キャンパスライフ充実編③:本物に触れましょう。

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Good wine needs no bush.(良酒は看板を必要としない。)
Seeing is believing.(百聞は一見にしかず。)
Genius is one percent inspiration and ninety-nine percent perspiration.(天才とは1パーセントの霊感と99パーセントの汗である~エジソン)
「桃李(とうり)もの言わざれども、下、自ずから蹊(みち)を成す。」
「我々は理性によってのみではなく、心によって真実を知る。」(パスカル『パンセ』)

 「本物」にたくさん触れ、そして「人物」に出会わなければなりません。時間を見つけて美術館や博物館で一流の作品に触れ、演奏会、文楽、演劇など、それまで見たことも触れたこともないようなものにどんどん触れていきましょう。一流の目を養うには一流のものに触れて、目を肥やすしかありません。一流のコックは必ず一流の味にたくさん触れて、舌に覚えこませているものです。
 生活必需品を「安かろう悪かろう」で節約して済ませる一方、「一点豪華主義」で何か1つはいいものにこだわるというライフスタイルもあります。いずれにせよ、時々は、あるいは何か1つぐらいはお金をかけて、「一流」「本物」とされるもので自分を磨いていく必要があるのです。
 また、例えば美術館などに行く時、1人では行かず、何人か連れ立って行くのもおもしろいものです。「この中で自分がイチオシの作品はどれか」と館内に散らばって、再び集まった時、それぞれがプレゼンテーションをするのです。自分とは違う、人の見方に教えられることが多いでしょう。
 ところで、マンガの世界で大分昔の話になりますが、『沈黙の艦隊』が登場して、各界に衝撃を与えました。これは当初、軍国主義の復活とか右傾化とかさんざん言われたものですが、詳細な軍事技術の描写から政軍分離の構想、さらには超国家サイレントサービスの実現から世界政府構想まで壮大に展開していき、「国家」「軍事」「核管理」「政界再編」「安全保障」「国連」「マス・メディア」といったテーマに恐るべき切り口を見せました。実際にその後、55年間続いた自民党の一党支配が崩れて政界再編が起きるなど、予言者的働きもありましたが、圧巻だったのは国際的な安全保障の枠組み作りを民間の保険会社にさせたことであり、保険の中心概念は「安全保障」にあるとして、その本質からの切り込みに関係者をあっと言わせました。
  たかがマンガの世界と言われそうですが、こうしたいわゆる「本物」が少しずつながら確実に登場してきています。これはマンガの世界に限らないことであり、社会の端々で見受けられる現象です。「本物の時代」「本物志向」は間違いなく時代の潮流として存在しています。「本物」を見抜く目が必要であり、ひいては自分もまた「本物」とならなければならないのです。
  実際、「本物」のみが歴史の中に残ります。ある女性キャスターが、日夜カラオケで歌う最新ポップスの練習に余念がない頃、たまたま何かのディナーショーに参加したところ、そこで1人の女性歌手が「ふるさと」を熱唱していて、それを聞いていた初老の男性が号泣しているのを見て衝撃を受けたといいます。こういう歌の存在に改めて気づかされたというのです。確かに今流行しているポップスのほとんどは20年後、30年後にはきれいに洗い流されているでしょうが、こうした「ふるさと」とか「大きな古時計」といった歌は、100年後でも誰かが歌っていることでしょう。もっと言えば、バッハやベートーベンは1000年後でも演奏され、誰もが耳を傾けることでしょう。「本物」のみが「人類の遺産」となり得るのです。

【ポイント】
①研究室を訪ねてみましょう。
 大学と新聞は社会を代表する知的インフラです。特に大学には真理探究(学問の発展)・人材育成(教育の充実)・社会貢献(成果の伝達)という3つの機能が課せられており、その最大の資産は人的資本にあります。当たり外れももちろんありますが、著名な教授や助教授(一昔前なら著名な講師や助手という存在すらいました)を研究室に訪ね、質問をぶつけてみましょう。たいてい快く応じてくれるはずです。あるいはそこにいる上級生や院生にいろいろと教えてもらうのも有益です。大学に入って情報が増えてくれば選択が変わってくるのも当然であり、専攻や進路の変更もあり得ます。本やネットで情報を集める必要もありますが、直接、話を聞くのが最も「生きた情報」が入るものです。

②OB・OGに会って話を聞いてみましょう。
 大学生には大学生というだけで特権があるようなものです。これを活用しない手はありません。どんな偉いOB・OGでも後輩というだけで簡単に会うことができます。単に就職活動という次元ではなく、あらゆる機会を利用して、有力OB・OGにコンタクトしましょう。直接的な引き立てなど期待する必要はありません。会うだけで財産となるのです。これが人脈にまで発展すれば言うことありませんが、そのためには自分自身も値打ちのある存在にならなければならず、それには時間がかかります。まずは気軽に会い、教えを請うことです。「教えてもらう立場」ならどんな人にも会いやすくなります。

③道を究めた人の話は貴重です。
 一芸を究めた人は諸芸・万芸に通じます。その道だけでなく、あらゆる分野に通じる基本を体得しているものです。講演会やセミナーなどで関心がある分野のレクチャーがあれば、自己投資として参加してみましょう。もちろん、「専門バカ」のような存在もいますが、中には「マルチな才能を発揮する恐るべき人物」もいます。こういう人達は「本質」をつかんでいるのです。知識や経験は時と共に蓄積されていきますが、「本質」がつかんでいない人は「量的発展」にとどまり、「質的発展」は乏しくなりがちです。

⑤留学生とも交流してみましょう。
 留学生には国費留学生と私費留学生の2種類がいますが、いずれにしても国に帰れば実業界・産業界・政界などで活躍が見込まれる人材がほとんどです(アジア・アフリカ圏からの留学生は特にそうでしょう)。いわば「国家的エリート」達なのです。彼等との交流は異文化コミュニケーションという点でも貴重ですが、国家的人物に触れるという点でも貴重です。留学生はよく「小さな外交官」と呼ばれ、その交流の中で一国を代弁する役割を持つと言われますが、まさにその通りです。
 中国人留学生に所へ行ってお茶をご馳走になることもあれば、イスラーム教徒の留学生の所へ肉まんを持って行って断られることもあるでしょう(イスラーム教では豚肉はタブー)。文化摩擦は起きて当然、彼等も友人を欲しがっていますから、肩肘張らずに自分の目線で付き合っていくことが大切です。
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