親友の弟と、恋愛できますか?【連載中】第7話

親友の弟と、恋愛できますか?【連載中】第7話

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第7話 碧斗くん、ご立腹


「碧斗《あおと》、怒らすとめっっちゃ怖いタイプだから」
   こそっと教えてくれる朱音《あかね》の言葉を、胸に刻み込む。
 明日は我が身かもしれない…。
 碧斗《あおと》くんの大きな体が私を包むように立ち塞がり、いつもより少しだけ緊張感を持った指が家の鍵を開けた。
 一応女性の部屋なので、碧斗《あおと》くんと琉生《るい》くんは玄関のところで待っていてくれるらしい。
 朱音《あかね》と洗面台と自分の部屋と行き来しながら、キャリーケースや大きめのカバンにものを詰め込んでいく。
 とりあえず2週間ぐらい過ごせるものがあれば、充分。
 おいおい運び出していくようにして、日常使いのスキンケアや洋服、仕事関連のものが詰められれば…なんて思っていたのに、荷物はあっというまに山になる。
「先に俺の車に積んでくるよ」
「ありがとう、お願いします」
 琉生《るい》くんが軽々荷物を肩にかけ、両手に持ち、部屋を後にする。
 並んでいると2人とも同じぐらいだから、見慣れてしまうけど、碧斗《あおと》くんも、琉生《るい》くんも、身長大きいんだよね…。
 琉生《るい》くんはハーフだから、身長と足の長さは遺伝子レベルだと思うんだけど、純日本の碧斗《あおと》くんも、高身長で足の長さがすごい。
「朱音《あかね》…、外国の血が入ってるとかない?」
「え?ないよ?琉生《るい》だけよ」
「そうだよね…」
 真剣に荷物を詰め込んでくれている朱音《あかね》を見つめて、(朱音《あかね》も手足長いボンキュボン‼なんだよなー…)と、おじさん発想が浮かぶ。
 同じ日本人なのに、…と。
 この3人と一緒にいると、自分の容姿について悲しくなる。
 落ちこんでいても仕方ない!頑張ろう!
「お姉ー!ちょっとだけ外出るねー!」
「…はーい!」
 朱音《あかね》は一瞬、考える間を作ったあとに、さっきの表情がなかったようないつも通りの柔らかい雰囲気で返事をした。
 玄関の扉が閉まる音がしたちょっと後に、---がん‼という音が小さく届いて、びくっと体が飛び跳ねる。
 無意識の行動だった。
 びっくりして、隣の朱音《あかね》を見るけど、焦った様子はなく…。
「大丈夫だよ。作業続けて、早く帰ろう」
 帰ろうという言葉がすんなり浸透するぐらい、碧斗《あおと》くんの部屋が、私の安心できる場所に、なっている。
 帰ろう、早く。
 ここが本当に、嫌な思い出になる前に。
 胸倉をつかまれ、壁に押し付けられているのは、茉由《まゆ》にストーカー行為をしている隣人。
 逃がすまいと、動きを封じるように壁に押さえつけているのは、身長差がありすぎる顔の整った男性、碧斗《あおと》。
 茉由《まゆ》には見せたことがないほど、殺気立った恐ろしい顔で、なにも言えずに震える隣人を見下ろした。
 碧斗《あおと》は、玄関で聞き耳を立てていた。
 自分たちの物音を聞いて、隣人は顔を出すだろうと。
 様子をうかがうために、扉を開けて、こっちの様子を知ろうとすることを。
 今日は、なにもするつもりではなかった。
 茉由《まゆ》さんを困らせるつもりはなかったし、接触したことを知ったとしたら、嫌だと思うから。
 だけど、部屋の前にそのままにされたビニール袋。
 茉由《まゆ》さんが触っていないと思うのに、中は確認された形跡があったから…、こいつが、茉由《まゆ》さんが気づいたことをわかってて、中身を見ていないことを確認して、わざと、置き続けた。
 自分の主張を続けるために、茉由《まゆ》さんに自分を刻むために。
 そういうマーキング行動がむかつくんだよ。
 嫌がられてんだから、やめろよな。
 主張してくんな。
 これが、俺の本音。
 茉由《まゆ》さんが怖がってたから、不快感と二度対峙したからじゃなく、俺が嫌だったから。
「どうも、隣人さん」
「…っ、」
 睨んでくる度胸は残っているらしい。
 俺より小柄だけど、顔立ちを見ると年上…、茉由《まゆ》さんと近い年齢か…。
 茉由《まゆ》さんが童顔だから、推測がむずいけども。
「ねえ、嫌がられてるのに、やめねーの?」
 言いたいことがありそうなのに、言わないのは、これに反論できねーからだろ。
「睨んだってわかんないから、教えてくれる?嫌がられてるのに、なんでしつこくやってんだよ」
「…君に、関係ないよね?いきなりなに?人のこと押さえつけて相当やばい人間じゃん」
「いや、あんたに言われたくないよ。どんだけ苦しめて、どんんだけストレスになってると思ってんの?それが相手からの愛情表現、お返しだと思ってるやばい奴じゃないよね?」
 目が泳ぐこいつを逃がさない。
 まっすぐ見る目の先には、自分の部が悪いこと、非があること、罪悪感が浮かんでいる。
「二度と関わんな。彼女は、俺の女なので。怖がらすことはやめてくださいね」
 けん制する言葉を、こいつの目を見てまっすぐ伝えたから、わかってくれたと思う。
 震えた足で立っているのが限界だったのか、掴んだ手を離したら、そのまますとんと、床に座り込んだ。
 情けねーやつ。
 反論もできないようなこと、してんじゃねーよ。
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