化学の数学とは表現論である。

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画像やタイトルを見て何か胡散臭いものを感じた皆様。
安心してください、まともですよ。


...それを示すためにまず、化学とは何かについて考えてみます。
すると、
化学とは元素の組み合わせによって形作られる物質の性質 (沸点、融点、分子軌道 等) やその組み合わさるプロセス (化学反応 等) の解析、応用を目的とする学問 
ということになりますよね。

そしてそれはいわゆるミクロの世界の話になるので量子力学が支配する空間での出来事を考えていることになります。 (シュレーディンガー方程式とかのあれです。)
つまり、物質を構成する粒子一つひとつを考慮したシュレーディンガー方程式を解けば万事解決! となりそうですがこれはまず上手く行きません。

皆様は三体問題をご存知でしょうか?(これを題材にした小説もありますね。)
詳細は省きますがこの問題に関連して、考える物体が多いとそれらの運動を正確に予測することが出来ないという結果がアンリ・ポアンカレによって知られています。
通常の (マクロな) 物質においてでさえこうなのですから、ミクロな世界ではなおさら解けない問題なのです。

ここで唐突ですがP.W.アンダーソンの言葉を引用しましょう。
“More is different”
個々の要素がバラバラでいたときにあった対称性が相互作用によって変化していく。つまり相互作用の多さによって階層的構造が存在し、階層ごとに取り扱い方を変えなければならない。

少し脱線しますが、人間も似たところがあります。
一人でいる時、二人でいる時、さらに大人数でいる時で立ち振る舞い方は変化しますよね。(吉本隆明のいう所の共同幻想というやつです。)


...ということで、今までの話を踏まえると対称性に注目すれば話が進むような気がしますよね?実際進みます。
そして、化学における対称性を取り扱う数学が群論、より正確には表現論なのです!!!

...なのですが、化学の参考書では表現論を指して群論と述べられている現状があります。そして、それを真に受けて群論の参考書を読んでいくと有限群の分類 (シローの定理とか) の話で終わってしまい化学と何の関係があるんだろう? という疑問と共に化学の学習者の機会損失が起こってしまいます。

例えば、「基本無機化学」という参考書では群論の公式として指標の第一種直交性に関連する式が紹介されていますが、通常の (学部生が読むような) 群論を扱っている参考書でこれを見つけるのは絶対に不可能です。
私は「応用群論」という有限群の表現論に関する参考書でやっと見つけることが出来ました。


まとめると、(少なくとも結晶を取り扱うような無機) 化学の数学とは (有限群の) 表現論である。
というお話でした。
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