「親の介護や終活は、まだ先の話」
「親は元気だし、自分も仕事で忙しいから、今は考えなくていい」
そう思っている方は、とても多いと思います。
ですが、私はこれからの時代こそ、親70歳・子45歳をひとつの目安に、介護準備と終活を前倒しで考える必要があると思っています。
なぜなら今は、単に「親が高齢になる時代」ではなく、子ども世代の働き方そのものも不安定になりやすい時代に入っているからです。
親の高齢化と、子ども世代の仕事の変化。この2つが同時に進むからこそ、従来の「もっと年を取ってから考えればいい」という発想では間に合わなくなってきています。
親世代は、これから一気に後期高齢者に入っていく
内閣府の令和7年版高齢社会白書では、2025年に65歳以上人口は3,653万人に達すると見込まれており、今後も高齢化率は上昇が続くとされています。さらに、総人口に占める75歳以上人口の割合も今後高まっていきます。つまり、親世代が「まだ元気だから大丈夫」と思っている間にも、社会全体としては介護リスクが高まりやすい局面に入っているのです。
しかも、介護リスクは年齢とともに大きく上がります。厚生労働省資料では、「要介護認定率は75~79歳で11.5%、85歳以上では57.7%」とされています。親が70代に入った段階は、まだ何も起きていないように見えても、実は「備え始めるにはちょうどよい時期」なのです。問題が起きてから動くのではなく、元気なうちに話し合える時期に動くほうが、ずっと現実的です。
子ども世代も、仕事の面で「余裕がある」とは言えない
昔なら、「親のことはその時に考えればいい」「何かあっても仕事は続けられる」と考えやすかったかもしれません。
しかし今は、AIの進展によって仕事の内容や必要なスキルが変わりやすくなっています。
OECDの2025年レポートでは、日本では今後10年について、AIが仕事を奪うだけでなく生み出す面もある一方、低所得層や非正規雇用では「雇用創出」より「雇用喪失」への不安が上回るとされています。つまり、AI時代は全員が同じように危ないのではなく、立場や働き方によって影響の受け方に差が出やすい時代です。特に40代後半から50代は、役職定年、再雇用、収入減、スキルの更新負担などが重なりやすく、余裕があるとは言いにくい年代です。
だからこそ、親の介護が始まったときに「仕事を少し調整すれば何とかなる」と楽観視するのは危険です。
親の問題だけでなく、自分自身の働き方も不安定化しやすい時代だからです。
実際に、介護をしながら働く人はすでに大勢いる
介護は特別な家庭だけの問題ではありません。
総務省の令和4年就業構造基本調査では、介護をしている人は627万6千人、そのうち有業者は346万3千人とされています。つまり、介護と仕事の両立に直面している人は、すでに非常に多いのです。
さらに、経済産業省などでも、仕事をしながら家族介護を担う「ワーキングケアラー」への対応が大きな課題として扱われています。
介護は「そのうち考えること」ではなく、現役世代の働き方そのものに直結する問題になっています。準備をしていないと、親の入院や認知症、転倒などをきっかけに、急に仕事との両立が難しくなることは十分にあり得ます。
これからは「終活は早すぎる」ではなく「遅すぎる前に始める」
私はこれからの終活は、
「人生の終わりの準備」ではなく、「家族全体の生活防衛の準備」
として考えるべきだと思っています。
親が70歳を迎える頃、子ども世代は45歳前後から50代に差しかかります。
この時期は、
親の体力や判断力に少しずつ変化が出始める
子ども世代は仕事の責任が重い
自分自身の老後資金や今後の収入も気になり始める
という、非常に重要な分岐点です。
ここで親の介護準備や終活を後回しにすると、後になってから、
「親のお金のことが分からない」
「兄弟で役割分担が決まっていない」
「介護保険のことを何も知らない」
「仕事を辞める以外の選択肢が見えない」
という状態に陥りやすくなります。
逆に、親がまだ元気なうちに少しずつ話し始めれば、打てる手は増えます。
これが、私が「親70歳・子45歳から始める人生防衛戦略」という考え方を大切にしている理由です。
まず最初にやっておきたいこと
第1話の最後に、今日からできることを3つだけ挙げます。
1.親が70歳を超えているなら「まだ元気」でも準備対象と考える
介護が始まっていなくても、準備を始めるには十分な時期です。
2.自分の仕事を「今のまま続けられる前提」で考えすぎない
AI時代は、仕事内容も雇用環境も変化します。親の問題と自分の仕事の問題は、別々ではなく一緒に考える必要があります。
3.親の介護・終活の話題を、重くしすぎず小さく始める
いきなり相続や施設の話をする必要はありません。
まずは「最近、通院や薬は大丈夫?」「何かあった時に連絡先は分かるようにしておこうか」程度からで十分です。
まとめ
これからの時代は、
親が高齢になるリスクと、
子ども世代の仕事が揺らぎやすいリスクが、
同時に進みます。
だからこそ、終活や介護準備を「もっと先の話」と考えるのではなく、
親70歳・子45歳をひとつの目安に前倒しで始めることが、家族を守る現実的な方法になります。
「何から手をつけたらいいか分からない」
「親のことも自分の仕事も不安」
そんな方は、一人で抱え込まず、早めに整理することが大切です。
私は、
親の介護がすでに始まっていて、仕事との両立に悩んでいる方
これからに備えて、親の介護準備と終活を整理したい50代・60代の方
の両方に向けた相談サービスをご用意しています。
「まだ何も起きていない今」だからこそ、できる準備があります。
第2話では、「まだ元気だから大丈夫」がいちばん危ない理由について、さらに具体的にお伝えします。