長年勤め上げた会社を卒業し、いよいよ迎える定年退職。
その瞬間を想像したとき、なんだか目の前に「白紙の地図」をポンと渡されたような、なんとも言えない心細さを感じることはありませんか。
これまでは、会社という大きな看板や、毎日のルーティン、次に進むべきルートがしっかりと地図に描かれていました。
でも、退職した途端にその線がすべて消えてしまい、どこへ向かって歩けばいいのか分からなくなってしまう。
そんな不安や孤独感を覚えるのは、あなたがこれまで社会の中で一生懸命に責任を果たし、駆け抜けてきた証拠そのものです。
僕はこれまで、仕事の悩みや人生の転機、そして将来への漠然とした不安を抱える方々のお話をたくさん伺ってきました。
その中で気づいたのは、真面目でがんばり屋さんな人ほど、この「白紙の地図」を前にしたときに足がすくんでしまいやすいということです。
「何か有意義なことを始めなければいけない」「次の目標を早く決めなくては」と、焦って自分を追い込んでしまうのですね。
でも、僕は思うのです。
その地図が白紙に見えるのは、決して悪いことでも、恐れることでもありません。
むしろ「これからどんな景色を描いても自由ですよ」という、人生からの贅沢なプレゼントなのだと僕は受け止めています。
白紙ということは、どこに寄り道をしてもいいし、どんな色のペンで新しい道を書き加えてもいいということです。
これまで時間がなくて諦めていたこと、ちょっと興味があったけれど後回しにしていたことに、いつ挑戦しても自由です。
もちろん、最初から大きな夢や計画を書き込む必要なんてまったくありません。
「朝、目覚まし時計をかけずにゆっくり起きてみる」とか、「近所の公園をあてもなく散歩してみる」とか、そんな小さな一歩からで十分なのです。
心細さを感じたときは、どうかその不安を否定せず、「あぁ、それだけ自分は一生懸命生きてきたんだな」と、まずは自分自身を労ってあげてくださいね。
目的地が決まっていなくても、ただそこにいるだけで、あなたの価値は何も変わりません。
これから始まる新しい日々は、あなただけのオーダーメイドの物語です。
焦らず、一歩ずつ、その真っ白なキャンバスに心地よい風を吹き込んでいきましょう。
あなたがこれからの時間を、もっと自分らしく、のんびりと楽しんでいけるよう、心理カウンセラーとしていつでも応援しています。