高卒デザイナーの独り言(90年代のデザイナー)

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デザイン・イラスト
話が古くて申し訳ないんですけど、私がデザイナーの仕事を覚えた時期は、まだバブル景気でして。
周りの女性は、ほとんどブランド物のバッグや服を持っていて、中にはローンですけど、高級車に乗る同世代の人も多く、3ヶ月単位で昇給、1年で昇格、中小企業ではあるものの若いうちに課長や部長になる人もいたりしました。

私が勤めた会社は、地方の建築デザインの会社から独立した男性が社長で、彼が営業をしていました。制作部は皆、女性(制作部での男性の採用は断っていたらしい)で、そこで広告の仕事をしていました。

同じ市内のデザイン会社で、当時の電通やリクルートと取引しているところもあり、驚くような予算がデザインに動いていた時代です。
象徴するような出来事として「1時間かかったら、時間単価5,000円は請求しなさい」と言われて、その通りに「5,000円」と伝票に書いたら、
社長に「安すぎるよ。一桁足らない」と言って「50,000円」にされてしまいました。しかも、その請求通りに振り込まれてしまうと言う、そんな時代でした。

しかし、今でこそ、グラフィックデザインは、ほぼデジタルデータでの制作ですが、当時は「編集機」「ワープロ」くらいしか、専用機器がなかった時代です。

印刷の仕事の工程は…
・大まかな内容とレイアウトを決め、撮影が必要ならカメラマンの手配
・ワープロの文字と写真のコピーをコピー機で縮小し、ラフ原稿を作り
・内容が決まったら、撮影し、写真屋さんでプリント ※使う写真はポジフィルムに
・「写植」や「紙焼きの縮尺」を指定して業者さんに依頼し、版下制作開始
・版下の台紙に「写植」「印画紙」をデザインボンドで貼り付け、写真は「アタリ」を決め
・トリーシングペーパーで色指定(ほとんど想像力による)
・写真やネガ、ポジを用意し縮尺を指定し、製版業者に色校正を依頼
・色校正のためだけに製版でフィルムを製造、色校正をお客様に見せて内容を詰める ※フィルムはカラーは原色4枚、単色刷りは1枚
・変更箇所をフィルムで修正してもらう
・印刷

これだけ大勢のスタッフによる手間と、工程と、予算がかかっていました。
なので冊子のパンフレットは最低でも数百万円。ハガキ印刷で単色でも、最低数万円。今は特色印刷や色上質紙の印刷は高めですが、当時は一番安い仕様でした。

写真は点数ごとに製版が発生しましたので、軽々しく「写真が気に入らないから差し替えて」などと言える空気ではありません(それでも景気が良かったので、言う会社はありましたけど)。その度に撮影と発注と予算が発生しますから、印刷まで念入りなチェックと打ち合わせが必要でした。

また「罫線」「ロゴ」は手書きでした。
私はロトリングと呼ばれたペンで書いていましたが、上の世代は「烏口」だったようです。パソコンがない時代のデザイナーは、手先が器用出ないと勤まらない仕事だったのです。

パソコンが普及し、AdobeのIllustratorを知った時は、衝撃でした。
この工程をすっ飛ばして、印刷原稿ができるなんて…と。

私の勤め先は広告代理店だったので、デザイン事務所という感じでもなかったので、こんな感じでしたけど、他のデザイナーさんは、どうだったのでしょうか。

アニメーター時代は1枚100円で描いていたのに
デザイナーですと、カット1点3,000円〜、ロゴマーク1点(当時安くて)150,000円〜と破格に上がったので、とてもビックリしたのを覚えています。

え、だって、アニメーターの絵の方が難易度高かったのに。。。

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