事業再構築補助金 第10回以降の内容とは?

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ビジネス・マーケティング
※創業手帳様より抜粋して記載しておりますことご了承ください。

事業再構築補助金については、令和4年12月2日、令和4年度第2次補正予算が成立し、令和5年度も引き続き継続することが予定されることとなりました。

公表された制度概要によると、「成⻑枠(旧通常枠)の創設」や「グリーン成⻑枠の拡充」、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化を⽀援する「サプライチェーン強靱化枠の創設」など、今までの事業再構築補助金とは異なる概要となっています。

長引く新型コロナウイルス感染症の影響に加え、物価高騰による影響を受ける事業者は多いかと思われますので、早めに政府からの情報をキャッチアップし、活用していくようにしましょう。

まとめると、

第10回以降の事業再構築補助金は、枠組みが増えて各種要件が緩和されることで、使い勝手がよくなります。これまで申請を考えてこなかった方も、これを機に一度活用をご検討ください。

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第10回事業再構築補助金の概要

第10回以降の事業再構築補助金では、第9回以前に比べて枠組みが大きく変更されます。「成長枠」「産業構造転換枠」「サプライチェーン強靭化枠」が新設され、既存の枠組みのいくつかが整理・廃止される予定です。

事業者への影響ですが、全体として要件が緩和される箇所が多く、以前より使い勝手がよくなるでしょう。また「大規模賃金引上促進枠」をはじめ、賃上げを促進するような枠組みや要件が増えたので、賃上げを目指す企業にはとくに便利です。
さらに一部の枠組みについて、2回目の申請・採択が可能になることも特筆すべきポイントでしょう。過去に採択を受けた方も、再度の活用を検討してみましょう。
新しい事業再構築補助金の枠組みや補助金額、補助率等は以下の通りです。旧来の枠組みもあわせて記載するので、どこが変わったか比較してみてください。

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第10回事業再構築補助金のポイント


1. 成長枠(旧通常枠)の売上高減少要件が撤廃される

第10回以降の事業再構築補助金では、従来までの通常枠がなくなり、代わりに「成長枠」が創設されます。通常枠と成長枠の違いは、売上高減少要件がなくなることです。

かつての通常枠では、コロナ以前に比べて所定の割合だけ売上高が減少していることが、応募の要件となっていました。一方、新しい成長枠では同要件がなくなるため、売上高が減少している企業でなくても申し込めます。

事業再構築を目指すほぼ全ての中小企業が対象となったため、経営者の方はぜひ一度活用をご検討ください。

成長枠(旧通常枠)の対象事業は、「過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態」に属する事業です。この「市場規模が10%以上拡大する業種・業態」という要件は、旧来の通常枠にはありませんでした。

すべての業種・業態が対象となるわけではないのでご注意ください。

2. グリーン成長枠の要件が緩和されて使い勝手が向上

温暖化への対応を意識した事業再構築を目指す「グリーン成長枠」は、要件が緩和されて使い勝手が良くなります。具体的には、従来の要件を「スタンダード」としたうえで、要件の緩い「エントリー」という類型が新設されます。

詳細は以下の通りです。エントリー枠では、付加価値額と開発年数、従業員の割合の3点について要件緩和が見られます。「洋上風力・太陽光・地熱」「物流・人流・土木インフラ」をはじめ、カーボンニュートラル関連の事業に挑戦する方は、ぜひ積極的にご活用ください。

3. 大幅賃上げ・規模拡大でインセンティブがある

成長枠およびグリーン成長枠については、賃上げと成長に関する上乗せ枠が設けられます。それぞれ「大規模賃金引上促進枠」と「卒業促進枠」です。

大規模賃金引上促進枠では、事業場内最低賃金の年額45円以上の賃上げ等を達成することで、3,000万円の補助が上乗せされます。卒業促進枠は、拡大によって中小企業・特定事業者・中堅企業の規模を卒業すると補助金額が増える仕組みです。

また大幅賃上げについては、所定の水準を満たすことで、成長枠およびグリーン成長枠の補助率が以下のように上がります。
中小企業 – 1/2→2/3
中堅企業 – 1/3→1/2

4. 廃業費も出る産業構造転換枠の創設

国内市場の縮小といった産業構造の変化などにより、事業再構築の必要性が高い業種・業態の事業者に対しては、新たに「産業構造転換枠」が設けられます。産業構造転換枠は、成長枠と比べて補助率が高く、廃業を伴う場合に最大2,000万円の廃業費が上乗せされます。

「市場規模が10%以上縮小する」については、コロナ禍を踏まえると多くの業種・業態が該当すると考えられます。例えば、外食産業や宿泊業は、市場規模がコロナ前より3割以上縮小したというデータがあります。そのため、コロナによって打撃を受け、既存事業を廃業して新しいビジネスを始める多くの会社に、産業構造転換枠は便利です。

また産業構造転換枠には賃金引上要件がないので、業績が芳しくない企業でも利用しやすいでしょう。

5. 最大5億円のサプライチェーン強靭化枠の創設

部品製造等の国内回帰を進め、国内におけるサプライチェーンの強化と地域産業の活性化に取り組む製造業者に、「サプライチェーン強靭化枠」が新設されます。サプライチェーン強靭化枠の補助金額は、ほかの枠よりとりわけ大きい最大5億円です。

なお、同枠では、設備投資を行う事業場内の最低賃金を地域の最低より30円以上高くするという追加の賃上げ要件が設けられます。そのほか、制度の詳細は今後検討される予定なので、活用をお考えの方は最新情報にご注目ください。

6. コロナや物価高で業況が厳しい企業への支援

コロナや物価高などの影響で、業況が厳しい事業者については、引き続き支援が続けられます。第10回からは、回復・再生応援枠と緊急対策枠が「物価高騰対策・回復再生応援枠」としてまとめられます。

物価高騰対策・回復再生応援枠では、売上高減少要件が30%から10%に緩和されるため、以前より多くの中小企業が利用可能です。コロナ禍を踏まえると、大半の企業が対象になると考えられるので、業績を良くしたい経営者の方はぜひ活用してみてください。

7. 過去に採択された事業者の2回目の申請が一部可能に

事業再構築補助金では、1事業者につき1採択の原則をとってきました。しかし、10回目以降は、グリーン成長枠とサプライチェーン強靭化枠について、2度の申請・採択が認められるようになります。

具体的には、以下2つのパターンで2回目の申請が可能です。
グリーン成長枠以外で1度目の採択を受けた→グリーン成長枠・産業構造転換枠・サプライチェーン強靭化枠で申請可能
グリーン成長枠で1度目の採択を受けた→サプライチェーン強靭化枠で申請可能
※矢印左側は第1回〜第9回の公募にて、右側は第10回公募以降のこと
過去に採択を受けた事業者の方も、希望や状況に応じて、2回目の申請・採択を考えてみてください。なお、支援を受けられる上限は2回までです。

まとめ


第10回以降の事業再構築補助金は、枠組みが増えて各種要件が緩和されることで、使い勝手がよくなります。これまで申請を考えてこなかった方も、これを機に一度活用をご検討ください。

また一部の枠組みについては、2回目の申請・採択も認められます。よって、過去に採択を受けたことがある方も、再度の利用を考えてみましょう。
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