教養としてのギリシア哲学③:アリストテレス

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アリストテレス:「万学の祖」、『自然学』『形而上学』『ニコマコス倫理学』『政治学』。個々の事物を離れて存在するイデアを真の知の対象としたプラトンを批判して、本質はイデア界にあるのではなく、個々の事物に内在するので、個々の具体的な事物こそ探究の対象とすべきだと主張しました(プラトンの理想主義VSアリストレスの現実主義)。アリストテレスの存在論では、個物は質料(ヒュレー)と形相(エイドス)からなり、形相は個物に内在します。また、徳を知性的徳と倫理的徳(習性的徳)とに分類し、正義を全体的正義と部分的正義に分け、さらに部分的正義を配分的正義と調整的正義に分類しました。また、アリストテレスの弟子が西方ギリシア世界と東方オリエント世界を統合したアレクサンドロス大王であり、プラトンの哲人政治の理想は弟子のアリストテレスによって実現したと言えます。

『自然学』:物理学、天文学、生物学、気象学などの自然学研究の基礎となる自然哲学の書。

『形而上学』:アリストテレスの「第一哲学」に関する著作群を、後世の人間が編纂しまとめた書物。後世において形而上学の基礎となりました。西洋哲学の多くの基本概念を生み出し、千数百年にわたって西洋の世界観に決定的な影響を与えてきました。

『ニコマコス倫理学』:アリストテレスの倫理学に関する著作群を、息子のニコマコスらが編纂しまとめた書物。

『政治学』:プラトン的理想主義を排し、現実の国家組織の分析から実現可能な政体を論じています。一人の支配である王制は逸脱すれば僭主制、少数者の支配である貴族制は逸脱すれば寡頭制、多数者の支配である共和制は逸脱すれば民主制(その極端形が衆愚制)となりますが、公共の福利のために政治を行う政治が正しい国制であるとしています。

テオリア(観想):理性によって真理を探究する働き。アリストテレスは理性を人間に固有の最も優れた能力であるとし、実用的な知から離れて理性の純粋な活動を楽しむ観想(テオリア)的生活こそ、最高の幸福(最高善)であると考えました。

質料(ヒュレー):物質的素材(material)、形相を実現するための基体。感覚によってとらえられます。

形相(エイドス):質料を規定する形式(form)、質料がそれに向かって変化する目的・原因。理性によってとらえられます。アリストテレスは「純粋形相」を神と見なしたため、イスラーム教やキリスト教に取り入れられる要因となりました。

四原因論:アリストテレスは、「可能態」(デュミナス)が「現実態」(エネルゲイア)へ変化するという「運動」(キネシス)には、「質料因」「形相因」「始動因」「目的因」という4つの原因があるとします。石像製作を例にすると、「質料因」が石、「形相因」が像、「始動因」が彫刻家、「目的因」が石像を制作する意図にそれぞれ該当します。さらに「運動」の原因をさかのぼっていくと、その果てには「他を動かしても自らは決して動かないたった1つのもの」がいることになり、アリストテレスはこの存在を「不動の動者」「第一動者」と呼び、神と見なしました

可能態(デュナミス):質料の中に形相が可能性として潜んでいる状態、潜勢。

現実態(エネルゲイア):可能性が実現した状態、顕勢。可能態が十全に実現されるに至り、目的のうちにあるような有様が「完全現実態」(エンテレケイア)と呼ばれます。アリストテレス哲学によってスコラ哲学(神学)を完成したトマス・アクィナスは、「自存する存在そのもの」としての神を、いかなる可能態も含まない「純粋現実態」として規定しました。

目的論的自然観:自然界の事象は一定の目的によって規定されているという見方。全ての運動は形相の実現を目的としているというアリストテレスの自然観が代表的。

知性的徳:真理を認識する知恵、行動の適切さ(中庸)を判断する思慮などがあります。善や正義を洞察する能力も思慮です。

倫理的徳(習性的徳、エートス):勇気、正義、友愛などの性格の良さ。欲望を理性に従わせるためには、理性がそう命じるだけでは不十分であり、実際に欲望を抑制できるような性格の形成が必要であって、時と場合に応じた最も適切な状態である中庸を習慣づけることによって、習性的徳が形成されるとしました。

中庸(メソテース):過度と不足の両極端を避けた、最も適切な状態。例えば、欲望が過多であれば放埒、過少であれば鈍感となり、程よく欲望を抑えた節制の状態が中庸とされます。孔子も「過ぎたるは及ばざるがごとし」という中庸の思想があり、仏教にも苦行でも快楽でもない中道の精神があります。

「人間は本性上、ポリス(社会)的動物である。」:アリストテレスは、ポリスを形成するように生まれついた存在であるので、人間本来の善さを実現するためには、共同体の一員として生きる必要があり、ポリスを離れては人間の幸福や徳は実現しないと考えました。ポリス成立の原理として、正義と友愛(フィリア)を最も重んじました。

全体的正義:ポリスの法に従うこと。

部分的正義:特定の関係において成り立つ正義。配分的正義と調整的正義があります。

配分的正義:能力に応じて報酬などを配分すること。

調整的正義(矯正的正義):悪を犯した人には罰を与えるように、裁判・取引で人々の利害得失を均等にすること。

最高善:究極目的としての善のこと。アリストテレスは「幸福」と捉え、新プラトン派やキリスト教では「神」と考えました。

フィリア(友愛):互いに善であることを願う愛。相手への好意を伴います。ポリス結合の原理。

リュケイオン:アテネに開設されたアリストテレスの学校。ペリパトスと呼ばれる散歩道を歩きながら講義したことから、アリストテレス学派をペリパトス学派とも言います。
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