私は、介護事業所の運営・人事・委員会などの実務を支援する者として、
現場で起きやすい課題を整理し、発信しています。
「記録を書く時間がありません」
この言葉を、看護師から聞いたことがある
管理者・リーダーの方も多いと思います。
ただ、その背景まで具体的に共有される機会は、意外と少ないのではないでしょうか。
看護師自身、
・うまく時間を使えていないのでは
・要領が悪いと思われたくない
・忙しいのはみんな同じだから
そう感じて、具体的には口に出さないこともあります。
「時間が足りない」と言ってもらえるだけ良いかもしれません。
しかし、記録が効率的に書けない状況は、
個人の能力や意識だけで説明できるものではありません。
「時間が足りない」と言われたときに
どう改善していくとよいのか。
今回の記事ではそのヒントをお伝えしたいと思います。
記録の書きづらさは看護業務の構造にある
記録を書くのが遅くなったり、後回しになったりする状況は、
個人の能力や意識だけの問題ではありません、。
通所介護で働く看護師の業務は、
そもそも「途中で止めにくい」構造になっています。
看護師の仕事はすきまがない
通所介護の現場で、看護師が担っている業務は、
・バイタル測定
・状態観察
・処置や判断
・介護職からの相談対応
など、どれもが重なり合っています。
そこに、
・体調不良者の対応
・口腔機能訓練
・トイレ介助
などが加わると、「記録を書く時間」と区切れる場面は、
実際にはほとんどありません。
そのため、
あとでまとめて書こう
と思っていた記録は、断片的に思い出しながら書く形になりやすいのです。
これは、「段取りが悪いから」ではなく、
現場の構造上、起こりやすいのです。
病院で身につけた丁寧さが足手まといになることも
看護師の場合、もう一つ見逃せない背景があります。
それが、病院勤務時代の記録の感覚です。
・情報は網羅的に書く
・経過は時系列で丁寧に残す
・書き漏れはリスクになる
この意識自体は、看護師としてとても大切な感覚です。
ただ、通所介護や在宅の現場では、
・誰が読むのか(ケアマネ・多職種)
・何のために共有するのか
・どこまで書けば十分なのか
この前提が、病院とは大きく異なります。
その違いが整理されないまま、
「ちゃんと書かなければ...」
「足りないと思われたらどうしよう」
という思いだけが残ると、
書く前に考え込む時間が長くなり、結果として記録時間が長くなる
ということが起こります。
ゼロから文章を書き起こしていることも
記録時間の長さにつながっている可能性があります。
管理者・リーダーができるのは基準を伝えること
管理者やリーダーにとって大切なのは、
「もっと早く書いてほしい」
「時間内に終わらせてほしい」
「自分のときはこうだった」
などと言うことではありません。
むしろ、
・どのレベルまで書けば十分なのか
・何を書けば、共有として成立するのか
記録の最低基準を、示すことです。
書く時間そのものを増やすことが難しい現場だからこそ、
・判断の理由
・共有すべきポイント
・ケアマネに伝わる表現
を「型」として共有しておくことで、
看護師は書く時間を減らすことができます。
「時間がない」と訴える看護師への声かけ例
とはいっても、看護師なりにこだわって
丁寧に書いている場合も多いのが現実です。
「記録の最低基準」を伝えるのは、
その気持ちに寄り添ってからが良いでしょう。
ここで、記録を書く時間がないと感じている看護師に、どう寄り添えばよいか
声かけの言葉例を挙げます。
① 状況を否定しない言葉:「あの流れだと、記録を書く余裕はなかったよね」
「仕事が多い中で、大変だったと思う」
② いつもの頑張りを認める言葉:「いつもしっかり書いてくれていると思ってる」「しっかり書きたいと思ってくれてありがたい」
③ 一緒に整理する姿勢を示す言葉:「どうすればいいか一緒に考えたい」
④ 安心していいラインを伝える言葉:「ここまで書けていれば、共有としては十分です」「このポイントが押さえられていれば大丈夫です」
まとめ|「書けない」の背景を、言葉にできる現場へ
「記録を書く時間がありません」という言葉は、
怠慢の表明ではありません。
それは、
・忙しい現場の現実
・丁寧に書こうとする看護師の責任感
・つらさをわかってほしいと伝える姿勢
が重なって出てくる言葉です。
だからこそ、個人に頑張らせるのではなく、迷わなくていい仕組みを整えることが、管理者・リーダーにできる、いちばん現実的な支援になります。
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