キャンパスライフ充実編①:本を読む習慣をつけましょう。

記事
学び
「本は読むものではない、学ぶべきものだ。」(『タルムード』)
「人生とは1冊の書物に似ている。愚者達はそれをパラパラとめくっていくが、賢者はそれを丹念に読む。」(ジャン=バウル『角笛と横笛』)
「良書とは、期待をもって開き、利益を取得して閉じる書物である。」(アモス=オルコット「卓談」)
「読書百篇、意自ずから通ず。」(『三国志』魏志)
「貧しき者は書に因(よ)って富み、富める者は書に因って貴(とうと)し。」(『古文真宝』)

 ほんのわずかな違いが、時間と共に莫大な違いを生むことがあります。その典型が「本を読む習慣の有無」でしょう。この「読書」の中には娯楽としてのマンガ、雑誌は含みません(教養としてなら含まれます)。普通、「自己投資には収入の5%くらいを使う」とされますが、これによればバイトで月10万円稼ぐ人なら、5,000円は自己投資(自分を高めるための出費)に当てるべきだということになります。これで英会話学校に通ったり、演劇や美術館を見に行ったり、映画を見たりしてもよいわけですが、最も手軽な自己投資が読書ということになります。成功者と呼ばれる人はたいてい継続的な読書の習慣を持っており、しかも「乱読」であることが多いものです。月1~2冊しか本を読まないというのは論外と言うべきでしょう。1週間に1冊、1日1冊のペースぐらいなら、その辺にごろごろいます。低い次元に合わせるべきではありません。アメリカの一流新聞社の書評担当記者ともなると、1カ月に100冊という人すらいます。
 仮に1週間に1冊のペースで読む人がいるとすると、1年間で50冊の本を読むことになります。これが10年続けば500冊、20年続けば1,000冊となりますが、1冊の本はさらに数十冊の本の内容を圧縮しているとも言えるので、実際にはその数十倍の本のエッセンスに触れていることになるのです。20歳前にこうした習慣を形成した人が40歳になるまでに到達しているレベルを考えると恐ろしい限りです。また、1日1冊のペースで読む人なら、この7倍の基準となるわけです。
 これは単なる「読書術」ではなく(「速読法」の本を「熟読」している、こっけいな光景もしばしば見受けられます)、「情報処理能力」を高めるという次元の話となってくるのです。ここまで来れば、「読書」は単なる「読書」ではなくなり、自由自在に「情報」を駆使するという段階に入るのです。

【ポイント】
①図書館、古本屋を駆使する。
 図書館は1回に5~10冊、2週間程度しか借りることができないのが普通なので、大学の図書館に加えて、近隣の3~5の図書館をテリトリーとしましょう。特に中央図書館は拠点とすべきです。図書館はお金をかけずに資料調べができるので、初期段階では有効です。
 また、古本屋は東京であれば神田・高田馬場を拠点とし、近隣の5~10軒くらいの古本屋をテリトリーとしましょう。最初はやみくもに新刊書を買うよりも、じっくりと目を肥やした方がいいものです。「100円、200円でこれほどの知識が得られるなら得だ!」と言えるような本にたくさん出会うことです。

②いつもカバンに2~3冊、本を持ち歩きましょう。
 電車で移動する時間は本を読むか、英会話の勉強でもしたいところです。ただ、BGMを聞くだけというのはもったいない話です。「5分、10分といった半端な時間の活用」、これが後々、大きな差となるのです。カバンには常に2~3冊、できればジャンルの異なる本を入れて(気分転換を図るため)、ちょっとコーヒーを飲む時、一服する時、時間が余った時、すかさず「心豊かなひととき」にしてしまうのです。

③トイレや車にも3~10冊くらい、本を置いておきましょう。
 移動時間以外の「半端時間」の典型がトイレです。できれば棚を作って、3~10冊くらいの本を置き、毎日、5分ずつでも読んでいきましょう。こういう「半端時間」を活用する人は、結果的に同時に4~5冊の本を読んでいることになるのです。車を持っている人は、車にも2~3冊置いておきましょう。できれば、カバン、トイレ、車のそれぞれにジャンルを決めて、「習慣」を確立するのも有効です。

④年間100冊くらい、小学生でも読むものです。
 実は小学校高学年ともなると、読書競争が始まって、図書館からの貸し出しが年間100冊(大体3日に1冊のペースで本を読む)を超える生徒も出てきます。大学は高等教育の場であり、社会の知的情報インフラの1つですから、このレベルくらいは早く超えて欲しいものです。また、どんな未知の分野でも100冊の本を通読すれば、大体動向がつかめるのみならず、いわゆる「目利き」になれるでしょう。関心領域、必要分野においてはどんどん読み進めていきましょう。

⑤通読、精読、速読、熟読を混同しないこと。
 読書で挫折する人は、何でもかんでも「精読」しようとする人です。「情報」は取捨選択し、必要に応じて「読み捨て」なければならないのです(実はこの訓練として使えるのは新聞です)。最初は基本的に「通読」し、その際に次に読む時のために印をつけておくことです。線を引くのでも、ポストイットを使うのでも構いません。2回目以降はこのチェック箇所しか読みません。そのための作業をしておくと思ったらよいでしょう。そして、途中で立ち止まって「理解」をするために「精読」をするのであり、この「精読」ができる人でなければ「速読」はできません。ある程度、知識が蓄積されてくれば、こうした読書法が確立されてくることでしょう。また、改めてじっくりと読み込み、考察を深めていく読み方が「熟読」となるのです。

⑥目次、序文、解説をまず読んでから、本文へ。
 まず、外堀を埋め、足固めをしてから本丸へと行くわけですが、この外堀に当たるのが帯の抜粋部分、目次、序文、あとがき、解説、著者プロフィールなどです。こうした周辺情報で大体のあたりをつけた後、本文に入っていくものです。全体状況を押さえてから個別状況に入るというのが、問題本質理解の常道です。

⑦まずは解説書から、興味を持ったら原文(訳文)、研究者は原典へ。
 どんなに有名な古典でも、いきなりかじりつくと消化不良になりかねません。まずは定評のある、すぐれた解説者の手ほどきを受けるべきです。これも外堀を埋める作業ですが、全体での位置づけ、その業績の意義や評価などを知ることから始めましょう。これでおぼろげながらも全体像をつかむことができますが、どんなに権威のある大家の言であるとしても、それをそのまま鵜呑みにしてはいけません。「実は全然分かっていない」というケースもままあるのです。従って、興味を覚えたら、訳文でもいいので、著者が書いた原文に直接当たってみましょう。全く別な結論に導かれることすらあるものです。もちろん、研究者は原典に当たらなければならないことは言うまでもありません。

⑧引用文献、関連書物からネットワークを広げていく。
 「どの本を読めばいいか」というテーマは常に出てくるものですが、関心領域でこれはという本に出会ったら、そこに出てくる引用文献、関連書物に当たってみるのも一法です。そうしているうちに、その領域の概要がだんだんとつかめてきます。

⑨本を探せる、見抜けることも能力の1つ。
 全てを知り尽くしているファウストみたいな人はどこにもいませんが、少なくとも「どうすれば資料を探せるか」ということを把握しておくべきですし、「この本、この内容は使える」と判断できる目を養っておくべきです。やみくもに数だけこなすように本を読んでいても、こうしたことが分からないのでは意味がありません。

⑩信頼できる作者に出会ったら、作品を全部揃える。
 「この人が書いている内容は信頼が置ける」という人を何人持っているかが重要です。これは安心して引用したり、考えの根拠として使用できるということです。こういう作者に出会ったら、その人の作品を全部目を通してみることです。本当に使える人というのは、最低でも30~40冊以上の著作があり、確立された方法論と学際的な業績(単なる「専門バカ」ではないということです)を持っている人を指します。
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