「家族」をテーマにした作品は、両親の性格に苦労したせいか興味を持ってしまうのですが、今回は何の情報もなしに、『ボーはおそれている』という題名だけで、
魅かれました。
賛否両論ある作品かなとは思いますが、
私にとっては3時間があっという間に過ぎた、
何度も繰り返し見たくなってしまう映画でした。
あらすじ
日常のささいなことでも不安になってしまう怖がりの男ボーは、
つい先ほどまで電話で会話していた母が突然、怪死したことを知る。
母のもとへ駆けつけようとアパートの玄関を出ると、
そこはもう“いつもの日常”ではなかった。
その後も奇妙で予想外な出来事が次々と起こり、
現実なのか妄想なのかも分からないまま、
ボーの里帰りはいつしか壮大な旅へと変貌していく。
(映画.com)より
どこまでが現実でどこまでが妄想なのか、ずっと私の頭の中はフル回転で、
ラストにようやくその種明かしをされるのですが、
それでもやはり最後まで疑問が残り
また見たくなる映画です。
主人公ボーが、母親モナとの関係と生い立ち、
そしてそれによる精神的症状を抱えているので、
どんなホメオパシーのレメディが合うのかをいくつか考えてみました。
(ホメオパシーのレメディについては、こちら↓)
①Mancinellaマンチネラ
(Wikipediaより)
このレメディは、マンチネラというトウダイグサ科の木から作られています。
リンゴに似た可愛らしい実をつけますが、
「死の小さなリンゴ」という名前を付けられており、
毒性が高い木で、この木に含まれる白い樹液は皮膚に触れると皮膚炎、
目に入ると角結膜炎を起こします。
Mancinellaマンチネラがホメオパシーのレメディとして使用される場合、
恐怖や、ヒステリーなどの精神状態の異常に使用されます。
特に思春期や更年期に使用されることが多いです。
強迫性障害や、自分の精神がコントロールできなくなるような不安、
悪魔や恐ろしいものへの恐怖も強く、
それによって精神状態が悪化することもあります。
作品の中で、かかりつけの精神科医から「薬は水と飲むように」と言われ、
水が蛇口からでなくなるところで命がけで水を買いに出かけるところは、
強迫性障害そのものだと思います。
とても恥ずかしがり屋で、憶病なところもボーの性格と合ってます。
このレメディは、更年期に特に性衝動が高まることがあります。
ボーは母親から、父親は腹上死したことを聞かされ、
自分も父親からの遺伝のために死を恐れ童貞を守っていたのですが、
初恋のエレインを何度も思い出すところは性衝動を抑えていたともとらえられるかもしれません。
ホメオパシーのトウダイグサ科のテーマは、
「縛られている、拘束、閉じ込められている、自由になりたい」であり、
母親モナから縛られていると考えると、このレメディはかなり近いなと感じます。
②Anacardiumアナカーディアム
(Wikipediaより)
インド、マレーシアなどの森林地帯に生息する低木、
マーキングナットの種のレメディです。
心の中に天使と悪魔のような二面性を持ち合わせ、深い葛藤を抱えています。
そうなる事の大きな原因に、両親の幼少期からの支配があります。
両親からの学業の過剰な期待やあらゆる要求を押し付けられた結果、
憶病で、優柔不断で自信がない状態に育ちます。
作品の中で、かかりつけのセラピストから
「母親が死ぬことを期待している?」と聞かれたときボーは動揺しますが、
セラピストは「相反する感情は共存するものだよ」と言っていることから、
母親の期待に応えようとする天使と、母親の死を願う悪魔が混在していたことは明白だと思います。
このレメディの特徴に「身体に栓やベルトを締められたような感覚」というものがあります。
③Lac caninum ラックカナイナム
このレメディは、犬のミルクからできています。
犬が人間に絶対服従するように、このレメディが必要な人は精神的依存があり、
子供時代に虐待を受けていたことが原因で自信のなさや自尊心の低さにつながります。
過去に自分を虐待した人に強い憎しみを抱いていて、見下されたという思いが強くあります。
ボーでいうと、母親からの精神的虐待というよりは過干渉というほうが近いと思うので、
このレメディは少し違うかもしれません。
Lac caninumラックカナイナムの他の特徴としては、
虐待を受けたことにより「自分は汚れている」という気持ちがあり、
何度も執拗に手を洗うという行為があります。
とても敏感で、多くの恐れがあり、ヘビ、クモを恐れます。
この作品でもドクイトグモの描写があったのは興味深いですね。
身体症状では、身体の左右交互に起こる傾向があります。
アリ・アスター監督の作品は、切っても切れない親から遺伝されるような、
受け継いでいくもの、いわば呪縛のようなものを描いていて、
監督自身の生い立ちも母親から悪魔的な遺伝を受けたんでしょうね。
どのインタビューでも生い立ちを聞かれても、
その内容については詳しく語られていないようで、
監督は子供時代に母親から受けた思いを映画製作という形で昇華されたのでしょう。
どんな人の生い立ちの話を聞いても、
やはり両親に対しては受け入れられないもの、
大人になってからも何か引っかかるものを経験しているなと感じます。
でも、両親は決して子供を愛してないからではなく、
愛しているからこそ(通常は、親は子供を愛していると思うのですが、例外もあるでしょう)
ボーの母親モナのように自分の息子に
母親の思い通りにレールを作り、
そこを歩かせることが唯一の生きる道だと思い込んで、
洗脳に近い状態にしていたんでしょう。
親からの洗脳、足枷を切って、自分で歩んでいくことが人生なのかもしれないですが、
呪縛が強ければ強いほど、なかなか抜け出せない人もいると思います。
そんな人にもぜひ見てほしい映画ですね。
(ハッピーエンドではないので、元気な時に見ることをおススメします。
念のため・・・)