンジしたいところです。
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