前だけを見ろ#4

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その日の深夜、ヒロさんの部屋を訪ねた。
「ヒロさん」とぼくが手を振ると「おう」と言ってヒロさんも手を振った。
「どうした?」
シロキ君が気を遣って部屋を出て行った。ここは4人床の部屋だ。2人しかいないけど。
「師弟関係はそのままで」
「わかった。なんとなくそうじゃないかと思ったよ」
ヒロさんは笑顔で答えた。
「ぼく漫画の目標変えようと思うんだ。前は世界中の人を笑顔にって言ったけど。これからは、読んだ人が和む漫画を描きたい」
「だいぶ違うな。でも、和むか。いいじゃん」
「ありがとう。ハンダさんがね、新しいドラゴンボール描くと良いって言ってた。あんな天才の作品をぼくが描くなんていいのかな?」
ハンダさんは超能力者だ。ぼくのキャラの立ち絵の漫画を見て「ドラゴンボール」と言っていた。
「いいじゃん。やってみれば」
「うん。そうだね」
「座るか?」「うん」
もう外は真っ暗だ。真冬の闇。
「オレは何でもわかる。それは俺が臆病だったからだ。だからこんな風になっちまった」
「今、ぼくが何考えてるかわかる?」
「ちょっとオレのこと注意した」
「当たり」
心が読めるヒロさん。これを読唇術と言っていた。まったく……霊媒体質に読唇術に超能力者、厄介な病院に入院しちゃったな。
その2日後ヒロさんは無事退院していった。
けっこうたくさんの人が送り出しに来た。ヒロさんのカリスマ性だと思った。ヒロさんと握手をした。頑丈な鉄の扉が閉まってゆく、手を振ってるヒロさん。頑張れということか。扉が閉まり少し余韻を味わう。

振り向くな!前だけを見ろ!
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