今の50代が直面しやすい「仕事と介護のダブルパンチ」とは

記事
ライフスタイル
50代は、まだまだ現役のど真ん中です。
会社では責任が重く、家では家計の柱であり、自分の老後資金づくりも本格化する時期です。

ところが今の50代は、その大事な時期に、親の介護が重なりやすくなっています。

内閣府の令和7年版高齢社会白書では、団塊の世代が75歳以上となる2025年に、65歳以上人口は3,653万人に達すると見込まれています。総人口に占める75歳以上人口の割合は、将来約4人に1人になると推計されています。

つまり、親世代が後期高齢者に入っていく波は、もう目の前ではなく、すでに始まっている現実です。

そして、その影響を最も受けやすいのが50代です。
総務省の令和3年社会生活基本調査では、ふだん家族を介護している人は653万4千人で、年齢階級別では50~59歳が183万6千人で最も多いとされています。さらに、60歳以上で介護者全体の約5割を占めています。親を支える中心が、まさに50代から60代前半にかかっていることが分かります。

さらに、令和4年就業構造基本調査では、介護をしている人は約629万人、そのうち有業者は約365万人で、介護をしている人の58.0%が働いているとされています。つまり今の介護は、「仕事を終えた後にやること」ではなく、働いている最中に降りかかることとして考えなければいけません。

50代にとって厳しいのは、「収入の重い時期」に介護が来やすいこと

50代がつらいのは、単に忙しいからではありません。
収入面で責任が大きい時期に、介護がぶつかりやすいからです。

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査速報では、一般労働者の賃金は、50~54歳で38.8万円、55~59歳で39.6万円となっています。50代は、家計を支える力が大きい時期です。ところが同じ時期に、親の通院付き添い、見守り、入院対応、施設検討などが始まると、働き方を崩しやすくなります。

そこに介護費用も重なります。
生命保険文化センターの2024年度調査では、介護にかかる費用は、一時的な費用が平均47.2万円、月々の費用が平均9.0万円でした。しかも月額は、在宅で平均5.3万円、施設で平均13.8万円です。介護は、時間だけでなく家計にも継続的に効いてきます。

一方で、自分の老後準備も同じ家計から出さなければなりません。
生命保険文化センターの2025年度調査では、夫婦2人の老後の最低日常生活費は月23.9万円、ゆとりある老後生活費は月39.1万円とされています。つまり50代は、親の介護費と自分の老後資金が、同じ財布を取り合う時期でもあるのです。

たとえば、こんなことが起きます

たとえば、53歳の会社員Aさんを想像してみてください。
月収はおおよそ39万円台。住宅ローンがあり、子どもの教育費もまだ終わっていません。自分の老後資金も、これから本気で積み上げたい時期です。

そこへ、78歳の母親の転倒入院が起きる。
退院後は一人暮らしが難しくなり、通院の付き添い、ケアマネジャーとの打ち合わせ、実家の片づけ、介護保険の手続きが一気に押し寄せる。
しかも、住宅改修や介護ベッドなどでまとまった費用がかかり、月々の支出も増える。

この時、Aさんが最初に失うのは、給料そのものより先に、時間の余裕、判断の余裕、仕事への集中力です。

ここが「ダブルパンチ」の本質です。
仕事だけなら何とか踏ん張れたかもしれない。
介護だけでも家族で回せたかもしれない。

でも、仕事の責任が重い時期に介護が重なると、両方が同時に崩れやすくなります。

しかも制度があっても、満額で守られるわけではない

もちろん、介護休業給付などの制度はあります。
ただし、それで元どおりになるわけではありません。

厚生労働省によると、介護休業給付の支給額は、休業開始時賃金日額×支給日数×67%で計算されます。例示として、休業前の賃金が月30万円程度の場合、支給額は月20.1万円程度とされています。つまり、制度は大切ですが、収入の穴が完全に埋まるわけではないのです。

だから、今の50代にとって本当に怖いのは「親が要介護になること」そのものより、仕事を続ける力が弱ることです。

経済産業省は、2030年には仕事をしながら家族介護を担う人、つまり本連載でいうワーキングケアラーが約318万人に上り、介護に起因する経済損失額は約9兆円になると示しています。さらに関連資料では、2030年時点の介護離職者数は約11万人と試算されています。個人の悩みであると同時に、社会全体の大きな問題になっているわけです。

ここで、従来の終活の始め方では遅くなりやすい

ここが、この連載で一番お伝えしたいところです。

従来の感覚では、終活は

「定年後に考えるもの」
「親が80代になってから始めるもの」
「介護が現実化してから向き合うもの」

と思われがちでした。

でも、今の50代を取り巻く現実を見ると、その感覚では遅れやすいのです。

なぜなら、親の介護が本格化しやすいのは、子ども世代にとって収入・仕事・老後準備が最も重い時期と重なるからです。介護者は50~59歳が最も多く、介護している人の過半数は働いています。しかも2025年以降は、親世代の後期高齢化がさらに進みます。

だから私は、「親70歳・子45歳」くらいから始める感覚に変える必要があると思っています。

親が70歳のとき、子どもが45歳なら、
親が75歳になる頃、子どもは50歳です。
ちょうど「仕事と介護のダブルパンチ」が来やすい時期に入ります。

その前に、情報整理、家族の話し合い、制度の理解、住まいの確認、お金の把握を始めておく。

これが、これからの終活の新常識だと私は考えています。

今の50代が先にやっておくべきこと

まず必要なのは、完璧な終活ではありません。
ダブルパンチが来た時に崩れにくくする下準備です。

一つ目は、親の情報整理です。
通院先、薬、保険証、緊急連絡先、重要書類の場所。
これだけでも、突然の入院時の混乱はかなり減ります。

二つ目は、自分の仕事の確認です。
介護休業、介護休暇、在宅勤務、時差出勤、相談窓口。
使える制度を知らないまま限界を迎えると、選択肢が狭くなります。介護休暇は対象家族1人なら年5日、2人以上なら年10日で、時間単位取得も可能です。

三つ目は、親の介護費と自分の老後資金を一緒に見ることです。
親のことだけ考えると、自分の老後準備が止まりやすい。
自分のことだけ考えると、親の変化を見落としやすい。
だから、別々ではなく同時に考える必要があります。介護費用の平均と老後生活費の目安を並べるだけでも、家計に何が起きうるかがかなり見えます。

まとめ

今の50代が直面しやすい“仕事と介護のダブルパンチ”とは、
単に忙しくなることではありません。

収入の重い時期に介護が来る。
老後資金をためる時期に介護費が増える。
仕事の責任が大きい時期に、時間と判断力が削られる。

これが重なることです。

しかも、介護の担い手の中心は50代で、働きながら介護している人はすでに約365万人います。

だからこそ、終活は「まだ先」ではなく、ダブルパンチが来る前に始めるものへと、感覚を変える必要があります。

親が70歳になる前後。
子どもが45歳になる前後。
このくらいを目安に、親の介護準備と終活を始める。

それが、仕事も家計も自分の老後も守るための、現実的な人生防衛戦略です。

将来のために、新たな感覚での介護準備・終活の第一歩を
一緒に考え、行動していきましょう!!
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す ココナラコンテンツマーケット ノウハウ記事・テンプレート・デザイン素材はこちら