自分で創る自分の車 No.40

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ブレーキを知ろう 番外編

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■プロポーショニングバルブはブレーキに何をもたらすのか?

車のブレーキシステムは複雑に入り組んでいます。
ブレーキシステムには、キャリパーやローター以外にも多くの機能があります。
車のブレーキシステムの重要な部品の一つは、プロポーショニング・バルブです。
プロポーショニング・バルブの機能と重要性を知ることは、車の仕組みを理解し、点検してもらうタイミングを知るために不可欠です。


■プロポーショニング・バルブの機能と目的

プロポーショニング・バルブは、通常、マスター・シリンダーとその他のブレーキ・システムを接続していますが、シリンダーとは独立している場合もあります。
このバルブはブレーキバランサーとも呼ばれ、前後の偏りを最適化するために必要です。
ブレーキペダルを踏んで液圧が上がると作動するバネ式の部品です。

そして、バルブのプランジャーが外れ、フルードが調整された範囲に突入します。
このとき、スプリングが圧縮され、プランジャーがフルードの通過を阻止します。
車の前後の圧力を均一にすることは、安全で確実なブレーキ性能のために重要です。


■車にとってのメリット

プロポーショニング・バルブは、ブレーキのバランスをコントロールすることができるため、ブレーキシステムに組み込むことでメリットがあります。
プロポーショニング・バルブが機能していないと、急な減速時にリア・ブレーキの圧力が高すぎることがあります。

プロポーショニング・バルブが正常に機能していれば、急ブレーキをかけてもリアブレーキがロックすることはありません。
これはどんな車にも必要なことですが、特に車体後方部が軽い車両には欠かせません。

プロポーショニング・バルブは、あらかじめ設定された圧力に達するまで圧力をかけません。
あらかじめ決められた圧力は、ブレーキシステムの最大圧力に比べて低いため、フロントブレーキが作動する前にリヤブレーキが作動することになります。
リアブレーキが先に作動することで、車両を安全に停止させるために必要な制御性と安定性が得られます。

プロポーショニング・バルブは、リア・ブレーキへの圧力を減少させます。
ほとんどのタイプのブレーキは、リア・ブレーキはフロント・ブレーキよりも少ない圧力で作動します。

停車時に4輪に均等な制動力をかけた場合、前輪よりも後輪が先にロックしてしまいます。
プロポーショニング・バルブは、後輪に必要な圧力の一部を供給することで、後輪のロックを防ぎます。


■ブレーキプロポーショニングバルブの3つの種類

さて、ここで知っておいていただきたいのは、自動車に使われているプロポーショニング・バルブには3つの種類があるということです。それは以下の通りです。

●マスターシリンダー一体型・別体型。シリンダーとブレーキラインの間にある流体ポートに取り付けられています。
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●ロードセンシング型。車の後端のフレームに直接取り付けられ、レバーを介して取り付けられているもの。
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●コンビネーションバルブマウント。これらのバルブは、メータリングバルブと圧力差スイッチを備えた、より大きなバルブの一部です。
このタイプのバルブは、通常、マスターシリンダーの下のフレームまたはインナーフェンダーに取り付けられています。
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●社外品・調整式。このバルブを使えば、好みに応じてライン圧を調整することができます。
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下図はライン圧を調整した際の偏り具合をイメージし易く記載しています。
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■プロポーショニング・バルブの故障の兆し

プロポーショニング・バルブは、他の自動車部品と同様に、いずれは故障する可能性があります。
これを見分けるにはいくつかの方法があります。

まず、急にブレーキをかけたときに、車速が急に落ちる状況で、車が十分に止まらないことがあります。
他に、後輪が簡単にロックしてしまう場合、特に濡れた路面を走行しているときは、プロポーショニング・バルブが故障していることを示しています。
ブレーキシステムが正常に機能していないその他の兆候についてもお読みください。


■バルブの故障の原因

バルブが故障している、または正常に動作していないと感じた場合、なぜそうなったのか疑問に思うかもしれません。
プロポーショニング・バルブは、長い間運転していると単純に故障することがあります。
また、ブレーキバランスに影響を与えるような改造をしたことが原因の場合もあります。
ここでは、前輪と後輪の偏りに影響を与える内容の一部をご紹介します。

●フロントの偏りが大きくなる内容
・フロントキャリパーのピストン径の拡大
・フロントパッドの摩擦係数の増加
・フロントローターの直径を大きくする
・リアキャリパーのピストン径を小さくする
・リヤパッドの摩擦係数の減少
・リアローター径の減少
・スティッキーなタイヤの減少
・フロントアクスルの重量軽減
・リアアクスルの荷重
・車高が低く、低重心になっている

●リアの偏りが大きくなる内容
・リアキャリパーのピストン径の拡大
・リアパッドの摩擦係数の増加
・リアローターの大径化
・フロントキャリパーのピストン径を小さくする
・フロントパッドの摩擦係数の減少
・フロントローター径の減少
・フロントアクスルの重量増加
・リアアクスルの重量減少
・車高が上がり、重心が高くなる


■プロポーショニング・バルブのメンテナンスや交換が必要な場合

プロポーショニング・バルブが最適な状態で動作していない場合は、調整や交換が必要な時期かもしれません。
自分でやってみたいと思うかもしれませんが、ブレーキの偏りの変更は、有資格者、ツール、デバイスを持っている人が行うべきです。
正しい圧力の傾斜と効き始めるポイントの選択は、とても面倒で緻密な工程を必要とします。



時々勘違いをされている方も見受けられるのですが、プロポーショニングバルブは減圧する事はできますが、昇圧させる事はできません。

制動力を強化した際に調整する為に必要とします。
この情報によって、ブレーキシステムを少しでも理解していただければ幸いです。


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