ハラスメントとは、相手に対して精神的・身体的な苦痛や不快感を与える行為のことです。相手が不快に感じたり、心理的・身体的なダメージを受けたりすれば、それはどんなことであってもハラスメントに該当する可能性があります。近年ハラスメントは社会問題となり多くのハラスメントが認識され、今まであったようなハラスメント行為を行わない取り組みがなされてきました。でも私自身それだけでは足りないような気がしています。その点について考察してみました。
まず、ハラスメントには多くの種類があり、それぞれ異なる形で相手に精神的・肉体的な負担を与えます。職場や社会で起こるものとして、パワーハラスメント(パワハラ)は、職場の権力を利用して部下を叱責したり、仕事を与えずに孤立させたりする行為を指します。モラルハラスメント(モラハラ)は、言葉や態度で相手を精神的に追い詰める嫌がらせであり、夫婦や職場、友人関係などで見られます。セクシュアルハラスメント(セクハラ)は、性的な言動や行動によって相手を不快にさせる行為で、不必要な身体接触や性的な冗談、性別による差別などが含まれます。ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)は、「男なんだから泣くな」「女なんだから愛嬌を持て」など、性別による固定観念を押し付けることを指します。マタニティハラスメント(マタハラ)は、妊娠・出産を理由に不当な扱いを受けること、例えば妊娠報告後に降格・解雇されることなどが含まれます。パタニティハラスメント(パタハラ)は、男性が育児休暇を取ることで嫌がらせを受けることを指し、「男が育休なんて取るな」などの発言が該当します。アルコールハラスメント(アルハラ)は、無理な飲酒の強要や酒に関する嫌がらせで、一気飲みの強要や酒が飲めないことを理由に仲間外れにする行為が含まれます。スモークハラスメント(スモハラ)は、喫煙者が非喫煙者に迷惑をかける行為で、会社の喫煙所以外での喫煙などが該当します。リストラハラスメント(リスハラ)は、退職やリストラを強要する嫌がらせで、「辞めるしかないね」などの圧力をかけることが含まれます。エイジハラスメント(エイハラ)は、年齢を理由に差別的な発言や扱いをすることで、「もう歳なんだから無理でしょ」などの発言が該当します。カスタマーハラスメント(カスハラ)は、顧客が理不尽なクレームや要求をすることで、過剰な値引き要求や土下座の強要などが含まれます。
家庭やプライベートでのハラスメントとして、ドメスティックバイオレンス(DV)は、家庭内暴力の総称であり、身体的暴力(殴る、蹴る)や精神的虐待(無視、侮辱)が含まれます。ストーカーハラスメント(ストハラ)は、相手にしつこくつきまとう行為で、SNSでの監視やつきまとい、待ち伏せなどが該当します。テクノロジーハラスメント(テクハラ)は、IT機器やSNSを利用した嫌がらせで、「LINEの返信が遅いなんて失礼」などの強制が含まれます。ゼクシャルハラスメント(ゼクハラ)は、結婚に関するプレッシャーを与える行為で、「早く結婚しなよ」「子どもはまだなの?」などの圧力が該当します。ペットハラスメント(ペトハラ)は、ペットに関する迷惑行為で、動物アレルギーの人に無理やり触らせることや、ペットのしつけをせず周囲に迷惑をかけることが含まれます。
現代社会での意識の高まりにより、ハラスメントは非常に重要な課題として認識されてきています。正直なところ今までの私はこのハラスメント達に鈍感だった気がします。なぜなら、生きていく上で不快な体験や好まない人間関係などは避けて通れないものと思っていた節がありますし、それを我慢し、上手くいなし、耐えることが当たり前と思っていたからかもしれません。当然そういった私ですから、意図せずもしくは安易に他者へのハラスメント行為を行なってしまった過去があるかもしれません。しかし、時代は変わりました。他者からの不快と思われる行為はほとんどの場合なんらかのハラスメントと見なされる可能性があるのです。職場だけでなく友人同士のやり取りや家族の間でも細心の注意を払って自身がハラスメントをしないように努めるのはもちろんのこと、それと同じくらい大事なのが、自分が不快な思いをしているのは他者からのハラスメントのせいかもしれないと自覚することなのだと思います。特に私よりも上の世代は我慢が美徳といった文化があり、自分がハラスメントを受けていてもそれが自分に非があると思い込んでしまいがちです。この思考回路が一番危ないと思います。自分に非があると勘違いすると、正すのは相手ではなく自分。でも、大抵そのような努力は報われず、ハラスメント行為は続きます。その結果、体調を崩してしまったり、ハラスメントを拒否する気力も失ってしまったりしてしまいます。
今、ハラスメントが注目されできる限り他者にハラスメント行為をしないように社会全体が注力していると思います。でも、もっと大事なのは実際にハラスメントを受けていることを正確に認識し、ちゃんと拒否したり、相談したりできるように自分の生活を今までと違う切り口で検討してみる姿勢なのかもしれません。「自分はもしかしたらハラスメント行為を受けている?」そのように考え、自分を大切にし、自分をハラスメントから守っていくことが今一番求められていることなのではないでしょうか?