病院で働いていると、こんな場面によく出会います。
診察室や病室で説明をしている時は「はい」とうなずいていた患者さんが、
診察室から出た後や先生が離れた途端にこう言うんです。
「説明の意味がわからなかったけど、どうすればいいの?」
「どんな治療をするのか聞きたくて…」
私は看護師として20年以上現場に立ち、新人や看護学生の指導にも関わってきました。
その中で感じたのは、患者さんだけでは無く、スタッフも含めて「質問する」ことができない人が、実はとても多いということ。
「説明の仕方が悪かったのかな」と悩んできたけれど…
これまで私は、説明する側として、どうすれば伝わるか、どう話せばわかりやすいかにずっと向き合ってきました。
それでも「結局どうしたらいいんですか?」と聞かれたり、理解されていなかったりする場面が減らない。
最初は「説明の仕方に問題があるのかもしれない」と自分を省みることが多かったのですが、ある時、ふと思ったんです。
「聞く側にも、課題があるのかもしれない」と。
患者側になって病状の説明を受けた時に感じたのです。
この説明って自分が看護師だからわかるけど、普通の人ってわからなくない?そして、忙しそうだからと聞き直さなかった自分を見て、実は双方に問題があるんだろうなと思うようになりました。
聞けない時代になっていないだろうか?
新人看護師にも、同じような傾向が見られます。
分からないことがあっても、質問できない。
聞き返すことに抵抗がある。
「迷惑かもしれない」「そんなことも知らないと思われたくない」
後日改めて聞いてみた時にそう感じていた。
という意見を何回も聞きました。
実際、20年以上の看護師人生の中で、「聞き直してくれる人」のほうが圧倒的に少なかったように感じています。
特に今はSNSやネットで何でも調べられる時代。
直接、人に聞くという行為が減っているのかもしれません。
でも、“人に聞くこと”には、検索では得られない事を得る事(聞いてくれる信頼感や経験した事による安心感)が宿っているはずです。
聞くことは、信頼関係を築く力
質問することって、ただ情報を得るための手段ではないと思います。
「あなたの話を理解したい」
「ちゃんと向き合いたい」
そんな気持ちを、相手に伝える行為なんです。
患者さんにとっても、看護師にとっても、質問できることは大事。
小さな疑問をそのままにしないことが、安全や安心につながります。
だから私は、新人にも患者さんにも、よくこう声をかけます。
「聞いていいんだよ」「分からないことは、何度でも聞いてね」
聞かせる空気も、作っていきたい
もちろん、説明する側の責任もあります。
「聞きにくい雰囲気」を作っていないか?
「質問しづらい話し方」になっていないか?
「専門用語」を多く使ってないか?
私たちも常に問い直す必要があります。
質問は、「してくれる人」の勇気だけでは成り立ちません。
「聞いていい空気」を作る努力も、私たち医療者に求められています。
最後に。
分からないことがあったら、聞いていい。
むしろ、聞くことが大事。
それが命を守ることにつながる職場にいるからこそ、私はそう思います。
これは、医療の現場に限った話ではありません。
家族や友人、職場の中でも、「質問する」ことができるかどうかが、信頼や安心に直結します。
だから、今日このブログを読んでくださったあなたにも、心のどこかに残してほしいのです。
「聞いていいんだよ」「わからないままにしないでいいんだよ」って。
本日も読んでいただきありがとうございました。