いきなりですが還元主義という言葉を皆様ご存じでしょうか?
Wikipediaで還元主義で調べると色々出てくるのですが、ここでは特にデカルトについての記述を引用したいと思います。
“デカルトは、世界を機械に譬え、世界は時計仕掛けのようであり、部品を一つ一つ個別に研究した上で、最後に全体を大きな構図で見れば機械が理解できるように、世界も分かるだろう、という主旨のことを述べた。”
つまり、デカルトは 分解 調査 統合 のプロセスによって世界が理解できると考えた訳です。
一方で還元主義とはこの 分解 のみを強調した考え方ということになるようです。
今回紹介する 1 の分割 とは 統合 を手助けするツールの総称であり、部分から全体を再構築するための重要な機能を有した概念になっています。
還元主義に対する批判は以前のブログ
の中でも More is different という言葉で登場していましたが、1 の分割は More become same な状況を作り出す装置とも言えるのかもしれません。
現代の科学では還元主義的な考え方が限界を迎えていると言われているようですが、むしろ今まで成功してきていたのはこのような装置を無意識に使用していたからなのかもしれませんね。
前置きが長くなりましたが、1 の分割のお話です。
普通 1 の分割というと多様体の積分などで登場するものを指しますが、
・p_i と p_j (i ≠ j) は何らかの意味で独立
・∑p_i = 1
もしかすると
・p_i ^2 と p_i が何らかの意味で等しい
という二つないし三つの性質を満たすものの総称として用いられることもあるようです。
なのでスペクトル測度なんかも 1 の分割と呼ばれることがあるみたいですね。
そんな 1 の分割達ですが今回は中国式剰余定理 (Chinese remainder theorem) に関連したものを紹介しましょう。
(宮西正宜. (2010). 代数学1 -基礎編-.: 裳華房、Wikipedia の中国の剰余定理の記事 を参考にしています。)
中国式剰余定理は『孫子算経』という本の中の問題の解法で登場する定理です。
その問題とは (少しアレンジを加えると) 次のようなものになります。
3 で割ると 2 余り、5 で割ると 3 余り、7 で割ると 2 余る数があるとする。
105 で割ると余りはいくつか?
中国式剰余定理の内容はここでは述べないのですが、この問題で重要になるのが次の三つの数字です。
-35, 21, 15
整数 a, b, m に対して a - b が m の倍数の時 a ≡ b (mod m) と書くことにすると
-35 ≡ 1 (mod 3), -35 ≡ 0 (mod 5), -35 ≡ 0 (mod 7),
21 ≡ 0 (mod 3), 21 ≡ 1 (mod 5), 21 ≡ 0 (mod 7),
15 ≡ 0 (mod 3), 15 ≡ 0 (mod 5), 15 ≡ 1 (mod 7),
-35 + 21 + 15 ≡ 1 (mod 105).
となって正に 1 の分割 ですよね。
そしてこの 1 の分割 を用いることで求めたかった数字が
−35 × 2 + 21 × 3 + 15 × 2 ≡ 23 (mod 105)
であったことが分かるという訳です。
また、これを一般化することで
なにかの数字で割ったときの余りの様子
は
素数のべきで割ったときの余りの様子
に還元できることが分かります。
ここから、還元主義的な考え方が 1 の分割によって支えられている様子が想像できるのではないでしょうか?
皆様も何か問題を分解して考える時には、キチンと統合する方法を持っているのか確認した方がいいのかもしれませんね
というお話でした。