きれいごとのコンプライアンスでつまずく中小企業

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法律・税務・士業全般

適切なリスク対策ができている企業とは

私は法務アドバイザーとして企業の法務、総務、人事の方々の相談に20年ちかく対応してきました。

たまたま、警察沙汰が比較的に発生しやすい飲食業や遊技業と深くかかわってきたので、逮捕や摘発についての相談を多く受けてきました。

残念なことに、多くの企業では適切なリスク対策ができておらず、なかには再発防止さえ満足にできないまま営業を続けてしまっている企業も少なくありません。

私が見たところでは、適切な法的リスク対策が取れている企業は中小企業ではせいぜい1割程度ですし、それでもまだ私の見方が甘いのかもしれないと思います。

法的リスク対策」を真剣に考える経営者や法務担当者は珍しくありませんが、多くの場合は、ツボを間違えています。

ウチは弁護士がいるから大丈夫・・・

そうですか、でもその人は、「これは違反、これは合法」というだけの人ではありませんか?

法律的な白黒だけで判断できるほど中小企業の経営は甘いものではないと私は思います。


ルールは完璧には守れない

どんな法令に違反する可能性があるのかを知る。

ここまではごもっともな話ですが、関係しそうなすべての法令を全部守ろうとする。

これは現実的ではありません。

私が見ている風景では、いかにまじめに経営しようとも、この世に無数にある法令の全てを完璧に守ることは不可能だからです。

法令違反」と言うと、多くの人は「犯罪」だと思ってしまいますが、「法令違反」とはそのような単純なことではないのです(このことについては別の記事で詳しく触れようと思います。)。

とりわけ中小企業では、全面的な法令遵守は期待しても無駄です。

いま中小企業の管理職として働いている方のほとんどは、これに異議はないでしょう。

だとしたら、どの部分に注力し、どの部分で手抜きをするか。

経営幹部は真剣に考える必要がありますが、こういうテーマで話をしたときに、経営幹部が

ウチは全部守るんだ!」みたいなことを言いだしたら、おおよそロクなことになりません。


きれいごとを言う人

理由は何度も言うように、「それは無理」なので、部下たちはそういうきれいごとに付き合うフリをしてごまかすことに慣れ親しんでしまうからです。

きれいごとのコンプライアンス>に舵を切った企業は組織風土がおかしくなっていきますが、経営幹部は「うちはまじめな企業」と本気で公言していたりします。

そういう企業の現場をよく見ると、現場の都合で独自にルールを無視していたり、リスク管理もまったくできていなかったりします。

売上をあげろ!ライバル企業はあんなに頑張っているじゃないか!!

と言いながら、同じ口で「ルールを完璧に守れ」と言う。

それを聞いた部下が、「偉い人は気楽なもんだな」と思っていたら、その会社はなかば死亡宣告を受けているようなものです。

ライバル企業はルールを完璧には守っていないから競争で有利なのでは?

その可能性を無視して、「売上あげろ!」と言う。そして「完璧な法令遵守」も言う。

やがて現場の社員は本音と建前の使い分けに心が疲れ、希望を失った社員は退職し、事なかれ主義の社員だけが残ります。

こうして徐々に会社は体力を奪われてカウントダウンが始まるのですが、このことを経営幹部の皆さんには真剣に考えていただきたいです。

法令遵守が重要であることは間違いありませんが、すべてのルールを守ればよいという考え方は「現実を無視したきれいごとである」ことも重視していただきたいのです。


ルールを守る理由

ならばコンプライアンスに対し企業はどう向き合うべきか。

それは私が決めることではなく、企業理念や経営方針、つまり経営陣の価値観をもとに考えるべきことです。

でもここで一つ、ヒントを出します。

ルールを守るのは何のためですか?

これについて経営陣の皆さんで話し合ってみるとよいでしょう。

「守るのが当然だから」
「処罰が怖いから」
「バレないで守っているフリをすればいい」

といった、いろいろな意見が出てくるでしょう。

逆に、多様な意見が出なかったとしたら、おそらく経営幹部の間で信頼関係に問題があるでしょう。


あなたの会社のコンプライス

さて、あなたの会社はどんなコンプライアンスですか?

そう。私はコンプライアンスについて会社ごとの個性があると考えています。

つまり、コンプライアンスは経営理念会社の個性と密接に関係するものであって、そのあり方は様々です。

そのことを考えないで、「どうしたらいいですか?」と質問してくる皆さん。

私はそんなとき、こう問い返します。

どうしたいの?

さて、こんな私を面倒くさいアドバイザーだと思いましたか。

そう、私は面倒くさい人物です。

普通の法律家なら、「判例では・・・」「法律的には・・・」などという話を始めます。

でもですね、判例解釈や正しい法律的解釈が通用するような場面なんて、現実にはほとんどありません。

なぜなら、ルールを使っているのは人間であって、彼らの心理状態によってルールは様々に解釈され、捻じ曲げられているからです。

実務に詳しい人ならわかっているはずです。

ルールは正しく使われていない。

もしそう思わないのなら、たぶんその人は専門家ではなくてモグリです。

法律の世界の現実はそういうものだということを前提にして企業コンプライアンスを考えないと、組織がおかしくなっていきます。

ルールを軽視する人>も、<きれいごとのコンプライアンスを語る人>も、どちらも会社の未来にとって危険な存在なのです。





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