プリントショップやサービスで
簡易的なプリントウェアを少量枚数発注する事と
商用品としてのオリジナルウェアを作る事は大きく異なる部分があります。
これは具体的にどれくらいの規模の違いが出てくるのか、等
制作会社や、依頼の際に良くある
トラブルや 認識の違いによる勘違いをまとめました。
良くある例:プリントウェアを作るはずだけだったのに
解説:
PCディスプレイの画像上では2Dデザインの条件や制限が発生しません。
その為、
どのような物も印刷で作れると思ってしまいがちですが
2Dグラフィックをそのまま印刷できるのは
基本的には紙への印刷に限られます。
シルクスクリーンにはシルクスクリーンの
ガーメントにはガーメント、
昇華なら昇華、刺繍には刺繍の
デザインの表現と形状への推奨ラインが有り
コットン、ポリ、ナイロンによって、そのルールの再現幅が変わってきます。
上記画像では、デザイナーが意味も分からないでデザインを確定してオーダーを取ってきてしまったため、制作担当が慌てています。
ハイメッシュ、特色分解、4色分解が必要なシルクスクリーン印刷は
大ロットのブランドや企業案件のみで使われる高額な印刷方法です。
また、ハイメッシュを刷るだけなら誰にでも出来ますが
ハイメッシュを綺麗、かつ堅牢度を担保して刷る事は
相当の腕と経験とフィジカルを持った職人にしか出来ません。
かといって、ハイメッシュでしか刷れないデザインを通常版で刷れば
イメージとは全く違う とんでもない仕上がりになるのでクレームどころか返品返金対応となることは明白です。
実際に制作する時に入稿や施工、堅牢度でトラブルが出るのは
制作のルールから逸脱したデザインを入稿しているから起きるトラブルです。
インクジェットプリントで良くある勘違い
「フルカラー印刷であっても画像の通り印刷できる訳ではない」
↓↓
これは実際に印刷可能な範囲を考慮せず作られてしまったグラフィック入稿で起きるトラブルです。
高解像度出力が可能なプリンターは紙用のレーザープリンターのみです。
プリンターの出力を考慮していないと
上記のような
抜け 滲み 変色 等が発生します。
仕様を知らずにグラフィックを納品してしまい
施工現場で事故が出た場合、それはデザイナーの責任になってしまいます。
その為、デザイナーはビジュアルイメージとしてのデザインではなく
校正図案としてのグラフィックを作らなければなりません。
●オリジナルウェアとプリントウェアの違い
印刷業は服を作っているわけではない
印刷業のプリントウェア制作と
アパレル業のオリジナルウェア制作は 全く別の業界
①OEMをプリント屋と勘違いしている失敗する例
解説:
「●●君、このA4用紙にコピーしてきて!」
というのは誰にでも簡単にできますが
「●●君、特注のA4用紙を仕入れて、それにコピーしてきて!」
「●●君、オリジナルのA4用紙を作って、それにコピーしてきて!」
というのでは全く別の次元が話になっています。
オリジナルで作るという事と、既にある物に印刷をかけるだけの物では
必要になる労力、規模感、コストやロットが全く違うという事を考慮して考える必要があります。
②印刷業とアパレル業を勘違いしてしまっている例
解説:
安いとは何か
印刷業に限らず飲食業、建築業、サービス業など、どの業界においても同じだとは思いますが
コストを安く抑えようとすればするほど自由度とクオリティは下がっていきます。
過去にあった事例として
弊社が用意した「見積もりが高い」と相見積もりを持ち出されたことがあります。
相見積もりに関しては何の問題もなかったのですが
問題は【制作内容に対して不自然に安すぎる】という点でした。
「これは本当に同条件の見積もりですか?」とクライアントに確認を促しましたが結局、安値の業者に発注を行い
実際に納品されたものを見て、慌てて弊社に「修正が出来ないか」と連絡が来ました。
既に施工/制作済みの物に対して修正など出来るはずも無く
そのクライアントさんは肝入りの物販企画を飛ばしてしまいました。
クライアントが当初要望していたのは
質の高いオリジナルウェア。10オンスコットンでラグラン仕様のTシャツに対して グラフィックデザイン4版シルクの施工でしたが
手元に届いたのはラグラン仕様でもなんでもない4オンスポリTeeに
ベタ張り転写の印刷がされた物が届きました。
安いには必ず理由があります。
その理由が許容範囲かどうかを判断するのはクライアント側の知識や経験が必要です。
③今度はプリント業者にボディの仕入れを依頼してみる
解説:
「高層ビルを建てる為には、高層ビルを建てられるだけの莫大な予算が必要」
ということは誰でも想像できているのですが
何故か、ハイブランドや有名ブランドと同じ物を作るのであれば
プリントTシャツと同じくらいの単価で作れると勘違いされがちです。
当たり前ですが有名ブランドと同じレベルの物を作るには
その有名ブランドと同じだけの年間予算と人員を注ぎ込まなければ
同じレベルの物は作れません。
デザイナーブランドやドメスブランド、ハイエンド系のセレクトショップの商品はTシャツ一枚で 13000円~28000円 など高額な物がありますが
それらはネームバリューだけで価格を吊り上げている訳ではありません。
作りの良いウェア(生地)はプリントウェアに比べてはるかに高額です。
※生地/原材料の時点でケタが違います
特にヨーロッパやアメリカの一流ブランクは
Tシャツの卸し値だけで、簡易的なプリントTシャツなら2枚~5枚作れてしまうくらいの単価で取引されています。
実際に割ける予算の範囲の中で どこに妥協点を持ってくるのかなどは商談や内容の打ち合わせの中で定めていくしかありません。
◆怪しい商材や仲介屋が時々現れるパターン
解説:
激安な物には激安の理由が必ずあります。
何かとニュースになっている激安通販系サイトでは
パターン横流しの模造品や、サプライヤーが発注元に卸せなかった廃棄品がそのまま激安通販サイトに流され
商品画像は正規画像を使っているのに、実物は原材料から何から全く違うなど、何でも有りの状態です
・とんでもない安値だったので購入したら個人情報だけ抜かれてキャンセルされた
・椅子を買ったら、ミニチュアの椅子が届いた
・ステンドグラスのランプを買ったらステンドグラス風のプリントがされたツボが届いた
コットン素材と言いながら化学繊維のものになっていたり
NI●Eと書かれているのに明らかに偽物だったりと、
画像や商品内容と仕様の違う物が飛び交っています
激安通販の商品を個人で自分の為に購入する分には問題ありませんが
法人はそういった危険な物を商材として使う事は出来ません。
④OEM/ODMは計画的な相談をすればプリントウェアより安くなる
解説:
OEM/ODM 別注/特注による生産は
ちゃんとロットを守って制作を行えばプリントウェア以上の幅やクオリティで
プリントウェアを作るより割安な単価に収まってきますが
初心者の方にはあまりオススメは出来ません。
プリントウェアで作れる物と、作れない物の差などがある程度分かっている
中級者向けの方にのみオススメです。