「45歳から親の終活なんて、早すぎないですか?」
この反応は、とても自然です。
これまでの感覚では、終活は
定年後に考えるもの
親が80代になってから始めるもの
介護が見えてから向き合うもの
と思われがちでした。
でも今は、その感覚を変えた方がいい時代です。
私は、親の終活は子ども45歳から考え始めるのがちょうどいいと思っています。
なぜ45歳なのか?
それは、この年齢が「まだ早い」からではなく、5年後に本格化しやすいリスクの入口だからです。
45歳は、50代のピーク負担に入る一歩手前だから
まず知っておきたいのは、親の介護を担う中心世代が、すでに50代にあるということです。
総務省の令和3年社会生活基本調査では、15歳以上でふだん家族を介護している人は653万4千人でした。年齢階級別では、50~59歳が183万6千人で最も多く、40~49歳は80万5千人です。つまり、45歳前後はまだ「介護のど真ん中」ではありませんが、その5年後には最も負担が集中しやすい層に入っていく年齢だということです。
さらに、働きながら介護している人の厚みを見ると、その傾向はもっとはっきりします。令和4年就業構造基本調査では、介護をしている人は628.8万人、そのうち有業者は364.6万人で、58.0%が働いています。年齢別にみると、有業の介護者は50~54歳で70.4万人、55~59歳で82.2万人と、やはり50代に厚く集まっています。45歳は、まさにこのゾーンの手前です。
つまり、45歳から考えるというのは、早すぎるのではなく、50代で仕事と介護がぶつかる前に準備を始めるという意味なのです。
親70歳は、5年後に75歳へ入る節目だから
では、親の側はどうでしょうか?
内閣府の令和7年版高齢社会白書では、2025年に65歳以上人口は3,653万人に達すると見込まれ、総人口に占める75歳以上人口の割合は将来約4人に1人になると推計されています。親世代が75歳以上に入っていく流れは、もう先の話ではありません。
そして、介護リスクは75歳を超えると一段上がります。厚生労働省資料では、要介護認定率は75~79歳で11.5%、75歳以上全体で31.0%、85歳以上で57.7%とされています。
つまり、親が70歳のときはまだ元気に見えても、5年後に75歳へ入ると、介護が現実化する確率は確実に高まるのです。
ここで大事なのは、親70歳・子45歳という組み合わせが、ちょうど5年後に
親75歳・子50歳になることです。
親の介護リスクが上がり始める時期と、子ども世代が仕事で最も踏ん張りどころを迎えやすい時期が、きれいに重なる。
だから45歳から考える意味があるのです。
45歳で始めると、「話せるうち」に準備しやすい
たとえば、45歳の長女がいて、親が70歳。
今はまだ一人暮らしで、買い物も通院も自分でできている。
この段階だと、多くの人は「まだ終活の話は早い」と感じます。
でも、ここで何もしないまま5年たつとどうなるか?
50歳になった頃には、会社では責任が重くなり、家では教育費や住宅ローン、自分の老後資金も気になってくる。
そのタイミングで、親が転倒して入院したり、物忘れが増えたりすると、一気に現実が押し寄せます。
連絡先はどこか?
保険証や通帳はどこにあるのか?
今後も自宅で暮らしたいのか?
兄弟でどう役割分担するのか?
何も話していないと、これを全部、仕事の合間に慌てて決めることになります。
逆に45歳の時点で少しずつ始めていれば、
連絡先だけ共有する
書類の場所だけ確認する
住まいの希望だけ聞いておく
という形で、重くなりすぎずに進められます。
45歳からの終活は、早い終活ではありません。
慌てないための終活です。
本当に遅いのは、「介護が見えてから」始めること
ここで、従来の感覚が危なくなります。
「親が80代になったら考えよう」
「介護が必要になったらその時に動こう」
この考え方は、今の時代には合いにくくなっています。
なぜなら、介護が見えてからでは、子ども世代はすでに50代に入っていることが多いからです。
しかも、働きながら介護している人はすでに364.6万人おり、介護をしている人の58.0%が有業者です。さらに、過去1年間に介護・看護のために前職を離職した人は10.6万人でした。介護は「その時になったら何とかする」で片づく問題ではなく、現実に仕事を揺らす問題として起きています。
経済産業省も、仕事をしながら家族介護を担う人は2030年に約318万人に上り、経済損失は約9兆円になると示しています。資料では別の呼称が使われていますが、本連載ではこれをワーキングケアラーとして考えています。社会全体で見ても、「仕事に響く前に準備する」ことが重要になっているわけです。
だからこそ、終活のスタートは親80歳ではなく親70歳、子ども50代後半ではなく45歳前後へ前倒しした方が合理的なのです。
45歳から始める終活は、全部やることではない
ここで誤解してほしくないのは、45歳から始める終活とは、
遺言書をすぐ作ることでも
施設を今すぐ決めることでも
葬儀の話を一気にすることでもありません。
そうではなく、5年後に慌てないための土台をつくることです。
たとえば、
親の通院先や緊急連絡先を知る。
大事な書類の場所を確認する。
これからも自宅で暮らしたいかを聞く。
兄弟姉妹と「最初に誰が動くか」だけ決める。
この程度でも十分意味があります。
45歳から必要なのは、完成した終活ではなく、動き出した終活です。
今やっておきたいことは3つ
1.親が70歳前後なら「準備開始の合図」と考える
まだ元気でも、5年後は親75歳・子50歳に近づきます。
介護リスクも仕事の負荷も上がりやすい節目です。
2.親のことを、自分の50代の働き方と一緒に考える
介護だけを切り離して考えると、準備が遅れやすくなります。
50代は実際に介護者が最も多い層です。
3.終活を「重い話」ではなく「困らない整理」から始める
連絡先、通院先、書類の場所、住まいの希望。
こうした軽い確認こそ、45歳から始めやすい第一歩です。
まとめ
「親の終活」を子ども45歳から考えるべき理由は、はっきりしています。「
45歳は、
まだ余裕が少し残っていて、
親もまだ話し合いやすく、
でも5年後には
親75歳・子50歳
という、介護と仕事がぶつかりやすいゾーンに入るからです。
だから、45歳は早すぎる年齢ではありません。
むしろ、遅すぎない最後の入口に近い年齢です。
親の介護準備や終活を、どこから始めればいいか分からない。
親は元気だけれど、そろそろ動いた方がいい気がする。
自分の仕事や将来設計と一緒に整理したい。
そんな方は、一人で抱え込まず、早めに全体を見える化しておくことが大切です。
ご相談はお気軽に
新たな終活の感覚第一歩を一緒にスタートしましょう!!