脱公務員キャリアコンサルタントのしーもです。
本日は、キャリアコンサルタントがどういう法律のどこになんと書かれているか、整理してみようと思います。
■職業能力開発促進法
これがキャリアコンサルタントの根拠法令です。
こんなの聞いたことありますか?
私は無かったです。
散々、法律を扱う仕事をしてきましたが、厚労省系の法律はほとんど接してこなかったので知りませんでした。
でも、意外と古くからある法律なんですね。
昭和44年なので、55年も前からある法律です。
当時は職業訓練法という名称だったみたいですね。
今の法律名になったのは、昭和60年の改正からだそうです。
その後も幾度かの改正を経て、平成27年(2016年)の改正でキャリアコンサルタントが法律に位置づけられるようになりました。
■ 定義と名称独占
さて、職業能力開発促進法のどこに何が書かれているのでしょうか。
職業能力開発促進法第30条の3では、キャリアコンサルタントについて以下のように定義されています。
「キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルタントの名称を用いて、キャリアコンサルティングを行うことを業とする者をいう。」
また、同法第30条の28では、以下のようにも規定されています。
「キャリアコンサルタントでない者は、キャリアコンサルタント又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。」
この二つの規定を合わせると、
「キャリアコンサルタント」という名称を使用して業としてキャリアコンサルティングを行う者は、国家資格を有する者に限られる、ということになります。
つまり、キャリアコンサルティング自体は誰でも行うことができますが、「キャリアコンサルタント」の名称を用いることは資格者のみに許されているということですね。
■ 資格取得の要件
キャリアコンサルタントになるためには、以下の手続きを踏む必要があります。
試験の実施:第30条の4において、キャリアコンサルタント試験の実施が規定されています。
登録の要件:第30条の19では、試験に合格し、登録を受けることでキャリアコンサルタントとして認められることが明記されています。
ということは、試験に合格しただけではキャリアコンサルタントになることはできないということで、登録して初めてキャリアコンサルタントになれるということですね。
これは、宅地建物取引士とかもそうです。
宅建試験に合格しただけでは、宅建士とは言えません。
登録して初めて宅建士なので、合格者はただ宅地建物取引士試験合格者というだけです。
■キャリアコンサルティングとは?
職業能力開発促進法第2条第5項では、キャリアコンサルティングについて以下のように定義されています。
「この法律において『キャリアコンサルティング』とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいう。」
この定義をもう少し噛み砕いて、整理していきましょう。
労働者とは?
職業の選択とは?
職業生活設計とは?
職業能力とは?
相談、助言、指導とは?
1.労働者とは?
法第2条第1項に定義があり、事業主に雇用される者及び求職者をいう。と定義されています。(ただし、船員は除かれます。)
2.職業の選択とは?
労働者が職業を選択すること。(言葉通り)
例えば、転職を考える労働者が、業界の動向や必要なスキルについて情報収集を行い、職業を選択すること。
3.職業生活設計とは?(難解…)
法第2条第4項では、職業生活設計について以下のように定義されています。
「この法律において『職業生活設計』とは、労働者が、自らその長期にわたる職業生活における職業に関する目的を定めるとともに、その目的の実現を図るため、その適性、職業経験その他の実情に応じ、職業の選択、職業能力の開発及び向上のための取組その他の事項について自ら計画することをいう。」
自分で、
キャリアプランを考えたり、それを実現するために
自己の適性や経験に応じて、職業選択や自己啓発などの取組みを
計画すること
という感じですね。
ポイントは、「自ら」というキーワードが1文の中に2回も入っていることでしょうか。
文章がダラダラ長くなって結局何がいいたいのかわからなくなるのが法律の悪いところで、それを読み解く面白さでもあるのですが、、、
この文章は前半と後半に分けて考える感じですね。
前半は、
労働者自身が「職業に関する目的を定める」と書いてあって
後半は、
労働者自身が「目的実現のための様々な取り組みなどを計画する」ってことが書いてあります。
とにかく自分で決めるんだよ、ってことが書かれています。
4.職業能力とは?
法第2条第2項に、職業に必要な労働者の能力をいう。と定められています。
つまり職業能力の開発及び向上とは、”職業に必要な労働者の能力の開発及び向上”ということになりますね。
5.相談、助言及び指導とは?
相談=カウンセリング
助言=アドバイス
指導=ガイダンス(コトバンクによると、不慣れで事情のわからない者に対して、初歩的な説明をすること。案内。手引き。)
という感じになるのかなと思います。
助言・指導については、法律用語的なニュアンスがもうちょい強いのかもしれませんが、おおよそこんな感じで遠くないかと。
6.要するにドユコト??
以上を踏まえて、
「キャリアコンサルティング」というのは、
労働者の、
①職業の選択
②職業生活設計
③職業能力の開発・向上
に関する
1⃣相談(カウンセリング)
2⃣助言(アドバイス)
3⃣指導(ガイダンス)
を行うこと、ということですね。
ですが、一つ不思議というか、重複表現があることに気が付きました。
①職業の選択と③職業能力の開発・向上というキーワードは、②の職業生活設計の中にも含まれているんですね。
ということは、あえて、①、③を書かなくても、
「キャリアコンサルティングとは、労働者の職業生活設計に関する相談に応じて助言・指導すること」としても意味は同じなんです。
職業生活設計の意味の中には、「職業の選択」や「職業能力の開発・向上」も書いてありますから、その点で相談者が悩んだときには、キャリアコンサルタントに相談しながら、最終的に自分で決めるわけですから、辻褄は合っていると思います。
なんであえて、重複した条文表現にしたのかな。。。
■コンサルというワードの強さよ
コンサルタント、コンサルティングという言葉の持つイメージが強すぎて、相談したら解決してもらえる、いい解決策を教えてもらえる、という風に思われるだろうなと思います。
一般の人がコンサルに期待する役割って、そうだと思うので・・・
丁寧に傾聴して、カウンセリングして、気づきを促す応答を・・・ってしてたら、
「コンサルなんだから、もっと何か提案してくれないの?」って
言われたり、
言われないまでも、相談者さんの期待する視線が……
まずは、キャリアコンサルタント自身が、自分の役割、キャリコンって何する人なの?っていうことに簡潔明瞭に答えられないと、周りに広まっていかないですよね。
今回は、自分自身の頭の整理も兼ねて、そもそも自分の仕事や肩書きが法律にどのように明記されているのかを書いてみました。
なんか、スッキリしました。