【FX】なぜ勝率9割の手法でも破産するのか?「期待値の重複」に隠された致命的な罠

記事
マネー・副業
暫くノウハウ記事を書いていなかったので久々にFXトレードに役立つ内容を書きたいと思います。
私のこれまで書いたノウハウ記事を読まれてきた方であれば、きっとこの新しい記事を待ち望んでいたのではないでしょうか。
FX関連で毎回ここまで有用性の高い内容を無償で公開している販売者は非常に少ないかと思います。
それ故、FX関連の販売者は、これらの内容をアレンジして自身の販売サービスに組み込んだり、あたかも自分が元から持っていたノウハウかのようにサービス概要やブログ記事に転用したりすることも容易に可能です。
実際に、ココナラで販売されているサービスの中には私が以前ブログで公開した内容と酷似した文章を概要欄や関連ブログに入れているのを見かけております。
もちろん偶々かもしれませんし、そこを追求する気はありませんが、例え同じことを言っていたとしても書いている本人が本質を理解できていなければ、その内容がサービスに紐づいておらず、薄っぺらいものになってしまいます。

分かりやすく例を出しましょう。前述のとおり偶々かもしれませんので特定を避けるため実際のケースは書きません。

サービス紹介例文:

「トレード回数が増えれば当然リスクも増える。だからプロは不要なトレードはせず、勝てる場面でしかエントリーはしない」

本手法では、その“勝てる場面”を個人の感覚ではなく、
機関投資家が実際に意識している資金の流れと市場構造に基づいて定義しています。
機関投資家は、流動性が集まるポイントでポジションを構築し、
その後の価格変動を主導することで利益を上げています。
つまり我々個人トレーダーも、その動きに同調することで無駄なリスクを取らずに優位性のあるトレードが可能になります。
本手法では、5分足をベースにこの“機関の仕掛けが入る初動”のみを抽出し、
1日あたり平均1〜3回の高確率ポイントに絞ってエントリーを行います。
短期足でありながらも市場の本質的な資金フローを捉えているため、
無駄なトレードを増やすことなく、効率的に利益を積み上げることが可能です。
重要なのは、闇雲に回数を増やすことではなく、
機関の動きと一致した“本当に意味のあるトレードだけ”を積み重ねることです。
この視点を持つだけで、これまで見えていなかった相場の本質が理解できるようになるでしょう。

一見私が常々書いている「トレード頻度と勝率の関係」と同じ視点を持ったプロのサービスのように見えるかもしれません。
アマチュアには非常に刺さる構成ですが本物のプロの目線で見れば、この販売者は本質を理解できていない=勝てていないというのが直ぐに分かります。
以下が矛盾点です。

「機関投資家の資金の流れを5分足で捉える」
→ 実務的には不可能に近い
(機関の執行は分割・時間分散・ダークプール等で“見えない”)

「機関の初動を個人がピンポイントで抽出」
→ そもそも“初動”という概念自体が後付けでしか観測できない

「流動性が集まるポイントで機関が仕掛ける」
→ 半分正しいが、実際は“流動性を利用して処分する側”でもある
(=同調すれば良いという単純構造ではない)

「低頻度 × 短期足 × 機関追随」
→ この3つは本来かなり相性が悪いのに、自然に両立している前提になっている

用語は全部「正しそう」
ロジックも「繋がっているように見える」
しかし実際は「現実の市場構造と整合していない」前提で組まれている

つまり、
知識ではなく現場理解がないと見抜けないタイプの矛盾となっています。

これはかなり巧妙な一例でしたが、実際はこれにも及ばない、もっとスカスカなものがほとんどです。
しかし、にも関わらず多くの勝てていないトレーダーは「それっぽい内容」に説得力を感じて、「勝てる」と幻想を抱き、そのようなサービスを購入してしまいます。

近年、特に厄介なのが、AIの普及です。
サービス販売者は例えノウハウやスキルがなくても、AIからそれっぽい回答を得られるので、あたかも知識があるように振舞え、簡単に専門性のある内容を書くことができるため、いくらでも「勝てているトレーダー」を装うことができます。

だから私は一貫して購入者側には

①販売者の実力が明確に示されているか
②販売されているサービスの実績に対する根拠は示されているか

この2点を購入前に必ず見て判断するようお勧めしております。
以前公開した以下記事に詳しく書いておりますので、特にこれまでFX関連商材を購入し失敗したと感じられている方は是非読まれると良いでしょう。

確率の罠

前置きはこの辺にして早速今回の本題に入ります。
これまでも、FXを行う上での重要な考え方や心構え等をブログに書いてきましたが、まだまだ知っておくべきことは沢山あります。
その中でも私が重要視している初歩的な部分として「確率」があります。

突然ですが「勝率6割の手法」があったとします。
この手法で10回やったら何回勝てると思いますか。

単純に10回に6回は勝てると思っていたら、その認識は誤りです。
数学の世界には「ギャンブラーの謬論(誤謬)」という言葉があります。
例えばコイン投げで5回連続で「表」が出たとき、「次はさすがに裏が出るだろう」と直感的に思う人は多いでしょう。
しかし、次に裏が出る確率は、それまでの結果に関わらず常に50%です。

多くの負け組トレーダーは、「勝率6割なら、10回中6回勝てる。だから大きな連敗は起きない」と盲信しています。
しかし、これが数学的にいかに恐ろしい誤解であるかを説明いたします。

「連敗」は確率ではなく「時間の問題」である理由

勝率が60%(0.6)の手法においては、負ける確率は40%(0.4)です。
では、この手法で「10連敗」する確率はどの程度でしょうか。

【計算式】
0.4 の10乗(0.4 × 0.4 × 0.4…を10回繰り返す)= 0.0001048576
つまり、約「0.01%(1万回に1回)」の確率で10連敗は発生します。

ここで多くの人は「なんだ、ほとんど起きないじゃないか」と考えます。
しかし、この認識には大きな落とし穴があり、先ずこの0.01%という数字は、あくまで「10回の試行の中で10連敗する確率」に過ぎません。

実際のトレードは10回で終わるものではなく、100回、1000回と繰り返されていきます。

つまり本質的な問題は、
長期的に見て、一度でもその連敗を引くかどうか」です。

試行回数が増えれば増えるほど、本来は低確率であるはずの現象も、現実として発生する可能性は急激に高まります。

では、より現実的に起こり得る「5連敗」で考えてみます。

5連敗する確率は
【計算式】
0.4 × 0.4 × 0.4 × 0.4 × 0.4 = 0.01024(約1%)

つまり、1回の試行においては、約1%の確率で5連敗が発生します。

逆に言えば、
5連敗しない確率は

【計算式】
1 - 0.01024 = 0.98976(約99%)

ここだけを見ると、これまた「99%で回避できるなら、ほぼ起きない」と感じるかもしれません。

しかし問題は、トレードはこの“1%”の判定を何度も何度も繰り返す行為であるという点です。

100回トレードするということは、
5回の並び(連続した5トレード)を何度も観測することになります。

ここで重要なのは、これらの試行は「1〜5回」「2〜6回」「3〜7回…」のように互いに重なり合っており、完全に独立ではないという点です。

そのため単純に「独立した20セット」として計算すると
実際よりも連敗の発生確率を過小評価してしまいます。

厳密な計算はやや複雑になりますが、近似的に考えても、
100回程度のトレードにおいて5連敗を経験する確率は20%台後半(約25%前後)に達します。
要するに、手法が正常だったとしても4人に1人は5連敗を経験するということです。
▼補足【5連敗の発生確率(100回トレード)】

負け確率 0.4、5連敗確率 0.01024 を用いた漸化式:
P(n) = P(n-1) - P(n-5) × 0.01024 × 0.6
P(0)~P(4) = 1計算結果:
P(100) = 0.752
よって、5連敗を少なくとも1回経験する確率 = 1 - 0.752 = 0.248(約25%)
さらに試行回数を1000回まで増やすとどうなるでしょうか。
この場合、5連敗が発生する可能性は飛躍的に増加します。
概念的には「1%の事象を何百回も引き続ける」状態になるため、
一度も5連敗を引かずに終わる確率の方がむしろ低くなります。
計算方法にもよりますが1000回規模の試行では、ほぼすべてのトレーダーが一度は5連敗を経験する水準に到達します。

以上のとおり、
連敗とは「珍しい事故」ではなく、トレードを続ける限り、必ずどこかで遭遇する“統計的に必然の現象”と言えるのです。

にもかかわらず、多くの人は、
数回の連敗で手法を疑い
ロジックを変え
結果として優位性を自ら壊してしまいます。

これこそが、負け組トレーダーが陥る最大の罠と言えます。

確率と結果は一致しない

ここで、もう一つ重要な話があります。
先程も例にあげたコイン投げを例に。

コインを投げたとき、表が出る確率は50%です。
これは誰もが分かっています。
では、コインを10回投げたらどうなるでしょうか。

5回は表になる
実際にはそうとは限りませんよね。
7回表・3回裏になることもあれば、
極端な話、10回すべて表になる可能性すらあります。
つまり、“確率50%”というのは、結果が均等に分かれることを保証するものではないのです。
もう少し噛み砕いて説明いたします。

1. コイン投げの真実:なぜ「ちょうど5回」にならないのか
「表が出る確率50%」というのは、10回投げた時に「5回が表になる」ということではありません。
正しくは「1024通り(2の10乗)ある結果のパターンの中で、ちょうど5回表になるパターンが一番多い(約24.6%)」というだけに過ぎません。
逆を言えば、「75%以上の確率で、5回以外の結果になる」のが現実です。

▼10回投げた時の内訳
ちょうど5回表になる確率:約 24.6%
それ以外(0〜4回、または6〜10回)になる確率:約 75.4%

10回中、表が8回出ることもあれば(約4.4%)、「10回とも表」という極端なケースも約0.1%の確率で混ざります。
これをトレードに置き換えると「勝率5割の手法なのに、最初の10回で8回負ける」という事態は、数学的に何の不思議もない「正常な揺らぎ」だというのが分かります。

2. 「勝率9割」のカラクリ:100回やって90回勝てるわけではない
「勝率9割(90%)」の手法を100回試行した時、多くの人は「90勝10敗」を想像しますが、二項分布という計算を用いると、驚くべき事実が見えてきます。

まず、計算に必要なパーツは以下の3つです。
試行回数 (n) : 100回
勝ちたい回数 (k) : 90回
1回あたりの勝率 (p) : 0.9(90%)

これらを以下の公式に当てはめます。
【1】 100回の中から「どの90回で勝つか」の組み合わせを出す
まず、100回中90回勝つ「パターンの数」を計算します。※コンビネーション(C)

100C90
(100個の中から90個選ぶ組み合わせの数)
この数字、実は 17,310,309,456,440 通り(約17兆通り)もあります。

【2】 「90回勝ち、10回負ける」1パターンあたりの確率を出す
次に「90回連続で勝ち、そのあと10回連続で負ける」という特定の1パターンが起きる確率を計算します。

(0.9の90乗) × (0.1の10乗)
※0.9(勝つ確率)を90回、0.1(負ける確率)を10回掛け合わせます。

【3】 全部を掛け合わせる
最後に、【1】のパターンの数と、【2】の1パターンあたりの確率を掛け算します。

(100C90) × (0.9の90乗) × (0.1の10乗)

この計算を解くと
= 0.131865…
= 約 13.19%

要するに「90勝10敗」になる確率はたったの 約 13.2%ということになります。
逆に言うと、残りの約87%の確率は、90勝ピッタリにはならないということです。

なぜこんなことが起きるのか
確率とは「1回ごとの期待値」であり、「短期の結果」を保証するものではないという点です。
コインを1回投げたときの結果は、毎回完全にランダムです。
そのため、短い試行回数では結果は大きく偏ります。

この偏りは異常でも何でもなく、むしろ“正常な確率の振る舞い”です。
そして試行回数を増やしていくことで、コイン投げであれば徐々に50%という確率に近づいていきます。

FXで起きている誤解
この考え方は、そのままFXにも当てはまります。
例えば「勝率90%のロジック」と聞いたとき、
多くの人は先ほども書いたように「100回やれば90回勝てる」と考えます。

しかし、これは大きな誤解です。
実際には、

100回中85勝になることもあれば
95勝になることもある
極端な場合、一時的に大きく崩れることすらある

つまり、
勝率90%とは“常に90%で勝てる”という意味ではなく、
あくまで長期的に見た平均値に過ぎないのです。

FXにおける「勝率」の正体

コイン投げの場合、物理的な構造から確率は常に「50%」と決まっています。しかし、FXにはそんな物理的保証はありません。

FXにおける「勝率9割」とは、正確には「過去の特定の条件下(ロジック)において、100回中90回が利確ポイントに先に到達した」という『過去の統計結果』に過ぎません。

つまり、
コイン投げ: 未来の確率が「50%」と決まっている
FX: 過去のデータが「90%」だったから、次もそうなるだろうと「仮定」している

この違いは決定的です。

例えば私が現在メインで販売している高精度エクセルFX予測ツール『FXHPPT』では1通貨ペアにつき年間25回程度の試行(買いのみ)で勝率9割を超える結果を度々公開しておりますが、それは「1回あたりの勝率が90%」というよりも、「そのロジックが機能する、極めて純度の高い『局面』だけを抜き出している」と解釈すべきです。
※FXHPPTは現在売りにも対応しており年間試行数は上記の2倍近くになります

これを数学的に言うなら、
「その瞬間、相場が特定の方向へ動く『期待値』が極めて高い状態を、25回だけ捕捉した」ということになります。

もし、無理にエントリー回数を増やせば、その勝率は間違いなく下がります。なぜなら、「純度の低い局面(ノイズ)」が混ざることで、1回あたりの優位性が希釈されるからです。

では「1回のトレードの確率」はどう考えるべきか
勝率9割の手法は「1回のトレードで90%の確率で勝てるということなのか」というと、答えは厳密には「NO(分からない)」です。

なぜなら、相場には常に「想定外の災害、テロ、要人発言」といった、過去の統計には含まれない「ブラックスワン(未知の要因)」が介入する余地があるからです。

FXHPPTでいうと
統計的視点: 過去1000日のデータでは、この形になれば9割勝てている。
現実的視点: しかし、この「1回」に限っては、10%の負けを引くかもしれないし、未知の要因で0.1%の例外が起きるかもしれない。
というのが正確な解釈となります。


ここまでをまとめると

確率は「未来の結果」を保証しない
確率は「長期的な傾向」を示しているだけ
短期ではいくらでも偏る

そしてこの“偏り”こそが、
連敗を生み
メンタルを崩し
手法を疑わせる原因になります。

確率を「盾」と「矛」に変える技術

1. 「負けを減らす」とは、確率の分母を削ること
冒頭のサービス紹介例文で挙げた「5分足で1日3回エントリー」というのを思い出してください。
年間で計算すると約700回以上の試行回数になります。先ほどの計算通り、試行回数が増えれば増えるほど「必然の連敗(嵐)」に遭遇する確率は100%に近づきます。

私が提唱する「負けを減らす」考え方はその逆です。
勝てる確率が極めて高い瞬間まで、徹底的に分母(試行回数)を削ぎ落とすこと。
年間25回しかトレードしないということは、残りの数百回の「勝てるかもしれないが、負ける確率も孕んでいるノイズ」を全て捨てているということです。
分母を減らせば、統計的に連敗(嵐)に遭遇する物理的な回数そのものを減らすことができます。これが、確率論を逆手に取った最強の防御策と言えます。

2. 「期待値の重複」で勝率を底上げする
確率は、単体では不安定ですが、「独立した複数の根拠」が重なった時、その信頼度は掛け算で跳ね上がります。

例えば:
根拠A(統計的優位性)の勝率が70%
根拠B(時間的優位性)の勝率が70%

この2つが重なるポイントだけでエントリーする場合、論理上の勝率は90%を超えてきます。
▼補足「期待値の重複」の具体的な計算式

独立した2つの勝率を掛け合わせるのではなく、「両方が同時に負ける確率」を計算します。

<考え方>
・根拠Aだけで負ける確率 = 1 - 0.7 = 0.3(30%)
・根拠Bだけで負ける確率 = 1 - 0.7 = 0.3(30%)

両方の根拠が同時に成立している場合、「AもBも同時に外れる確率」は両者を掛け算します。
0.3 × 0.3 = 0.09(9%)

つまり、負ける確率が9%になるため、
勝つ確率は 1 - 0.09 = 0.91(91%)

【公式】
勝率 = 1 - ( (1 - 根拠Aの勝率) × (1 - 根拠Bの勝率) )
※ただし、この式が成り立つのは「根拠Aと根拠Bが完全に独立している場合」に限ります。
多くの販売者が「機関投資家の動き」という1つの曖昧な言葉で片付ける場所を、私はFXHPPTというツールを使い、1000日分の統計データという「客観的な事実」の重複だけで定義しています。

「なんとなく勝てそう」ではなく、「数学的に負ける理由が見当たらない場所」まで絞り込む。これが確率を「活用」するということです。

3. 確率を知る者が手にする「最強のメンタル」
先程、「多くの人は連敗で手法を疑い、自ら優位性を壊す」と書きました。
しかし、確率の本質を理解し、FXHPPTのような「根拠の塊」を手にしている人は違います。
もし負けが来たとしても、それは「手法の破綻」ではなく、「87%(※)の確率で起こる、想定内の揺らぎ」として処理できるからです。

※先ほど書いたとおり90勝10敗ピッタリになる確率は約13.2%なため

偽物のプロ: 言葉巧みに「必勝」を謳い、連敗が来ると言い訳を探す。
本物のトレーダー: 確率の偏りを受け入れ、淡々と次の「高純度な局面」を待つ。

【深掘り】なぜ「期待値の重複」が最強の手法作りに直結するのか

ここからが、このブログで最も重要なパートです。
なぜなら、ここを理解するかどうかで「なんとなくエントリーする人」と「数学的にエントリーする人」に永遠に分かれるからです。

■ 具体例その1:天気と傘
これまでも度々天気の例えを出してますが、分かりやすいので今回も使います。
あなたは毎朝、外に出る前に「今日、雨が降るかどうか」を考えます。
まず、天気予報が何もない状態を考えてみましょう。
その地域の過去のデータから「この季節の降水確率」は50%だとします。
つまり、雨が降るか降らないかは「半々」。傘を持っていくかどうか、かなり迷いますよね。
軽量コンパクトな折り畳み傘を持っていたら、予備で持っていっても気にならないかもしれませんが、もし通常の傘しか持っていない場合は、意外とかさばるし、雨が降らないのであれば、持ち運ぶのが億劫に感じるものです。

ですがそこに、信頼できる天気予報A(気象モデル)が「降水確率70%」と言っていたらどうでしょう。

この時点での計算:
・雨が降らない確率 = 1 - 0.7 = 0.3(30%)
・雨が降る確率 = 70%

「70%なら持っていくか…でも30%は降らないのか。そんなに今日は野外も歩かないしいらないかな」
とまだ悩むかもしれません。

ではさらに、これとは独立した別の天気予報B(過去の統計)があったとします。
「過去1000年分のデータで、同じ気圧配置のとき、700日は雨が降った」→ 確率70%

この2つが独立している場合(同じデータソースを使っていない場合)、

両方の予報が同時に外れる(雨が降らない)確率は:
0.3 × 0.3 = 0.09(9%)

つまり、雨が降る確率は 1 - 0.09 = 91% になります。

【比較】

予報なし: 雨確率 50% → 判断に困る
予報Aのみ: 雨確率 70% → まだ迷いが残る
予報A+B: 雨確率 91% → ほぼ間違いなく傘を持っていく

これが「期待値の重複」の本質です。
1つの根拠では「微妙」だった判断が、独立した別の根拠を重ねることで「ほぼ確信」に変わる。

FXもまったく同じです。

■ 具体例その2:FXで実際にどう使うか
FXHPPTを例に取ります。

【根拠A】過去1000日のデータで「このローソク足パターン+この移動平均線の位置」が出た後、5時間以内に50pips上昇した確率 → 72%

【根拠B】過去1000日のデータで「この時間帯(ロンドン午前9時〜11時)」に買いエントリーした場合、終値でプラスだった確率 → 68%

【根拠C】過去1000日のデータで「この経済指標発表後の3時間」に買いエントリーした場合、勝率 → 65%

これら3つが同時に成立するポイントがあったとします。

計算:
負ける確率 = (1-0.72) × (1-0.68) × (1-0.65)
= 0.28 × 0.32 × 0.35
= 0.03136(約3.14%)
つまり、勝率は約96.9%!

このように、単体では「70%前後」だった勝率が、重ねることで「97%近く」まで跳ね上がります。

■ 重要な注意点:独立していること
この計算が成り立つための絶対条件は「根拠が独立していること」です。

【独立ではない例(ダメな重複)】
・「RSIが30以下」と「ストキャスティクスが20以下」
→ どちらも「売られすぎ」を示す同じような指標。独立ではない。

【独立の例(良い重複)】
・「ローソク足パターン」(価格行動)
・「時間帯」(時間的バイアス)
・「経済指標後の反応」(ファンダメンタルズ)
これらは発生原因が異なるため、独立に近いと言えます。

■ なぜFXHPPTが「高純度」なのか
FXHPPTでは、この「独立した複数の統計的優位性」が重なるポイントだけを抽出しています。
・統計的優位性(過去1000日のデータ)
・時間的優位性(特定時間帯の偏り)
・局面的優位性(特定の相場環境)
これらを同時に満たすからこそ、年間25回という少なさでも、勝率9割を超える結果が生まれるのです。

■ 結論:手法作りとは「負ける確率を掛け算で減らす作業」
優秀なトレーダーは「勝つ確率を足し算で増やす」とは考えません。
代わりに「負ける確率を掛け算で減らす」ことを考えます。
根拠1つだけ:負ける確率30% → 勝率70%
根拠2つ重ねる:負ける確率9% → 勝率91%
根拠3つ重ねる:負ける確率2.7% → 勝率97.3%
この違いが、長期的な資金曲線(エクイティカーブ)に劇的な差を生みます。
「なんとなく勝てそう」ではなく、
「数学的に負ける理由が見当たらない場所」を探し続ける。
これこそが、確率を「武器」に変えた者のみが到達できる領域です。

【実践的問題】あなたはこのチャートを正しく読めるか

ここまで読んだあなたなら、確率の本質と期待値の重複の重要性を理解できたはずです。
では、最後に実践的な問題を出します。
下記のチャート画像をご覧ください。
demo20260415.jpg

【チャート状況】
通貨ペア:USD/JPY
時間足:5分足

■ 状況A(テクニカル的条件)
・直前の1時間で50pips下落した後、ローソク足が「ハンマー」(下ヒゲが長い反転シグナル)を形成
・このハンマーの形は、過去1000日のデータで「その後5時間以内に30pips以上戻した確率」が 75%

■ 状況B(時間的条件)
・現在の時間は「ロンドン午前10時」
・この時間帯に買いエントリーした場合、過去1000日のデータで終値プラスだった確率は 65%

■ 状況C(ファンダメンタルズ的条件)
・30分後に「アメリカの重要経済指標」発表予定
・同じ指標の過去100回の発表において、「発表前に同じような値動き(下落後のハンマー)があった場合、発表後に上昇した確率」は 80%

■ 補足情報
・スプレッドは無視できるものとします
・あなたは今、ロング(買い)エントリーするかどうかの判断を求められています

【問題】
あなたはこの状況で「エントリーする」か「エントリーしない」かを選ぶ必要があります。
ただし、ここで単純に「エントリーする」と答えただけでは不正解です。
正解とするためには、以下の3つをすべて提示する必要があります。

(1) エントリーするか、しないか
(2) その判断の根拠(今回の記事のどの概念を使ったか)
(3) 具体的な計算式と数値

【ヒント】
この問題の「落とし穴」はどこにあるでしょうか。
一見すると、状況A・B・Cの3つの根拠があり、それぞれの勝率も高いので「エントリーする」と答えたくなるかもしれません。
しかし、記事で書いた「期待値の重複」の公式をそのまま当てはめて良いのか、もう一度、記事の重要な注意点を読み返してみてください。

【重要な注意点(記事からの再掲)】
「この式が成り立つのは、根拠Aと根拠Bが完全に独立している場合に限ります」
状況A・B・Cは本当に「独立」と言えるのでしょうか。
特に「状況C(経済指標発表前)」について考えてみてください。

・状況Aの「ハンマー形成」は、経済指標発表を意識した値動きの結果かもしれません
・状況Bの「ロンドン午前10時」は、経済指標発表の時間帯と重なる可能性があります
つまり、状況Cと状況A・Bは「独立ではない(依存している)」可能性があるのです。

それでは回答です。

【正解への道筋】
正しく考えるためのステップ:
ステップ1: まず、状況A・B・Cの「独立性(依存性)」を疑う
ステップ2: 独立でない可能性がある場合、単純な掛け算はできない
ステップ3: むしろ「最も信頼できる根拠」だけに絞る、または「独立していると言える根拠」だけを選んで計算する
ステップ4: 今回の場合、状況Aと状況Bは経済指標とは独立したデータかもしれないが、状況Cと状況Aは因果関係がある可能性が高い
ステップ5: したがって、状況Cを除いた「状況A × 状況B」で計算するのが現実的

【計算例】
状況Aのみ:勝率75% → 負ける確率25%
状況Bのみ:勝率65% → 負ける確率35%

両方が独立している場合の計算:
負ける確率 = 0.25 × 0.35 = 0.0875(8.75%)
勝率 = 91.25%
この数値だけを見れば「エントリーする」が妥当。

しかし、さらに考えるべきことがあります。
そもそも「経済指標発表前」にエントリーすること自体がリスクです。
発表前はスプレッド拡大や一時的なボラティリティ上昇が起こりやすく、過去の統計がそのまま通用しない可能性があります。
つまり、「過去100回のデータで80%勝っていた」という数字は、実際の「この1回」には当てはまらないかもしれません。

「過去のデータが80%だったから、次もそうなるだろうと『仮定』しているに過ぎない」

【模範解答例】
(1) 判断: エントリーしない、もしくは状況Cの発表を待ってから判断する
(2) 根拠:
・「期待値の重複」の公式は独立した根拠にのみ有効
・状況Cと状況A・Bは独立とは言えないため、単純な掛け算は誤った確信を生む
・さらに「経済指標発表前」という状況は、過去の統計がそのまま通用しない「ブラックスワン」のリスクがある
(3) 計算式:
独立でないため、単純な掛け算は行わない。
代わりに「最も確かな根拠」である状況A(勝率75%)だけを信頼するか、または「発表後の新しい状況」で再判断する。

【別解(上級者向け)】
もしあえてエントリーするなら、以下の条件を満たす場合に限る:
・状況Cを「独立した根拠」とは見なさず、状況Aと状況Bのみで計算(勝率91.25%)
・かつ、ポジションサイズを通常の半分以下に抑える
・かつ、指標発表前に必ず決済する(発表通過しない)

ただし、これでもリスクは残る。記事の結論にある通り「負ける確率を掛け算で減らす」のが本質であり、「無理にエントリー機会を増やす」のは本来の考え方に反する。

【この問題が伝えたかったこと】
今回の記事で一番伝えたかったのは、次の3つです。

1. 確率は「未来を保証しない」という謙虚さを持つこと
2. 「独立した根拠の重複」が最も強力な武器になること
3. しかし「独立性」を疑う目を持たなければ、武器は凶器になること

チャート面だけで判断するのではなく、
「その根拠は本当に独立しているのか?」
「過去の統計はこの『1回』にも通用するのか?」
この2つの問いを常に自分に問いかけられるかどうか。
それが、勝ち組と負け組を分ける本当の分岐点なのです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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