親への怒りが何年たっても消えないのは、昔の出来事を執念深く覚えているからとは限りません。過去の問題が認められないまま残っていたり、現在の関係の中で似たことが繰り返されたりすることで、怒りが何度も「今の感情」として発生している場合があります。
【時間がたっても、問題は解決しない】
親から言われた言葉や、受けた扱いを何年も思い出し、「もう昔のことなのに、なぜまだ腹が立つのだろう」と感じることがあります。
出来事が起きたのは過去でも、その後に納得できる説明や謝罪がなく、傷ついたこと自体を否定されているなら、本人の中では終わった問題になりません。
当時のことを話しても「そんなことはしていない」(むしろ真逆の、サポートをしたというような)と言われる。傷ついたと伝えても「考えすぎ」「いつまで昔の話をしているの」と返される。現在も同じように意見を否定されたり、生活に干渉されたりする。
このような状態では、過去の出来事だけに怒っているわけではありません。
当時受けた扱い、その後に認められなかったこと、現在も続く関係が重なり、一つの怒りとして残っています。
【 怒りの中には、別の問題が混ざっている】
親への怒りは、一つの感情だけでできているとは限りません。
一方的に扱われた悔しさ、本当は守ってほしかった悲しさ、自分の話を理解してもらえなかった感覚、何もなかったことにされたことへの反発などが混ざります。つまり根底にあるのは「自分の気持ちやその表現を否定された」悲しさです。
さらに、現在起きた小さな出来事が、過去と同じ扱いを受けた感覚につながると、以前の出来事までまとめて思い出すことがあります。
たとえば、親から現在の選択を否定されたとき、今回の発言だけでなく、過去に何度も意見を否定された記憶まで戻ってくる。記憶をわざわざ掘り返しているのではなく、「また同じことが起きた」と結びつくためです。
そのため、他社の目線からすれば貴方の出来事に対する反応が大げさに見えたとしても、実際には今回だけの怒りではありません。
過去から現在まで繰り返された複数の出来事に反応しています。
【好きな部分があるから、同じ関係へ戻ってしまう】
親との関係が、最初から最後まで悪いとは限りません。
普通に話せるときもある。一緒にいて楽しい部分もある。助けてもらった経験や、思い出、残しておきたい関係もある。むしろ場合によってはとても手をかけてくれた事だってあったりするものです。
そのため、完全に縁を切るのではなく、「会う頻度を減らせば大丈夫かもしれない」「話題を選べばうまく付き合えるかもしれない」と考えます。
これは、親から愛情や謝罪をもらえると期待しているという話だけではありません。
条件を調整すれば、仲の良い部分を残しながら、問題なく関係を維持できるのではないかという見込みです。
しばらく問題が起きなければ、少しずつ連絡や会う回数が増えます。自分の生活について詳しく話したり、頼み事に応じたりする範囲も広がります。
その結果、以前と同じ否定や干渉が始まり、過去の怒りまで戻ってくる。
この場合、怒りが何年も同じ状態で残っているというより、関係が近づくたびに問題が再発し、少しずつまた怒りと悲しみが蓄積されて行ってしまうのではないでしょうか。
【怒りを消す前に、何が繰り返されているかを見る】
親への怒りを整理するとき、最初から許すか、縁を切るかを決める必要はありません。
まず分けた方が良いのは、過去に何があったのか、その後に親がどう対応したのか、現在も何が続いているのかどうか。
さらに、親と仲良くしたいのか、過去を認めてほしいのか、自分の生活へ入ってこないでほしいのか。。
何を求めているのかによって、必要な距離は変わります。
親への怒りが何年たっても消えない。これは、昔のことを手放せないのではなく、同じ問題が現在の関係の中で何度も繰り返されているから。
必要なのは、怒りを無理に消すことではありません。
何が起きると過去の怒りまで戻ってくるのか、どの距離を越えると同じ問題が始まるのかを整理することです。
そうすることで、親との関係を残すとしても、自分が維持できる範囲を判断しやすくなります。
【一人では整理しにくいときは】
親への気持ちには、過去の怒り、現在も続く問題、仲の良い部分、関係を維持したい気持ちなどが混ざりあいます。
自分の場合は何が繰り返されているのか、一人では整理しにくいときは、具体的な出来事を順番に伺いながら一緒に整理します。