【文章作法・秘術忍術】裏ワザを使って結論を書く

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(1)【裏ワザその①】決意表明をする


①3段落構成+決意表明


 今まで小論文を書くうえでの技法をいろいろと解説してきました。それでも結論をどう書けばいいかわからない人が大勢いると思います。



 プロでも文章の終わらせ方は苦労するものです。初心者は段落構成を意識して、初めは3段落構成で書くようにしてください。



 3段落では、言いたいことをある程度書くことができますが、どうしても尻切れトンボに終わってしまう弊害があります。



 そこで、もう1段落付け加えるのですが、最終段落で決意表明をしてください。



 最後の1文を強く書くのは、前回お話した通りです。



 以下に結論部分だけ例文を示します。



(途中の段落の文章は省略してあります)

<例文1>
 ヒポクラテスの精神は現代医療の倫理綱領にも大きな影響を与えている。こうした厳格な倫理は医療者と他の職業を分かつ特別なものである。ここに医療者の尊厳が示されている。私は将来、医師としての責任と自覚を持ち、厳しい倫理観の下、医療業務に邁進することを決意する。同時に医師という社会的に重要な職務に対する矜持を持って医学の道に携っていきたい。



②志望動機に関連させて決意表明をする



 何を決意したらいいかわからない場合、自分が出願時に大学に提出した志望理由書にある志望動機に関連させて書くようにしてください。



 従って、志望理由書は大学に提出する際に、郵送の場合は一部をコピーして、入試までに何回も読んで内容を覚えておくことが必要です。



③決意表明は推薦入試、AO入試でお勧め



 決意表明をするというこの裏技は、特にこの方法は推薦入試、AO入試の小論文で有効です。



 医歯薬看護系の大学・学部で医療者の倫理や資質などが小論文のテーマである場合、最終段落で決意表明をすると、緊張感をもって文章を締めくくることができます。



(2)【裏ワザその②】時事で締めくくる


①3段落構成+時事



 3段落構成で書いて、問題提起にも答えて自分の「言いたいこと」はほぼ書き尽くした。



 それでも、まだスペースが余っていて、指定字数の8割、9割に達しない。



 そういうときに、第4段落で時事に関連付けて締めくくる、という方法があります。



 時事で扱うテーマはここ一年以内の直近のものが望ましいですが、少しタイムスパンを広げて、現在、日本や世界が直面している問題でもいいです。



②時事の例/その1.直近の事例



 新型コロナウイルス、緊急事態宣言、テレワーク、医療崩壊、パンデミックなど



③時事の例/その2.現在、日本や世界が直面している問題



 高齢化社会、人口減少、激甚災害、危機管理、5G、情報化社会の進展とSNSの隆盛など



<参考>時事を用いる場合は、結論部分ではなく、第1段落の導入に用いる方法もあります。



(3)【裏ワザその③】頭括型を双括型に変える


①結論をどこに書くか


小論文入門 の<1>基礎編で「結論の書き方」のお話をしたときに、結論をどこに書くかという問題に対して、3つの方法があることを言いました。


再掲します。


1)尾括(びかつ)型……結論を最後の段落に書く。


2)頭括(とうかつ)型……結論を最初の段落に書く。


3)双括(そうかつ)型……結論を最初と最後の段落に書く。


<双括(そうかつ)型の注意点>


通常は①の尾括型で最後の段落に結論を書きます。


頭括型で書いて、まだ原稿用紙のスペースが余っている場合、第1段落で書いた結論を最終段落でもう一度強調して文を終わらせます。


つまり、頭括型を双括型に修正するのです。


その際、気を付けてもらいたいのは、以下の2点です。


1) 第1段落と最終段落では同じ結論を書くにしても表現を変える。


2) 表現を変えるだけでなく、最終段落で新たな視点を導入したほうがよい。


それでは、以下に憲法改正問題を題材にして、賛成、反対の立場から双括(そうかつ)型でどのように書くか例を挙げてみます。



<双括型の例文①>   
第1段落:私は憲法改正に賛成である。(以下、省略 )  
最終段落:ただ、憲法改正をする場合には国民投票で過半数の賛成が必要となる。したがって早 急に改正を急ぐのではなく、長い時間をかけて国民的な議論を行い、コンセンサスを得る手続き が不可欠となる。教育の場でこのような議論の訓練を若者に対して施すことが求められる。


 <双括(そうかつ)型の例文①>では、最終段落で結論を確認したうえで、さらに条件(太字の部分)をつけて結論部分の内容をふくらませている。



<双括型の例文② >        
第1段落:私は憲法改正に反対である。(以下、省略 )  
最終段落:憲法改正に反対ではあるが、改革に反対するという姿勢は変化を認めない頭の固い人 間であるというように提えられることが多い。しかし、憲法改正問題は、 「 改正」という 言葉には 「 正しく改める」から「 憲法改正は正しい」という 結論があらかじめ含まれており、論点先取り の問題点を含んでいる。憲法改正という言葉を使わずに、 「現行憲法の是非を論じる」という 設問に変えて引き続きこの問題をじっくりと論じてゆくべきであると考える。

 <双括(そうかつ)型の例文②>では、最終段落で結論を確認したうえで、設問「憲法改正」の問題点に鋭く切り込み、結論を深く掘り下げている。


※「論点先取り」とは、議論の前提に結論の方向性があらかじめ含まれていることにより、意図的に結論を都合のよい方向に誘導するように仕組まれた議論のこと。このような議論の枠組みは公正な議論にはなり得ない。

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(4)今回のまとめ・最終段落の書き方


①決意表明をする



②時事に関連付けて締めくくる



 ③頭括型を双括型に修正する



受験生のみなさん、小論文に関すること、何でも質問してください。



コメント欄に書いてね。



それでは、がんばってください。

以上、OK小論文塾長、朝田隆(りゅう)でした!
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