私のルーツの旅・第7話|宝永の墓とデジタルコレクション、守る者と拓く者、-生きた証しが私を動かす

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コラム

お墓の拓本を採ろう──
そう決めたのは、本家との会話がきっかけでした。


いよいよ当日。


現地に着くと、どんよりとした曇り空。
今にも雨が降り出しそうな空模様が、
どこか厳かな雰囲気を醸し出していました。


まずは、菩提寺のご住職にご挨拶へ。
拓本を取る許可もすでに本家から
得ていることをお伝えし、
ここまでの調査経緯も簡単にお伝えします。


お墓の場所は、光さん(母方の祖母)のお墓
からわずか30メートルほど離れた位置にありました。


お墓は全部で4基あり
右側のお墓の後ろに
もう1基隠れています。


こちらのお墓は菩提寺の中でも
古くからあるお墓だとご住職からも
聞いていました。


墓石の文字は長年の風雨にさらされ風化し、
苔がびっしりついていて殆ど読めませんでした。
拓本で字が読み取れるのでしょうか。


もし拓本を採れば、何かが分かるかもしれない。
もしかしたら──この家の始まりが、
そこに浮かび上がってくるのではないか。


息を詰めるようにして、
私は、拓本の紙をそっと墓石にあてました。
何が浮かび上がるか、
その期待からか少し手が震えていたかもしれません。


そこには、意外な文字が現れました。
「宝永三年」──


西暦でいえば1706年。
今からおよそ300年前の元号でした。


曾祖父どころの話ではありませんでした。
どうやらこの墓地には、
私の想像よりも遥か昔のご先祖が眠っていたらしい。


しかも、その墓石から読み取れたのは
墓石の上半分で、ご住職によると、
もう半分は壊れてしまったとのことでした。


そして、別の墓石には
「丸に立ち沢潟(おもだか)」の
家紋が浮かび上がっていました。


やはり「丸に立ち沢潟」か…。


どうやら「下り藤」は本家の勘違いだったのかもしれません。


どういうことだろう?
家紋を勘違いすることなどあるのだろうか?


確かに本家の方は「下り藤」だと仰っていました。
ひょっとしたら、光さんの養子縁組先と
何か関係があるのでしょうか。


そう、光さんの養子縁組先の家紋は、
「下り藤」なのです。


また別のお墓には「文化4年」の文字がみえてきました。
ご住職に確認すると、それこそが「由兵衛」なる人物だといいます。
ただ、時代的に初代長蔵の親とは考えられません。
文化4年と言えば、1807年頃なので約220年くらいまえか…


「由兵衛」は、どんな人物で、どこから来たのでしょうか。
はたまた、新たな課題を突き付けられてしまいました。


私はふと、本家の方が言っていた言葉を思い出します。
「釜石の地で一代で財を成したご先祖もいるらしいですよ」

この墓の前で、にわかにその言葉が気になって仕方ありませんでした。
帰宅後、試しに、
国会図書館デジタルコレクションを開いてみました。


「釜石 商工名鑑 長太郎」と
検索欄に打ち込み、ページをめくっていくと──


えっ!


・・・


・・・


おお、あった。


「◯◯長太郎商店」


屋号と共に記されたその名前は、昭和初期にかけてのものと思われた。


どうやら、釜石の地で水産物の仲介業を営んでいたようです。


私の戸籍の記録と照らし合わせると──
彼は、曾祖父の兄でした。


つまり、本家は桐タンス職人となり、二男家は水産業の仲介という仕事をしていたわけです。


なぜ、釜石なんだ?


まるで活字の向こうから肩を叩かれたようでした。
「ここにいるよ」──


そんな声が聞こえた気がしました。


振り返ってみると、
そこにははっきりとした分かれ道がありました。


ひとつは、本家。
代々の墓を守り、家紋を受け継ぎ、
地元に根づいた暮らしを続けてきた家。


もうひとつは、二男家。
本家を離れ、釜石という港町で、
新たな土地、新たな商いを切り拓いた家。


本家の痕跡は、静かに墓石に刻まれていました。
二男家の痕跡は、商工名鑑に。


それは、単なる系図の違いではなく、
生き方そのものの違いを感じさせました。


私のルーツはどこにあるのか。


拓本に残された宝永三年という遠い時代と、
商工名鑑に記された長太郎という名前。


──時を越えて浮かび上がった、ふたつの“ルーツの証”。
それらは、決してバラバラではありませんでした。


一本の家系が、守る者と、拓く者とに分かれ、
それぞれの形で、家の名を時代に刻んできたのです。


でも、まだ分からないことがあります。


長太郎はなぜ、釜石という土地を選んだのか?
彼に、なぜ商売を始める土台があったのか?


「網元」が関係しているのは間違いありません。


そして──
初代「長蔵」とは、本当に網元だったのでしょうか?


私のルーツの旅は、ここからさらに深く、
「物語」の核心へと向かっていきます。

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