窓の外では、悠真と陽菜が並んで歩いていくのが見える

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コラム
その夜、凪はなかなか眠れずにいた。

天井を見つめながら、
放課後の廊下での出来事を何度も思い返す。

(明日は……悠真と陽菜ちゃん)

自分の番は、その次。

わかっているのに、
胸の奥がじんわりと冷えていく。

スマホを手に取るけれど、
画面を開いては閉じるだけで、
何も送れない。

(応援するって言ったのに……)

陽菜のまっすぐな瞳。
迷いのない言葉。

それに比べて、自分は・・・
まだどこかで、逃げている気がした。

翌日。

授業中、
凪は前の席の悠真の背中を見つめていた。

シャープペンを動かす指。
少しだけ緊張しているような肩。

(今、何を考えてるんだろう……)

休み時間になると、
陽菜が迷いなく悠真のところへ行く。

「放課後、忘れないでね」

明るい声。

悠真は少し照れたように、
でもはっきりとうなずいた。

「うん」

その一瞬で、
凪の胸がきゅっと締めつけられる。

(約束したんだもんね……)

誰も責められない。
でも、苦しい。

放課後。

凪は教室に一人残っていた。

窓の外では、
悠真と陽菜が並んで歩いていくのが見える。

楽しそうに話す陽菜。
それを静かに聞く悠真。

お似合いだ。

そう思ってしまった自分が、
いちばんつらかった。

(私の知らない悠真……)

胸の奥が、じわっと熱くなる。

そのとき、
悠真がふと立ち止まり、振り返った。

一瞬だけ、視線が合う。

驚いたような顔。
そして、少しだけ困った笑顔。

その表情に、凪の心臓が強く鳴る。

(見ないで……でも、見てほしい)

陽菜が何か言って、
悠真はまた前を向く。

二人の背中が、夕焼けの中に溶けていく。

凪はそっと目を伏せた。

(明日は……私の番)

そう思うだけで、
胸が苦しくて、
でも少しだけ期待してしまう。

この恋は、
誰かが選ばれて、誰かが傷つく。

それでも、
想ってしまった気持ちは、
なかったことにはできない。

凪は小さく息を吸い、
夕焼けに染まる教室で、ひとりつぶやいた。

「……悠真」

その名前は、
静かに胸の奥へ落ちていった。
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