【基礎編/うっかりする人多し】表記の統一

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(1)はじめに


 この章は『朝日新聞の用語の手引』(朝日新聞社)の用語使用の基準に基づいて書かれています。以下は一般的な表記例になります。小論文入試の答案に漢字表記を基準とするもの(「例えば」)を平仮名表記(「たとえば」)で書いたことで減点になることはまず考えられないので、漢字・平仮名の表記についてはあまり神経質にならないほうがいいでしょう。


 ただし、答案の中での表記は必ず統一すること。


「例えば」と「たとえば」、「私」と「わたし」が混在することは避けなければいけません。

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(2)漢字の表記


 漢字は常用漢字表にあるものを、その音訓で示す範囲で使います。


参考資料.改定常用漢字表~文化庁ホームページより

①常用漢字は必ず漢字で書くこと。平仮名表記、カタカナ表記や漢字・平仮名まじりは減点になる可能性があります。

×感しょく ⇒ 〇感触
×推せん  ⇒ 〇推薦
×けっ作 ⇒〇傑作

②常用漢字表にない漢字は漢字+平仮名、または 仮名のみの表記でOKです。

・石鹸 ⇒ 〇石けん または  〇せっけん
・隕石 ⇒ 〇いん石 
・味噌 ⇒ 〇みそ
・噛む ⇒ 〇かむ
・絆⇒〇きずな
・遥かに ⇒ 〇はるかに
・誤謬 ⇒ 〇=誤びゅう
・隠蔽 ⇒ 〇=隠ぺい
・蔓延 ⇒ 〇まん延

③ふだん使い慣れている表記であっても小論文のときには正確に書く

×ケータイ電話→〇携帯電話



(3)外来語の表記


①外来語(明治時代以降、外国から日本に入ってきた言葉)の表記は原則、カタカナです。

②「コンピュータ」と「コンピューター」はどちらが正しいか。

答えはどちらでもよい。内閣告示『外来語の表記』によれば、長音は、原則として長音符号「ー」を用いて書くことになっていますが、慣用に応じて「ー」を省くことができます。

 「エレベーター」「エレベータ」もどちらの表記も許容です。


③許容の例(どちらの表記でもよい)

ギリシャ/ギリシア、チュニジア/テュニジア、チューバ/テューバ、

ツールーズ/トゥールーズ、バイオリン/ヴァイオリン、

 ビーナス/ヴィーナス、ビクトリア/ヴィクトリア(地名)

ビバルディ/ヴィヴァルディ、ベール/ヴェール、

ボルテール/ヴォルテール(人名)、レビュー/レヴュー


文化庁ホームページの「外来語の表記 付録(用例集)」参照


(4)専門用語の表記について


 特に医歯薬看護系の大学を受ける受験生はカタカナ表記の医学用語を正確に書けるようにしましょう。


① 「インフォームドコンセント」か「インフォームド・コンセント」か


 インフォームドコンセントの欧文でのスペルは「informed consent」で、単語で正確に区切ると「インフォームド・コンセント」の表記になりますが、「インフォームドコンセント」でも1つの専門用語として定着していますので、どちらの表記でも可能です。


 このほか「セカンドオピニオン」「セカンド・オピニオン」など医学用語に限らず、専門用語は同様に判断してください。


② 「癌」と「がん」


 「癌」は常用漢字表にない漢字なので、「がん」と平仮名で表記するのが一般的です。


 大学入試小論文では「がん」の表記でだいじょうぶです。


 ただし、専門的に言うと「癌」と「がん」の定義は異なります。


1)「がん」:漢字の癌、肉腫、白血病や悪性リンパ腫などが含まれる。
2)「癌」:肉腫、白血病や悪性リンパ腫は含まれない。


ですから、白血病を「血液のがん」と言いますが、「血液の癌」とは書きません。

※厳密に定義すると、「癌」と「肉腫」とは異なるものです。皮膚や胃・腸の粘膜など上皮性細胞から発生した悪性腫瘍を「癌」、筋肉・線維・骨・脂肪・血管・神経など非上皮性細胞から発生した悪性腫瘍を「肉腫」と呼んで、両者を区別する。


 この記述は「星ヶ丘医療センター」ホームページを参考にしました。

(5)一人称について


 一人称の表記は「私」を用いること。「僕」「俺」「自分」は会話文の中などの特別な場合を除いては使ってはいけません。面接でも同様です。よく男子は一人称で「自分」を使いますが、小論文はもちろん、面接でも「自分」は使ってはいけません。

 主語の「私」を使いすぎるとくどくなるので、ふつうは省略してください。結論部分の自分の主張で、ここぞというときに「私」を使うと効果的です。


 「我が国」=「わが国」、「我ら」=「我等」どちらの表記も許容です。ただ、「我ら」=「我等」はやや古臭い表現であるので、「私たち」のほうが通りがいいでしょう。

(6)品詞ごとの表記の注意点


●代名詞

①平仮名表記
おれ、あなた、どなた、だれ、どれ、これ、それ、ここ、そこ

②漢字表記
私、僕、君、彼、彼女、自分

●接続詞

①平仮名表記

あるいは、かつ、しかし、しかも、すなわち、それとも、ただし、ところが、なお、また

②漢字表記

併せて、従って、及び、並びに、例えば

●副詞

 副詞というのは、用言(動詞、形容詞、形容動詞)を修飾する言葉です。


 副詞は種類が多く、全部を書ききれません。


 詳しくは『朝日新聞の用語の手引』(朝日新聞社)を参考にしてください。

① 平仮名表記

いったん、せっかく、ぜひ、だいぶ、たいてい、たくさん、ちょうど

② 漢字表記
案外、依然、一応、一気に、一切、一緒に、一斉に、一層、一挙に、結局、決して、今後、今度、次第に、実際、実に、終始、十分に、少々、徐々に、真に、絶対に、全然、大して、大体、大変、多分、単に、当然、到底、時々、特に、途端に、突然、何故、非常に、別に、本当に、万一、無理やり、無論、毛頭、余程

●そのほか、平仮名表記が望ましい品詞

①連体詞(ある、この、その)

②感動詞(おはよう、こんにちは、さようなら)

③ 助動詞(ようだ)

④ 助詞(くらい、ぐらい、だけ、など、ほど)

⑤ 形式名詞(うち、こと、とき、ところ、もの、わけ)は平仮名で書く。

<例文1>家で遊ぶと答えた生徒は90人いて、このうち80%の生徒がゲームをして過ごすと答えた。

<例文2>して良いことと悪いことの区別はきちんとつけなければならない。

<例文3>私はつらい思いをしたときは、音楽を聴いて心を静めることにしている。

<例文4>彼の大好きなところは、くじけずに何事に対しても積極的であることです。

(7)今回のまとめ


①表記法については、詳しくは『朝日新聞の用語の手引』(朝日新聞社)を参考にしてください。

②漢字・平仮名の表記についてはあまり神経質にならなくてもよいが、答案の漢字・平仮名の表記は統一させる。

③一人称の表記は「私」を用いること。

④形式名詞は平仮名で書く。

⑤特に医歯薬看護系の大学を受ける受験生はカタカナ表記の医学用語を正確に書けようにすること。

受験生のみなさん、小論文に関すること、何でも質問してください。


コメント欄に書いてね。

それでは、がんばってください。

以上、OK小論文塾長、朝田隆(りゅう)でした!






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