briguht future 。~このお話はフィクションです?~

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白衣の天使がキカイのスイッチを押す。


うんざりした人生。

「ごはんはコンビニで食べなさい」
+2000円がテーブルに置いてある。

23時までは両親は帰らない。

憧れだったギンガムチェックのスカートの制服。
今は何も感じない。嬉しくもない。誰もみない。

気が付くとケータイをなんとなく触っている。
そんな17年間。

むかしむかし、どこかに家族と一緒にでかけて、
なんとなく楽しかったような記憶がある。
それだけ。

「ない」と「なんとなく」。
我ながら凄いスパイラルだと失笑。



なんとなく、背中が痛い気がして、
カラダを起こす。

眩しい。
誰かいる?
影しか見えない。

遠くで手を振っているのは、おばあちゃんだった。

こちらを見て心配そうな顔をしている。

「久しぶり!元気だった?おばあちゃん!」

声が自然にはずんだ。
なんとなく覚えている記憶の中に、わりと強く、
気持ちいい感情が残っていた。

「おばあちゃんはすべてを認めてくれた。」

悪いことをしても、いったんは必ず肯定して、
そのあと、どうすればよかったのか教えてくれた。

ココロがスムーズだった。

久しぶりに会えてうれしい!
思わず手をとって、ブンブン振ってしまった。

「あんた、思ったより元気そうでよかった…」
少しだけ、表情がゆるんだおばあちゃんが、
優しく抱きしめてくれた。

「今はなんか楽しいコトあるんか?」
優しくことばをかけられ、色々思い返す。

ぐるぐる回る頭のなかで、
急に、強烈に嫌な気持ちがあふれ出した。

楽しいことを思い出すはずなのに、
何もなかった。
むしろ、お風呂に入ってて、
何もかも嫌になって、
叫んで、
泣いて、
そのあと、、、

思い出せない。

「ごめんねぇ。」

あやまるおばあちゃん。
何故だろう、

涙が止まらなくなった。

ギンガムチェックの制服を見て、
いちばん喜んでくれたおばあちゃん。

いつもあたたかいご飯を作ってくれた、
おばあちゃん。

いつからだろう。
ココロが止まった。
毎日、なんとなくになっていた。
生きている意味を感じなくなった。
話さなくなった。


友達いたっけ?
思い出せない。

「あんた、、、人生は、始まったばかりやろぉ」

「まだ、いっぱい、楽しいことあるよ」

ゆっくりと、

優しく、

ココロが、あたたかく、、、

また、まぶしくて何も見えなくなった。。。



「おかえり!おかえりっ!」

目の前で、とうさんが泣いている。
かあさんは、わたしに抱き着いたまま、離れない。

白衣の天使がわたしにゆっくりとはなしかける。

「最初のプログラムは、成功したようです」

意味が解らない。

「あなたは、生き残ったんですよ。」
「そして、意識を取り戻すところで、
心療内科のケアプログラムを受けたんです。」


あとで聞いた話。
現在の医療現場では、自殺を失敗した人が、
また繰り返さないように、
ココロの治療プログラムを仮想空間で受けることが出来るらしい。

わたしはお風呂場の鏡に、
何度も、何度も、何度も
頭を打ちつけ、
最後には、ガラスの破片で、
首や、お腹や、手首を刺していたらしい。

絶望から目覚め、
また絶望が始まる。
そのループを、断ち切るプログラム。

両親が泣いているのを、
素直に受け入れることが出来た、
キッカケを作ってくれたように感じた。

「1年ぶりに声聞いたみたい。。」

わたしのつぶやきに、
さらに泣きじゃくるおかあさん。

「あしたからは、もっと一緒にいようね」
歯を食いしばりながら、必死に笑おうとするおとうさん。

家族が、そこにはあったみたい。

ほぼ全裸だったことに気が付いて、
ちょっと恥ずかしがりながら、

「そうだね!」

こんなに声出たっけ。

ありがとう。おばあちゃん。

*このお話はフィクションです?





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