第11話 ゆっくり休みましょう。
海までドライブした後は、碧斗《あおと》くんの家に戻り、車に積んだ荷物を部屋まで運んだ。
最初の荷物のときに、2人で部屋までいって、私のために空けてくれた部屋まで運ぶ。
先に届けにきてくれた朱音《あかね》と琉生《るい》くんがすぐに荷ほどきできるように、家具の設置までしてくれていて(朱音《あかね》のセンスすごい!私の好みと使いやすさばっちりに!)、私はそのまま荷ほどきに。
碧斗《あおと》くんが往復して荷物を全部運び入れてくれた。
今日は早く冷蔵庫にしまわないといけない食材を買っていなかったから、最後の方に買い出ししたものを持ってきて、キリのいいところで夕食を済まる。
ここまで手際よく進められたのは、碧斗《あおと》くん、朱音《あかね》、琉生《るい》くんのおかげ。
食べたお皿を片付けないと…!と思うのに、体が重くて、瞼がいうことを聴かなくて、閉じる視界の向こうで、焦る碧斗《あおと》くんの姿が見えた気がした。
暖かい浮遊力の中で、心地いい感覚を味わう。
降ろされた場所は、さっきと違って寒さを感じて、ぶるっと震えた。
頭をなでる感覚に温かさを感じて、こわばった体が解ける。
「おやすみ」
近い距離にあるはずの声が、遠くの方から聞こえた気がして、私の意識は完全に途切れた。
目が覚めると、用意してもらった私の部屋のベッドにいて、碧斗《あおと》くんの姿は当然なく、私の洋服は昨日のままで、…ということは、私はメイクをしたままで…?
恐々、自分の顔を両手で確認すると、ごわついた感じはまったくなく、なんなら、スキンケアをしっかりした後の感覚で。
立ち上がって、自宅から持ってきたドレッサーの鏡で確認すると…、私の顔は、メイクを落とした状態の、すっぴんだった。
軽く着替えだけを運んでくる予定だったけど、琉生《るい》くんの助けを借りれたことで、がっつりと家具とかも持ってこれて、良かった。
だって、今の自分の状態をすぐに確認できたのだから。
「え?どうなってる?」
こんこん…部屋をノックする音が聞こえて、返事をする。
「はい」
「茉由《まゆ》さん、起きました?」
「うん!あ、碧斗《あおと》くん、あの…」
「すみません、服まで着替えさせることできなかったんですが、メイクは落としてスキンケアはしたんで」
「え、え…、え?」
「お姉ちゃんに、メイクだけは絶対、なにがなんでも落とせ!って。ナイトブラまでつけろとは言わないから、スキンケアまで!って、教えられてたから…」
「あ、あ、あありがとう…」
「お風呂沸かしてるんで、よかったら先に。朝ごはんは、軽めにします?」
「え、あ、うん…」
「茉由《まゆ》さんが支度してる間、俺、走ってくるんで。ゆっくりしててください」
「あ、うん。いってらっしゃい」
部屋を開けずに、会話が終わり。
少ししてから、碧斗《あおと》くんのお風呂が準備できた声がかかった。
碧斗《あおと》くんと話してから、すぐに準備を始めたお風呂セット、洗面台に置きたいスキンケア類と、今日の着る服をもってお風呂場に向かう。
碧斗《あおと》くんの「いってきまーす」の声と同時に玄関の閉まる音が聞こえて、鍵もしっかり閉めて、走りに向かった。
碧斗《あおと》くんの手際の良さに、びっくりです。
朱音《あかね》の教育(?)がすごすぎる…。
ゆっくりとお風呂に浸かると、ほっと疲れがほどけていく。
碧斗《あおと》くんのところに来てから、しっかり休めてる。
最初は、寝不足が一気に満たされて、眠たい眠たいだったけど、徐々に回復していってるのが、体の感覚でわかった。
お湯の温度も温かくちょうどいい。
入浴剤の香りも優しくて、私は至る所で碧斗《あおと》くんの匂いに敏感になっているのを、感じる。
急にいろんなことが動いて、環境が変わって、急いだ分、身体の疲労も大きくて。
力持ちな碧斗《あおと》くんと琉生《るい》くんのおかげで、予想以上の荷物を運べて、朱音《あかね》もたくさんに荷物を運んでくれて、自分だけが疲れてるわけじゃないとわかってる。
甘えてばかりいられないけど…、もう1日、今日は、のんびり過ごしていいかな…。
お風呂の心地よさに、長く長く使って、心と体をしっかりしっかりほぐした。