学校をお休みしている時期、
あるいは家で過ごす時間が長い時期。
親御さんとして一番心が痛むのは、
我が子から「エネルギー」や「笑顔」が
消えてしまっている瞬間ではないでしょうか。
「なにかやってみたら?」と声をかけても、
「別に」「やりたくない」と返ってきてしまう。
かつてあんなにキラキラしていた
「やってみたい!」という主体性が、
すっかり眠ってしまっているように見えて、
心配になることもあるかもしれません。
でも、どうか安心してください。
子どもの内側にある「知りたい」「やってみたい」という
心のエネルギーは、消えてしまったわけではありません。
今は少し、充電をしているだけ。
そんなエネルギーが低下している時期のお子様に、
私たちが想像する以上に優しく、
そして深く効くアプローチがあります。
それが、「手仕事(手先を動かすこと)」です。
なぜ、心が疲れている時に「手先を動かす」のがいいの?
当塾では、日頃から「巧緻性(手先を器用につかう力)」を
とても大切にしています。
巧緻性と聞くと、「お受験のため」とか
「器用になるため」の訓練のように思われるかもしれませんが、
実はそれだけではありません。
手先を動かすこと、
つまり「折り紙を折る」「ねんどをこねる」
「ハサミで切る」といった行為には、
脳をリラックスさせ、言葉にならない不安やストレスを
解きほぐす高い効果があると言われています。
頭でぐるぐると「学校のこと」「将来のこと」を考えて
不安になってしまう時、目の前の粘土の感触に集中したり、
紙の端と端を合わせることに没頭したりすることで、
脳のスイッチが切り替わります。
「ただ、没頭する。」
この心地よい時間が、傷ついた心をゆっくりと耕し、
エネルギーを回復させてくれるのです。
「自分で決めた」の積み重ねが、主体性を呼び覚ます
手仕事のもう一つの素晴らしいところは、
「正解がない」ということです。
「どんな形にしてもいい」
「何色を使ってもいい」
「途中でやめてもいい」
エネルギーが下がっているお子様にとって、
「正解を求められること」は強いプレッシャーになります。
だからこそ、折り紙や粘土のような、
ルールも正解もない簡単な手遊びから
スタートすることが大切なのです。
「あ、これ折ってみたいかも」
「もうちょっと、ここを大きくしてみよう」
そんな、大人の目から見たらほんの小さな一歩が、
実は立派な「主体性(じぶん軸)」の芽生えなのです。
誰かに言われたからではなく、
「自分がそうしたいと思ったから、やってみた。」
たとえ上手くできなくても、
形が歪んでしまっても、
それすらもその子が試行錯誤した
「たからもの」のプロセスです。
学校という枠組みから少し離れている今だからこそ、
周りと比べることなく、
「自分で決めて、自分で形にする」という、
一番大切な心の根っこ(主体性)を
じっくり育てるチャンスになると思います。
寄り道も、回り道も、すべてはその子の「たからもの」になる
「勉強が遅れてしまうのではないか」
「このまま社会から取り残されてしまうのではないか」
学校という場所から少し距離を置いている
我が子を見守る親御さんの毎日は、
言葉にできないほどの不安と隣り合わせだと思います。
周りの目が気になったり、
ネットの情報を検索してはため息をついたり、
誰にも相談できずに孤立してしまっている親御さんも少なくありません。
でも、どうか焦らないでください。
今、お子様が折り紙を折ったり、
粘土をこねたりしながら、
自分の内側にあるエネルギーを一生懸命に蓄えている時間は、
決して無駄な「寄り道」ではありません。
むしろ、これまでの「決められた正解」をこなす日々から離れ、
「自分は何が好きで、何にワクワクするのか」という、
人生で最も大切な「じぶん軸(主体性)」を
自分の手で作り直している、とても尊い充電期間なのです。
大切なのは、大人が先回りして「正解」を教え込むことではなく、
その子が試行錯誤して、たとえ形が歪んでしまっても
「自分でできた!」というプロセスを丸ごと面白がり、
肯定してあげること。
「そのままのあなたで、大丈夫」
そんな絶対的な安心感のなかで、
人はもう一度、自分の足で立ち上がり、
内側から「やってみたい!」の灯をともすことができます。
子育てに、一歩も無駄な道はありません。
お子様が自分のペースで心の根っこを伸ばしていくそのプロセスを、
親御さんもどうか一人で抱え込まず、温かく見守っていけますように。
その小さな試行錯誤のすべてが、
いつか未来の大きな「たからもの」に変わることを、
私は信じています。