こんにちは、脱公務員キャリアコンサルタントのしーもです。
今回は先日見た、
厚生労働省「経済社会情勢の変化に対応したキャリアコンサルティングの実現に関する研究会」第1回資料から見えてきた日本のキャリアの現状について考えてみようと思います。
■「何もしていない」労働者が半数超⁈
厚生労働省の資料を見て、驚いた数字がありました。
日本の労働者のうち、勤務先以外で自分の成長を目的に行っている学習・自己啓発の状況として、とくに何もおこなっていない割合は52.6%で、他の諸外国と比べて突出して高い
しかも、平均では「何もしていない人」は18%。
日本はその約3倍の水準で“何もしていない”層が多いんです。
インドにいたっては、わずか3.2%です。
97%の人は、なんらかの学習・自己啓発をしているというわけですね。
なんと意識の高いことか…
■エンゲージメントは世界最低の5%
さらに衝撃なのが、従業員エンゲージメント(従業員の仕事や職場への関与・熱中の度合い)の数字。
日本はわずか5%。
これは、アメリカ(31%)やヨーロッパ諸国(平均13%)と比べても、極端に低い。
世界全体でみても23%なので、いかに日本が低いかは明らかです。
言い換えれば、日本の働く人の**95%が「なんとなく働いている」**ということになるんですね…。
どうしてこんなにも差があるのでしょうか…
■自分を磨かず、仕事にも乗れない——その背景は?
なぜこんなにも「学ばない」「やる気がない」状態が広がってしまったのか…
ここに示されているのは一部のデータでしかなく、過去からそうだったのかどうかはわからないのでなんとも言えないところですが、、、
例えば一つの仮説としては、以下のようなことがあるのかもしれません。
「会社に任せる」キャリア観
かつての日本は、年功序列・終身雇用の社会。
「会社が面倒を見てくれる」キャリアが当たり前だった時代が長く続きました。
コツコツ真面目に働いてさえいれば、年齢と共に肩書き、給料も上がっていって、、、と定年退職までのレールがある程度用意されていた時代。
自分の将来(キャリア)を自分で考える、なんて文化は育ちにくかったのかもしれませんね。
そうやって育ってきたマネジメント層(40代~50代?)に、従業員のキャリア意識を育めと言っても、自分がそうしてこなかっただけに難しいでしょうね。
経営層も然りです。
こうして、若手と呼ばれる人が、次の世代になる頃には、同じことが繰り返されていったのかもしれません。
全ての人がそうであったとは思いませんが、多くの人がそのような社会の空気感の中で過ごしてきたのは、あながち間違いではないでしょう。
■キャリア支援の“課題”
日本でも、キャリアコンサルティングを行う仕組みが導入されている事業所の割合が約4割あります。
でもその中で、実際にキャリアコンサルタントが関わっているのはわずか11.3%。
導入していない理由で最も多いのが、「従業員からの希望がない」というもの。
また、
キャリアコンサルティングを導入している事業所での、問題意識としては「従業員からキャリアに関する相談件数が少ない」というもの。
たしかに、自己啓発の意欲にも乏しく、エンゲージメントも低い状況ではそうなってしまうのも致し方ないですね。
キャリアコンサルティングの仕組みを導入している事業所であっても、従業員からのキャリアに関する相談が少ないということなので、必ずしも事業所側だけの問題ではないということですね。
従業員の側にも、意識の持ちようとして自身のキャリアを意識しようというマインドが普及していないのかもしれません。
■数値の整理と考察
キャリアコンサルティングを導入している企業:全体の約40%
その中でキャリアコンサルタントが関わっている割合:11.3%
ということは、100社中 約4.5社程度(≒4.52%)で「キャリアコンサルタントが関わっている」ということになります。
一方で、
従業員エンゲージメント:日本 5%
単純に結びつけることはできないですが、
この数値が近いことには、少なからず関連があるのでは?と思わずにいられない、興味深い符合です。
エンゲージメントが高い職場=”専門家による”キャリア支援の文化があるということなのかもしれないですね。
■キャリアコンサルティングの効果
また、資料の中では、
キャリアコンサルティングの効果として、
事業所側の回答としては、「従業員の仕事への意欲が高まった」「自己啓発する従業員が増えた」という回答が多く、
従業員側の回答としても、「仕事に対する意識が高まった」「自己啓発を行うきっかけになった」とする回答が上位にきています。
ということは、キャリアコンサルティング自体には、一定意義があると言ってもよさそうです。
仕事への意欲の高まりはエンゲージメントに関係していますし、自己啓発に取り組む従業員も増えている訳ですから、前述の日本の課題解消には一定の効果があるのだと言えます。
■じゃあどうすれば??
今の「自己研鑽しない」「やる気が出ない」構図を少しでも改善するためにも、
企業は、
キャリア形成の土壌を整えること=キャリアコンサルティングの仕組みを導入
従業員は、
キャリアを“自分ごと”として捉えること=キャリアに関する相談を積極的に利活用する
企業と従業員、どちらかだけが何かをする、という話ではなくて、
それぞれの立場でキャリア形成に向き合っていかなければ、効果は半減してしまいます。
ですが、きちんとお互いがキャリア意識の重要性を理解して行動すれば、双方にとってより良い好循環が生じていくのではないかと思います。
そして、
それぞれの間を取り持つ存在として、キャリアコンサルタントがいるのではないでしょうか。
自己研鑽しない人が多くて、エンゲージメントが低いこの日本で、
キャリアコンサルタントが担うべき役割は、むしろこれからが本番だと感じています。
そのために厚生労働省では、冒頭の研究会でその在り方を模索しているのだと思いますし、大いに期待したいと思います。