オリジナルで制作ウェアの安値販売のリスクについて

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ビジネス・マーケティング
前回ブログで書いた③の部分について

何故、自社制作アイテムを安値で販売してはいけないのか

・インディブランドをはじめたい
・お店の副商材のラインとして自社アイテムを販売したい
・アーティスト活動の一環として小売販売もはじめたい

プリントウェアやオリジナルウェア、アイテムの制作販売のお問い合わせは年々増えています。
しかし、その中でせっかく軌道に乗りかけた商材を初動で失敗して
台無しにしてしまうケースも少なくありません。

ここでは極端なケースを例として挙げますが

規模の大小はありますが「あるある」のケースを紹介します



●個人事業主Aさんは最近人気の出てきたクリエイター
オリジナルアイテムをネットショップ開設サイトで販売を始めました


①単純な制作コストが1着あたり1500円のTシャツがあったとします。
②それはオンラインストアで2カ月で1000枚売れるものとします
③梱包発送費は別途で貰うもの  と仮定します。


・Aさんは自分の名前が広まればと思い原価に300円だけ乗せた
 1800円での販売をネットショップで開始しました。
・結果、SNSでフォロワーにも好評で2カ月で1000枚全て完売し
 180万円の売上を得ました。

Q:この時、Aさんの手元に残る金額はいくらでしょうか

A:答えは大赤字です

ここでは1000枚と大きなロットとして分かりやすくしていますが
これが100枚であっても、10枚であっても
運用の入りを間違えている時点でどう転んでも赤字になります。

何故 売り切れなのに赤字になるのか


まず、
ネットショップ系のストアでは売上から2.9%~7%は手数料が引かれます
さらに決済方法がクレカや電子決済であった場合は別途で決済手数料が
2.5~3.15%程度売上げより差し引かれますが
平均をとって98,100円が販売にかかった手数料とします

◆次に、Aさんが制作発注に費やした日数が10日とします
稼働時間は1日平均3時間×10日で30時間としましょう
この時Aさんが時給1100円と仮定した場合、
アイテム制作にかけた人件費は33,000円です。

◆販売管理(注文確認と処理)を他社に任せると手数料が高くなるので
販売管理だけは自分の人件費の範囲で行ったとします。
1日1時間として2カ月(44日) 44×1100円=48,400円

◆梱包発送までは行えないので他社に任せたとします
お客さんがAさんに払う発送費ではなく実発送を行う会社に支払われる手数料です。
自分で契約した倉庫であれば1件100円代の所もありますが
インディブランドが任せる発送システムの場合
ほとんどはネットショップと紐づいたシステムを使うのでおよそ300円前後が相場です。
300円×1000件=300,000円


トータルの収益は-179,500円の赤字


1800円を1000個、2カ月で売り切って
売上は1,800,000円
-179,500円の赤字

売れ行きが良いという事で年間通して続けてしまっていたら年間108万円の赤字をくらいます。

もちろん、
1個のアイテムだけで運営を行うストアはなく
別の商材を取り扱ったり本業の方で収益を調整するというのが一般的な運用の仕方ですが
このようなアイテム制作と販売は資産を食いつぶすだけで
やらない方がマシ という事まであります。

更に、
上記のケースは消費税や税金も考慮しない状態で赤字になっています。

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「いやいや、一人で運営して自分の給与を自分で賄えているのだから赤字ではないでしょう」と思うかもしれません。

しかし、上記の例では【販売管理に1日1時間】という計算にしていますが、実際にはフルタイム稼働が必要になる規模です。

もし販売している商品が何か拍子で軌道に乗った瞬間に
一人では対応できない規模に膨れ上がります。

そうなると、とにかく人員を追加しなければなりません。
ということは、スタッフの月給も発生します。

しかし、上のような値付けで回しているブランドは
人を雇うような余裕は1ミリもありません。
無理に人を雇えばダイレクトに人件費分だけの赤字が乗っかてくるので
どう転んでも赤字から抜け出すことは出来ません。


安値販売 その後のリスクについて


Aさんは次は赤字にならないよう
また1000個のアイテムを制作し売価を2800円に上げて販売を開始。

2カ月で500件の販売を見込んでいましたが
結果は2カ月で250件しか売れず その後も全く売れ行きが伸びず
80万円分の赤字となる不良在庫を抱える事になりました。

同じ物を売れば販売個数が下がるのは当然ですが
問題はそこではなく
最初に強烈な安値を出してしまった事で
【Aさんのお店は安い価格で安い物を売るお店】という認識にさせてしまったという点です。

Aさんとしては当然の値上げだとしてもフォロワーからすれば 
(Aさんが突然 金儲けに走り出した・・)
(先月までは安値で売ってたのになんで・・)
という感情を抱いてしまいます。

これはお客さんの不信感や嫌悪感を無駄に掻き立ててしまいます。

結果、Aさんは最初の価格に戻して赤字販売を続けなければならなくなりました。

安値販売の後遺症。 チャンスを失う理由



そんなAさんにチャンスが訪れます
大きな企業とのコラボが決まり
販売にかかる手数料や梱包発送費を差し引いた純粋な制作費のみで販売ができる機会が訪れました。

しかも、先行予約で2500個の受注も決まりました。

今度こそちゃんと粗利が取れると大喜びで再制作の発注をかけます。
しかし、運悪く制作費が高騰する時期と重なってしまいました

良くある例としては
・世界情勢による原材料や資材コストが上がってしまった
・円安によりサプライヤーやメーカー側も値上げしてきた
・全国的な賃金の見直しが入った 等

結果、前回は原価1500円で作れた物が原価1800円になってしまいました。
Aさんの値付けでは粗利が300円なので、粗利が0円となります。

2500枚の販売が確定しているのに収益ゼロ
収益もないので、その間の生活費を補う余裕もありません。
自らお金を出して借金を膨らませるような意味不明な状態に陥っていきます。


安値勝負を行う一番のメリットは集客力ですが
デメリットは販売にかける労力の方が利益よりも高くなりがちな点と
一番のウィークポイントとして【製作費が変動した瞬間に破綻する】という点です。


いくらピンチでも やってはいけない禁じ手

結果、Aさんは禁じ手に手を出します
今までの製作所ではなく
より安い資材、安いインク、安い制作費の工場を探して発注をかけます。
なんと1枚1000円の制作費まで下げることができました。

そして、
販売が始まる10日前になり発注していた製品が届き
以前作っていたものとは全然違う品質の 見るからに安っぽい製品が届きました。

予定していた物よりも明らかにクオリティの低い商材を見せられた
コラボ先の企業も Aさんに対して
「これではさすがにカスタマーから炎上が起きます。最初に契約した時と同じ物を用意してください」と言われてしまいます。

消費者に販売するクオリティに達していないという事でトラブルが生まれれば、Aさんだけではなく関係各所のイメージダウンにも繋がります。

Aさんは安値の見積もりが返ってきたことに喜んで
一番重要な 制作に使うインクや生地などのスペックがガクンと下がっていることまでは見ていませんでした。

Aさんにとっては予期せぬトラブルでしたが企業側からすれば
「土壇場になって、おかしな物を用意してきたのはAさん」です
案件は中止、延期となってしまいます。

損害賠償などが発生しなかっただけマシですが
売ることもできない不良在庫325万円分がAさんの自宅に残されることになりました。
ダンボール10箱程度でも家に置くには邪魔ですが
100箱、500箱単位の商品は破棄するだけでもかなりの金額がかかります

印刷工場にクレームを入れるAさん

Aさんは今回発注を頼んだ制作工場にクレームを入れました。
「なんであんな質の低い物を納品したのか。全額返金しなければ損害賠償を起こしますよ。」

しかし、業者側もこういうクレームには慣れっこです。
「A様が【別の業者では制作コストが高いので安い見積もりを出して欲しい】という要望があり、弊社側も安い物を提案し、制作の内容についてもメールで全て記載しています。
全て確認の上でA様が発注を確定を頂いておりますので。一切の不備はございません。」

発注の履歴を見てみると確かに制作内容は安い生地の物で
使用するインク量を削ってコストを削るという事も書かれていました。
Aさんは全て了承の上で確定を行っていました。

最初の売価をちゃんと考えておけば、全て上手く行っていた


今回はAさんの不注意が招いたミスでしたが
【プリント代込み 1枚700円税込!!?】という広告を見て発注したら
なんのかんのオプションが入って結果的に1枚2800円税込で請求された
というようなケースは昭和初期だけの話ではなく、令和の今でも非常に多いケースです。


制作内容を定める場合には、ちゃんと確認をしておくことも大事です。


1番の問題はAさんがオリジナルアイテムやウェアの制作販売に関して
セーフティーな売価をつけずにストアを始めてしまったのが一番の問題です。

もし、適正な価格で販売していれば
販売枚数は落ちたとしても赤字をこうむるような事は回避できましたし
物価上昇などで制作費が一時的に上がってしまった場合でも
自身の粗利を削ることで窮地をしのぐ事もできました

しかしAさんとは逆のパターンとして

ただの安物を高単価で販売して炎上するというケースも少なくありません

弊社では
そういった部分からの選定や相談も可能としております。















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