ロックで学ぶ英文法、あるいは英文法で学ぶロック
をコンセプトに記事を書きたいと思います。
今回取り上げるのはU2の「I still haven't found what I'm looking for」(邦題「終わりなき旅」)です。
I have climbed highest mountain
一番高い山に登った
I have run through the fields
野原を駆け巡った
Only to be with you
只あなたと共にあるために
Only to be with you
あなたと共にあるために
I have run, I have crawled
走り、這いつくばり
I have scaled these city walls
街の壁をよじ登った
These city walls
街の壁を
Only to be with you
只あなたとあるためだけに
But I still haven’t found what I’m looking for
でも探しているものが見つからない
「I still haven't found what I'm looking for」(邦題「終わりなき旅」)
U2はなぜ特別なバンドなのか?
U2はアイルランドのロックバンド。
1980年にデビューアルバム「BOY」をリリース。
以降、啓蒙的な歌詞、普遍的なメロディ、革新的なサウンド、扇動的なライブパフォーマンスで時代を牽引、ロック界を代表するバンドへと成長を遂げました。
45年に及ぶキャリアにおいてリリースしたアルバムは14枚、総売上枚数は約1億7000万枚。2025年現在も第一線で活躍する、史上最も偉大なバンドのひとつです。
しかし、U2を偉大なバンド足らしめているのは、音楽的達成もさることながら実は他のところにあります。
U2はアイルランド出身。
アイルランドと言えば長い闘争の末、イギリスからの独立を果たした国です。
闘争の歴史を持つ自国のアイデンティティに呼応するかのようにU2自身も
愛と平和の実現に向けて闘いを繰り広げてきました。
1983年、血の日曜日事件(1972年1月30日、北アイルランドで起きた、イギリス軍による非武装市民の銃撃事件)を題材にした「Sunday Bloody Sunday」で暴力に力強く異議を唱え、政治色を前面に押し出していきます。
1985年にはアフリカの飢餓救済を支援するライブエイドに参加。
以降、アフリカの貧困対策、債務免除、エイズ対策、人権保護活動、ネルソン・マンデラ、アウサン・スー・チーの支援等、多くの慈善活動にコミットしていきました。
愛と平和を唱えるバンドはU2以外にも数多くいます。その中には実際に行動を起こしたバンドもいます。(チャリティーライブの先駆けとなったライブエイドも同じアイルランド出身のボブゲルドフが呼びかけたものです。)
しかし、音楽活動と同等の比重でフィランソロピー(慈善活動)に力を入れ、その思想を実践しているのはU2をおいて他にありません。
U2が特別な所以はこの点にあります。
U2の終わりなき旅(U2に学ぶ現在完了形)
冒頭の歌詞はU2の代表曲「I still haven’t found what I’m looking for」(邦題「終わりなき旅」)の一部です。
1987年にリリースされたU2最大のヒットアルバム「ヨシュアトゥリー」に収録されています。
今回はこの曲を通じて現在完了形を学習していきましょう。
探し物が見つからない
have + 過去分詞
現在完了形は過去と現在を結ぶ表現。
過去の体験を現在に持ち越している、ゆえに「持つ」を意味するhaveを使い、「have+過去分詞」で表現します。
そうは言ってもどういうことなのかわかりにくいですよね。
日本語には馴染みのない表現なのでなかなか理解が難しいです。
そこで冒頭に引用したU2の「I still haven’t found what I’m looking for」で見ていきましょう。
I have climbed highest mountain
一番高い山に登った
I have run through the fields
野原を駆け巡った
Only to be with you
只あなたと共にあるために
Only to be with you
あなたと共にあるために
I have run, I have crawled
走り、這いつくばり
I have scaled these city walls
街の壁をよじ登った
These city walls
街の壁を
Only to be with you
只あなたとあるためだけに
But I still haven’t found what I’m looking for
でも探しているものが見つからない
探し物を求めて、山の頂に登り、野原を駆け巡り街の壁をよじ登ったけれど、それでも見つらかった。
過去の経験が現在に持ち越されているイメージを得やすい歌詞です。
have climbed 登った
have run (run-ran-run) 走った
have scaled よじ登った
↓
haven’t found いまも見つからない
have +過去分詞を使った現在完了形が多様されています。
これだけの経験を「完了」したのに「現在」も見つからない。
いかがでしょうか?
現在完了形のイメージをとらえることができたでしょうか?
U2が探しているものは?
さて、ここからは、U2の歌詞の解釈にうつります。
この歌詞の「I」は「you」と共にあるために(Only to be with you )何を探しているのでしょうか。
その前に「I」にこれだけのことをさせてまで共にありたいと思わせる「you」は何者でしょうか。「you」が誰なのか分かれば「I」の探し物も自ずと答えが出そうです。
では、「you」が何者かと言えば、それは「神」です。
ボノはクリスチャンですから特にキリスト教の神ということになります。
そして、探し物は神と共にあることで得られる「平和」です。
U2はこの世界にあまねく恒久の平和を実現し、世界中を約束の地にするためにこれまで活動してきました。
この曲のリリースから40年近くが経ちましたが、しかし、理想郷としてのユートピアは未だ「どこでもない場所」にとどまっています。
連日の戦争報道を観るに平和は遠ざかるばかりです。
U2の「終わりなき旅」は現在も続いています。
動画はアメリカを旅したU2が教会でゴスペルグループと録音した「I still haven't found what I'm looking for」です。個人的にはオリジナルより好きです。ぜひ聴いてみてください♪