◆◆◆染の着物◆◆◆
▶小紋
裃に、お家がわかるように小さな紋が隙間なく染められていたことが名前の由来。
一つ一つの柄が、独立して全体に均一に配置されている。主に染の着物。
全体に柄のあるものを、「総柄」の小紋と言ったりする。ぽんぽんと規則的に飛んでいる柄を「飛び柄」という。
総柄のものは、カジュアルにしか着られないが、飛び柄の小紋は、宝尽くしなどのおめでたい柄や、付け下げ調に見えるものなどは、入学・卒業式にも着用可。
▶色無地
白生地を一色に染めたもの。染めたものなので、白生地をそのまま仕立てても、色無地とは言わない。見た目にはわからないけど。たまに同色のぼかしが入っているものが色無地として売っているが、ぼかしも色のうちなので、一色とはならず、それは小紋。
喪服は、黒く染めた色無地に五つ紋を染め抜かれているもの。どんな色であれ、色無地に五つ紋を染め抜くと、最上礼装になるので、要注意。そんな人いないと思うけど。
染の色無地と、紬の色無地がある。
地紋のないものは、ちょっと格が下がる。
地紋が、付け下げ調になっているものがあるが、これも一色で染められていたら、付け下げではなく、色無地。だからと言って、色無地として着用するのは微妙なところ。微妙さは大島や紬の訪問着と同じ。
▶付け下げ
柄に上下のある染の反物。墨打ちによって、切るところが決まっている。墨打ちがあれば、付け下げ。ただし、小紋にも墨打ちが打ってあることもある。
ぼかしの八掛をつけることが多い。
青海波は肩で振り分けていれば付け下げ。一方付いていれば小紋。ただし、着ていくときは、両方、小紋として着用。
他に、無地で一つ紋の縫い紋がある紬や鹿の子の総絞りも、付け下げ格での着用が可能。
▶訪問着
仮絵羽状態になっているものに、四裾、かけ衿、袖付けに柄合わせがあり、表生地と同じ生地の八掛(共八掛)使用。
袖付けに繋ぎの柄があれば、訪問着と解釈してよい。なぜなら、袖付けの柄合わせは、難しいから。
▶振袖
袖が2尺5寸以上の着物。中振袖、本振り袖、大振袖とあり、中振袖はひざ下からふくらはぎ下ぐらいの袖丈。振袖は、くるぶしまで来る袖丈。
厳密に、大振袖は、裾に綿が入り、振り布の着いた3枚重ねの振袖になるが、今、そんな仰々しい振袖をオーダーする人はいないので、振袖丈の振袖を大振袖、本振袖と呼ぶ。
ちなみに、振袖とは、振りの長い袖の着物のことなので、無地、小紋、等も、振袖として仕立てる。色無地の振袖の場合は、共八掛付きの4丈物で間にあう(要身丈・袖丈確認)。
小振袖は、振袖と名前が付くが、カテゴリーとしては振袖には入らず、盛装にはならない。カジュアル。なんとなく振袖っぽいから、小振袖。
▶留袖
黒の地色に四裾に柄のある五つ紋が染め抜かれたものを黒留袖。
黒以外の地色に四裾に柄のある五つ紋、または三つ紋が染め抜かれたものを色留袖。
▶白無垢・色打掛・掛下
言わずと知れた結婚式のときに着るもの。お引きずりに仕立てた振袖。裾は1寸5分の裾フキに綿を入れる。袖口も綿入り。
白無垢は、表が真っ白の色無地に八掛は白、あるいは赤。色打掛は、お色直しに着たりする主に金襴の生地を使用したもの。掛下は、打掛の下に着る下着。
◆◆◆織の着物◆◆◆
何につけても染の着物よりも格下。野良着、作業着、普段着扱い。その分、丈夫であったり、つるりと汚れが落ちやすい構造。
よく、大島や紬の訪問着が、その格について問われるが、ジャージやデニムでドレスを作ったと想像してもらえれば、推して知るべし。
▷銘仙(めいせん)
撚りの甘い糸で織った、平織の絹織物。大島も黄八丈も、広義に銘仙の一種。
▷大島紬・黄八丈
奄美大島で織られた銘仙が、大島紬。八丈島で織られた銘仙が黄八丈。お江戸の町娘がよく着ているのが黄八丈。
▷紬・結城紬
くず繭をいったん真綿にしてから紡ぎだした糸から作った絹織物。現在は、技術革新もあり、紬といえど、滑らかな触感の上質なものが多い。紬の色無地は、一つ紋を入れて付け下げ格として着用できる。
結城紬は、茨城県結城市で織られている奈良時代から続く伝統工芸。
☆☆☆ちょこっとコラム☆☆☆
さて。問題は、反物状に染められていたものを、わざわざ切って仮絵羽にして訪問着ですよ。と、販売されているものがある。
事の発端は、付け下げを反物状では柄のイメージがつかないから、切るところも決まっていることだし、ちょっと、切って仮絵羽にしてみようかという、呉服屋さんの親切心から。
それを仮絵羽になっているというだけで、訪問着として販売した人がいて、それが罷り通っている現在。実際、付け下げか訪問着かは染の段階でしか区別ができないようなものだから、それを言われてしまえば何も言えない。
仕立屋的には、柄重視で物を判断するので、四裾に柄合わせのない訪問着とか、ラッキーとしか言えないが、どう見ても段違いのぼかしの付け下げとも言えない小紋なのに、訪問着とか言われたら、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
以上(令和3年7月現在)