名刺交換だけで終わらせない!イベントを変える「診断コンテンツ」

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ビジネス・マーケティング
名刺ホルダーがパンパンになるほど、イベントで集めた大量の名刺。ですが、これらの名刺を、その後のリードナーチャリングにうまく活用できていない企業も多いのではないでしょうか。

イベントでは、大量のリードを獲得するため、そこに対するフォローがどうしても画一的になりがちです。しかし、せっかく高まった顧客の関心も、一斉配信のメールではなかなかマッチした情報を提供できず、そのまま放置されてしまうケースも少なくありません。

また、営業担当もどのリードを優先してアプローチすべきか判断に迷い、結果として多くの見込み客が「やりっぱなし」になってしまうのです。

こうした課題を解決し、イベントで生まれた熱量を確実に成約へとつなげる可能性を秘めているのが、「診断コンテンツ」です。診断コンテンツは、顧客が楽しみながら自社の課題やニーズを可視化できる「魔法のツール」。

この記事では、イベントで得た熱量と顧客データを組み合わせることで、貴社のビジネスに新たな価値をもたらす「診断コンテンツ」について解説します。

第1章:「イベント×診断」で1+1が3になる価値提供

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オフラインイベントは、来場者との直接的な対話を通じて、顧客の「熱量」を高められる貴重な場です。一方で、オンラインの診断コンテンツは、顧客の興味や課題を数値として可視化し、マーケティングや営業活動に活用できる具体的なデータを提供してくれます。

この章では、オフラインとオンライン、それぞれの特長を整理しながら、両者を組み合わせることで生まれる「1+1が3になる」ような相乗効果について、具体的な活用例を交えて解説します。

1.イベント(オフライン)の優位性

オフラインイベントの最大の強みは、やはり「直接対話による信頼構築」にあります。顔を合わせて会話することから生まれる安心感や信頼感は、オンラインでは得がたいものであり、顧客との長期的な関係づくりにおいて重要な要素です。

さらに、イベントならではの「その場の空気感」や一体感も、オフラインならではの魅力です。ライブ感のある会場の雰囲気は、参加者の感情に直接訴えかけ、製品やサービスへの関心を一気に高める力を持っています。

そしてもう一つの大きな価値が「深い体験の提供」です。デモンストレーションや体験型コンテンツを通じて、単なる情報提供では伝えきれない製品やサービスの本質的な価値を、顧客自身が実感できます。五感に訴えるような体験は記憶に残りやすく、購買意欲を強く刺激します。

これらの要素が重なり合うことで、オフラインイベントは顧客の「熱量」を最大限に引き出す場として、大きな価値を発揮します。

2.診断コンテンツ(オンライン)の優位性

オンラインの診断コンテンツは、イベントだけでは把握しきれない顧客の深層情報を引き出すのに、とても優れた手段です。そして、その最大の特長は、顧客が自発的に情報を提供してくれる点にあります。

診断コンテンツでは質問形式で顧客の考え方や状況を掘り下げていくことで、表面的なデータでは見えなかった潜在ニーズや課題を明らかにできます。こうして得られる顧客インサイトは、今後のマーケティング戦略や営業アプローチを設計するうえで、きわめて価値の高い資産となります。

さらに、診断結果に基づいて自動でパーソナライズされた情報提供ができるのも、診断コンテンツならではの大きな強みです。一人ひとりの興味関心や課題に合わせたコンテンツをリアルタイムで届けることで、顧客は「自分ごと」として受け止めやすくなり、より深い関心を持ってもらえるようになります。

また、診断結果をもとに顧客の関心度をスコア化すれば、リードの優先順位を定量的に判断できます。営業担当者は、ホットなリードに的確かつ効率的にアプローチできるようになり、限られたリソースを最大限に活かして成約率の向上を図ることが可能です。

このように、診断コンテンツは単なる情報提供ツールにとどまらず、「データに基づいた戦略的マーケティング」を実現するための、とても強力な武器となります。

3.連携で生まれる「新しい価値」とは?

イベントと診断コンテンツを組み合わせれば、これまでにない相乗効果が生まれ、顧客にとっても企業にとっても「新たな価値」を創出することが可能です。

まず一つ目の価値は、「熱量のデータ化と可視化」です。イベントで高まった顧客の熱量を、診断コンテンツを通じて客観的なデータとして取得できます。これまで感覚に頼っていた「見込み度」を数値で裏付けることで、営業担当者はどのリードを優先すべきかを的確に判断でき、より効率的かつ戦略的な営業活動を実現できます。

二つ目の価値は、「シームレスで快適な顧客体験の提供」です。「イベントで興味を持つ → スマホで診断に回答 → 後日、自分に最適な情報が届く」といった流れが、まるで水のように自然でスムーズに展開されます。顧客は、自分の関心や状況を企業がきちんと理解してくれていると感じ、エンゲージメントの向上につながるとともに、次のアクションへの移行もスムーズに進むでしょう。

そして三つ目の価値は、「質の高いリードの自動育成」です。イベントという“点”の接点を、診断結果をもとにしたステップメールやLINE配信といった“線”のナーチャリングへとつなげることで、せっかく獲得したリードを無駄にすることなく、継続的に育成できます。

第2章:【実例で学ぶ】イベント×診断の具体的な活用フロー

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これまでの解説で、イベントと診断コンテンツを組み合わせることで生まれる相乗効果について、理解を深めていただけたのではないでしょうか。

ここでは、その理論を実践へとつなげるために、架空のBtoB企業を例にとりながら、イベントにおける診断コンテンツ活用の具体的なフローを、時系列でわかりやすくご紹介していきます。

今回ご紹介するのは、中小企業向けにクラウド型の勤怠管理システムを提供する「株式会社Smart Work」が、「働き方改革EXPO」へ出展するケースを想定したものです。

イベント前・イベント当日・イベント後という3つのフェーズに分けて、診断コンテンツをどのように活用し、成果につなげていくかを、具体的なステップを追いながら解説していきます。

Step 1:イベント前【期待感を高める仕掛け】

イベント開催前のフェーズでは、主に「事前登録の促進」「当日のブース来訪のきっかけづくり」が目的となります。この段階で診断コンテンツを活用すれば、イベントへの期待感を高めると同時に、見込み客を効率よくブースへと誘導する導線を設計することが可能です。

株式会社Smart Workでは、イベント告知メールやSNS広告を活用し、来場者向けに魅力的な診断コンテンツを案内します。例えば、「1分で診断!あなたの会社に潜む“ムダな残業”とは?」といったタイトルで、中小企業の担当者が直面しがちな課題に訴求する内容を打ち出します。

この診断はオンライン上で簡単に受けられ、結果ページでは具体的な残業削減のヒントや、Smart Workのクラウド勤怠管理システムがどのようにその課題解決に貢献できるかをわかりやすく示します。

さらに、診断結果ページには「診断結果の詳しい解説は、働き方改革EXPOのSmart Workブースで!専門家が直接アドバイスいたします」といった強力な誘導メッセージを配置すれば、診断結果に興味を持った見込み客が、より具体的な情報を求めてブース来訪予約や事前アポイントメントへと自然に進む流れを作り出せます。

診断コンテンツは、単なる集客の手段にとどまらず、イベント前から顧客の課題意識を引き出し、ブース訪問の明確な動機づけとなる強力な“前振り施策”となるのです。

Step 2:イベント中【熱量をデータに変える】

イベント当日のブースでは、診断コンテンツを活用して来場者からリード情報を獲得し、その場で顧客のニーズを把握することが主な目的となります。会場の熱気をリアルタイムでデータ化し、その後のフォローアップに活かしていきます。

株式会社Smart Workのブースでは、iPadを複数台設置し、来場者が気軽に「1分で診断!あなたの会社の“ムダな残業”チェック」を体験できる仕組みを用意します。診断の開始時に名刺情報を入力してもらう、または後から名刺と診断結果をシステム上で連携することで、どの来場者がどのような課題を抱えているのかを即座に把握できます。

診断結果に応じて、配布するノベルティや資料も最適化します。例えば、「勤怠管理に課題あり」と診断された方には、Smart Workの導入事例や具体的な解決策をまとめた資料を手渡し、より関心度の高い情報を提供します。画一的な資料配布ではなく、一人ひとりのニーズに応じたパーソナライズされたアプローチが可能となるのです。

さらに、診断結果の画面にはQRコードを表示し、「3日後に届く『課題解決レポート』をご希望の方は、Smart Work公式LINEにご登録を!」といった誘導を行います。これにより、オフラインの接点であるイベントから、オンラインチャネルであるLINEへとシームレスに顧客をつなぎ、継続的なコミュニケーションの起点をつくります。

イベントというリアルの場で高まった顧客の熱量を、診断コンテンツによって具体的なデータに変換し、その後のアクションへと確実につなげていく。これこそが、ブース活用における診断コンテンツの最大の強みです。

Step 3:イベント後【パーソナライズされた追客】

イベント終了後の最終的な目的は、獲得したリードの離脱を防ぎ、最終的に商談へとつなげていくことです。このフェーズでは、診断コンテンツから得られたデータを最大限に活用し、顧客一人ひとりに合わせた追客コミュニケーションを行います。

まず、イベント当日から3日以内の「熱が冷めないうち」のタイミングでアプローチを開始します。お礼のサンクスメールとともに、イベント会場で体験してもらった診断結果をまとめたPDFレポートを送付します。LINE登録者には、診断内容に基づいたパーソナライズコラムを配信します。

例えば、「法改正への対応」に高い関心を示した方には、該当テーマの解説ウェビナーをご案内するなど、具体的な課題解決につながる情報を届けます。

続いて、1週間後からは、診断結果に応じたセグメント別のステップメールを配信します。興味・関心の高いトピックに基づいた導入事例やお役立ち資料を定期的に提供することで、顧客の購買意欲を継続的に高めていきます。

さらに、診断結果から「潜在的な課題スコア」が高いと判断されたリードは、ホットリードとして優先的にピックアップします。

インサイドセールスチームは、「先日ご回答いただいた診断結果について、少し詳しくお話できればと思いまして」といった、パーソナルなトークスクリプトで架電を行います。これにより、顧客は「自分の状況をしっかり理解してくれている」と感じ、アポイント獲得の確率も大きく向上するでしょう。

第3章:戦略を成功に導く3つの重要ポイント

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これまでの章では、イベントと診断コンテンツを掛け合わせることで生まれる相乗効果や、実際の活用フローについてご紹介しました。

しかし、この強力な組み合わせを“ただのアイデア”に終わらせず、実際の成果へと結びつけるためには、いくつかの重要なポイントを確実に押さえておく必要があります。

本章では、「イベント×診断コンテンツ」戦略を確実に成功へと導くために、特に押さえておきたい3つのポイントに焦点を当てて解説します。

Point 1:人を惹きつける「診断コンテンツ」の作り方

イベントと連携する診断コンテンツは、単に情報を集めるだけでなく、顧客の心を掴み、行動をうながすものであるべきです。そのためには、診断コンテンツそのものの質が、とても重要になります。

まず、最も意識すべきは「自分ゴト化させる設問」です。設問では専門用語を避け、誰にでも理解でき、かつ回答者が「これはまさに自分の状況だ!」と感じるような設問を用意しましょう。

例えば、クラウド勤怠管理システムであれば、「ついやってしまいがちな月末の残業集計作業は?」や「従業員からの勤怠に関する問い合わせに、週に何時間くらい費やしていますか?」など、具体的な行動や日々の悩みに焦点を当てることで、共感を呼びやすくなります。

次に重要なのは、ポジティブな結果の提示です。診断結果では、たとえ課題を指摘する内容であっても、必ずその解決策や、サービス導入によって得られる明るい未来への期待感を持たせるような表現を心がけましょう。

「あなたの会社には○○という課題があります」と指摘するだけでなく、「この課題を解決することで、御社は年間○○時間のコスト削減が見込めます!」や「最新のシステム導入で、従業員満足度が格段に向上するでしょう」といった、前向きなメッセージを添えることが大切です。そうすることで、顧客が診断を通じて「もっと良くなりたい」と感じ、次の行動へとつながりやすくなります。

Point 2:連携をスムーズにする「ツール」の選び方

イベントと診断コンテンツを効果的に連携させるには、適切なツールの選定が重要です。それぞれのツールがスムーズに連携することで、情報の分断を防ぎ、効率的なリードナーチャリングを実現できます。

まず、診断作成ツールを選ぶ際には、そのUI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)が優れているかを確認しましょう。直感的に診断コンテンツを作成・管理でき、回答者にとってもストレスなく利用できるデザインであることが重要です。

また、最も重要なのが外部連携の容易さです。MA(マーケティングオートメーション)ツールやCRM(顧客関係管理)ツールとのAPI連携やCSVエクスポート機能が充実しているかを確認しましょう。これにより、診断で得られた顧客データをスムーズに他のシステムに取り込み、活用できるようになります。

次に、MA/CRMツールは、獲得したリード情報と診断結果を一元管理できることが必須です。イベントで集めた名刺情報と、診断コンテンツを通じて得られた顧客のニーズや課題を紐付けてデータベース化することで、顧客一人ひとりのプロファイルをより詳細に構築できます。

さらに、診断結果に基づいて顧客をセグメント化し、それぞれのセグメントに合わせたシナリオ配信(ステップメールやLINEメッセージなど)ができる機能があるかどうかも重要な選定ポイントです。これにより、顧客の興味関心度合いやフェーズに応じた最適なタイミングで、適切なコンテンツを自動で届けることが可能になり、手動では難しいパーソナライズされたリード育成が実現します。

Point 3:効果を測る「KPI」の設定

どのようなマーケティング施策においても、その効果を正しく把握し、改善サイクルを回していくためには、適切なKPI(重要業績評価指標)の設定が必要です。「イベント×診断コンテンツ」戦略においても、各フェーズで具体的な数値を追うことで、施策のどこに課題があるのかを明確にし、次のアクションへとつなげられます。

まず、イベント集客期に注目すべきKPIは、「診断の事前登録数」「診断完了率」です。

事前登録数を見ることで、診断コンテンツがイベントへの関心をどれだけ引き出せているかが分かります。また、診断完了率は、コンテンツ自体の魅力や入力の手軽さを測る指標となり、離脱ポイントの発見に役立ちます。

次に、ナーチャリング期では、「メール開封率」「コンテンツクリック率」、そして「LINE登録数」が重要なKPIとなります。

これらの数値は、診断結果に基づいたパーソナライズされたコンテンツが、顧客にどれだけ響いているか、継続的な関係構築につながっているかを示します。開封率が低い場合は件名や配信タイミングを、クリック率が低い場合はコンテンツ内容を見直すヒントになります。

そして、最終的な成果を測る商談化期では、「有効商談化率」「成約率(CVR)」が最も重要なKPIです。診断コンテンツ経由のリードが、実際に商談に進み、そして成約に至るまでの率を追うことで、この戦略全体のROI(投資対効果)を評価できます。

これらのKPIを継続的に計測し、結果に基づいて施策を改善していくPDCAサイクルを回すことで、「イベント×診断コンテンツ」戦略は、より高い成果へとつながっていきます。

【まとめ】イベントを顧客とつながる「線」に変えよう

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本記事では、「名刺交換だけで終わらせない!イベントの熱量を成約に変える『診断コンテンツ』活用術」と題し、イベントで生まれる熱量と診断コンテンツによるデータ活用を掛け合わせることで創出される新たな価値、そしてその具体的な活用フローと成功のためのポイントについてご紹介してきました。

これまでのように、単発の「点」の接点で終わっていたイベントは、「イベント×診断コンテンツ」という戦略を用いれば、顧客の関心を深く掘り下げ、イベント後も継続的に関係を築く「線」へと変えていけます。

これは、単なる集客施策ではなく、顧客一人ひとりとの信頼関係を長期的に育み、最終的には成約へと導く“顧客育成モデル”として、大きな可能性を秘めています。

ぜひ次回のイベントでは、診断コンテンツを活用して、顧客とのより深い関係構築を図っていきましょう。

なお、当方では様々な診断コンテンツのロジック開発を請け負っております。診断コンテンツの企画・設計から開発・運用まで、診断コンテンツ作成キャリア30年以上の筆者がサポートいたします。

イベントにおいて、診断コンテンツの活用を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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