1992年、ロサンゼルスで大規模な暴動が起きました。
スピード違反をした黒人男性に4人の警官が暴行を加え、その様子を撮影した近隣住民の映像がテレビで報道されました。
インターネットのない時代、それでもニュースは衛星放送を通じて全世界を駆け巡りました。
4人の警官は過剰な暴行により起訴されるものの無罪となります。
判決を了としない黒人を中心としたマイノリティは、警察署や裁判所に押し寄せ、一部が暴徒化し、後に呼ばれるところの「ロス暴動」へと発展していきます。
ロス暴動のニュースがテレビで報道されたときBGMとして使われたのがレッド・ホット・チリ・ペッパーズの「アンダー・ザ・ブリッジ」という曲でした。
こんな歌詞です。
Sometimes I feel like I don't have a partner
ときどき俺は感じるんだ 友達がいないんじゃないかって
Sometimes I feel like my only friend
ときどき俺は感じるんだ 俺の唯一の友達は
Is the city I live in, The City of Angels
俺が住む街 天使の街
Lonely as I am, together we cry
孤独な時は 一緒に泣いてくれる
I drive on her streets 'cause she's my companion
彼女の通りをドライブする だって彼女はツレなんだから
I walk through her hills 'cause she knows who I am
彼女の丘を通り抜ける だって彼女は俺をわかっているから
She sees my good deeds and she kisses me windy
彼女は俺の良い行いを見て風のようにキスするんだ
この街=ロサンゼルス(LA)だけが友達という、孤独感がひしひしと伝わる一方で、孤独だけれどShe=LAがいつもそばにいてくれる、LAの温もりとやさしさも併せて感じられるナンバーです。
LAのあるカリフォルニア州は移民を積極的に受け入れることで発展してきました。
移民、マイノリティにとってLAは見知らぬ土地でありつつも、他所者を受け入れる寛容さと包容力のある約束の地でもあったのです。ときには世間に虐げられても、ここにいていいんだよ、というメッセージを暖かな風に乗せて届けてくれる街だったのです。
アンダーザブリッジの歌詞にはレッチリのボーカリスト、アンソニーの個人的な体験が反映されていますが、奇しくもマイノリティのLAに対する想いを代弁しており、ロス暴動のニュースを伝えるBGMに選ばれたわけです。
ロスで始まった1992年の暴動は全米各地に飛び火します。
カリフォルニアの夢を裏切られたマイノリティの怒りは街を破壊するほど激しいものでした。
あれから30年以上が経ち、2025年6月現在、トランプ氏の留学生排斥に端を発し、政権に対する反動デモが全米各地に広がっています。
かつてのようにLAではデモが暴徒化し、州兵まで出動する事態。
そして、トランプ大統領自身の誕生日6月14日に開催された軍事パレード。
アメリカ大統領が己の威容を誇示する姿に自由と民主主義の理念国家はどこへ行ってしまったのかと思わずにはいられません。
スクリーンに映し出されるデモの様子にデジャヴを感じるのは私だけではないはずです。