真実を知ったら最後⑸

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小説
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Chapter5
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”高知一家殺傷事件の犯人自殺”

高知県×××市で起きた一家殺傷事件の犯人が自殺した。5月24日、被害者宅で倉本夫妻が殺害され、近所に住む真壁勉のアトリエ部屋で娘の里奈ちゃんが負傷した状態で見つかった。この事件で容疑を掛けられていた真壁勉容疑者(38)が6月1日午前、自宅で遺体となっているところを娘が発見し通報した。


記事を読み進めていると、真壁勉の顔写真が小さく載っていた。
そこには、天然パーマかのようなクセのある髪、手入れがされていない髭、鼻筋が通っている綺麗な顔立ちだった。

少しずつ記憶が戻ってくる。

この人、知ってる。

「この人が真壁勉なのね」
「そうだね、この人昔仲良くしてくれた近所の人だ」
「てことは事件のこと思い出したの?」
「いや、まだ」


必死に当時のことを思い出そうとするがやはりあまり思い出せない。

悶々としていると、とあるジャーナリストが高知一家殺傷事件について書いた記事が目に入った。


"高知一家殺傷事件の犯人自殺しかし冤罪か“


真壁勉が自殺した3日後に発売された某雑誌の記事だった。


高知一家殺傷事件の容疑者とされている真壁勉(38)が自殺した。しかし本当に彼が犯人なのだろうか。真壁勉は絵を描くことが趣味で、家から徒歩5分の所にアトリエ部屋を借りていた。仕事の後や休日はよくそこで絵を描いていたが、仕事の繁忙期でアトリエに寄ることが減っていた。事件当日も朝から晩まで働いて、疲れて家に直行したとされている。このことは同僚の証言でアリバイが証明されている。つまり、真壁勉が倉本一家を殺傷したとされている日時に、彼は自宅で娘と一緒に寝ていたのである。
しかし、殺害された倉本家の長女里奈ちゃんは事件が起こった日、そのアトリエで見つかっている。アトリエには鍵が掛かっており、中に入るには真壁勉が持つ鍵が必要である。このような不可解な点がいくつかあり、冤罪の可能性も否定できない。


衝撃だった。
冤罪の可能性があるなんて。

「これ本当だったらやばくない?本当にこの人が犯人なの?」

志保の言葉が突き刺さる。


もし本当に冤罪だったら私がこの人の命を奪ったことになるよね。
いや、私は間違いを犯していない。この私が間違うはずがない。


考えすぎたせいで頭痛がひどくなり、帰ることにした。
志保が運転している横で目を閉じ、いつの間にか眠りについた。



ーーーーーーハッーーーーーーー

勢いよく目が覚める。




「あの日何が起きたのか全部思い出した」







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