ロゴデザインについての蘊蓄(うんちく)その5

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ビジネス・マーケティング
会社に縛られる事なくもっと楽しくもっと自由に働いてもらう為の手段としてデザインをお伝えしております。

デザイン歴18年以上やって思うロゴデザインについて


今回はロゴマークの本当の最終回、ロゴデザインが作られる本来の目的を私見ながら紹介させて頂きます。

前回までのお話はこちらを




ロゴマークに必要なもの


前回ブログ最後で

似ているものが過去にある→パクリで悪。
だからロゴマークは今までに無いものが必要なのだと。

がしかし、自分の好きな芸能人が作ると誰もが見たことあるモチーフを使っていても→称賛の嵐
(ヘッダーの画像にある通り発表されたロゴ案は誰もが過去見たことあるシェイプばかり)

つまりロゴデザインに求められているものは「今まで見たことがないもの」では

無い

という事です。

ではロゴマークには何が必要なのでしょうか?

と締めくくりました。


ロゴマークに必要なものを語る前に人の心理の部分のお話を。

佐野さんのパクリ事件が社会に噴出した時に新たに現れたその時だけ専門家の芸能人(サッカーW杯でもよく現れますが)によって生み出されたロゴたちは称賛を得ました。

これは私がデザイナーを続けて来て思うのですが
誰もが自分に都合がよい基準を持っている
その自分の基準に合わなければ否定しまいがちです。

これはデザインの見た目の部分はラーメンと同じで最後は人の好みに左右され決して万人に受け入れられるものは無いのです。そして誰もそれは分かっていると口にするのです、、、が
しかし多くのデザインを発注される立場の方は、いざ案件を発注すると万人に受け入れられるものは無いと言いながらも老若男女にターゲットに置きたがります。最初はペルソナを設定したにも関わらず少しずつペルソナが若返りつつも反対に年を重ねていき案件が進むにつれてペルソナはもうどこの誰ともわからぬ姿になって最後は遠くへ旅立って消えてしまいます。
今まで何人のペルソナたちが愛想つかせて旅立って行ったのでしょうか。

これは私を含め誰にでも起こりうる事で理論や常識は心得ている。提出された言い分も受け止めている。
がしかし無意識に自分の好都合のふるいにかけて物事を判断しまいがちではないでしょうか?
ましてやこれから何かを形作られる際にまだ見ぬ姿には成功するのか否か、不成功の際の責任は自分なのか?不安を感じますよね。そういった場合はやはりそれまでの経験(知りうるものや成功体験)に重ねて判断をしていくと思います。その経験に重ねて自分の考えと同じだと安心をする。
その心理がふるいに掛けてしまう、自分の好みに寄り添わせてしまう原因なのです。

それらを踏まえて本題に戻るのですが、
ではロゴマークに必要なものは「今までにないもの」では無いのはわかりました。

では何?

答えを申し上げると

物語

です。


最近巷で耳にしませんか?
あなただけのストーリー
ストーリーテラー
インスタでもストーリー

ストーリー = 物語

人生なんかはその人オリジナルのストーリーですよね。
それと同じで企業が歩むストーリー、物語がロゴマークに必要なのであり、
それが企業にオリジナリティーを持たせるのです。

私たちデザイナーは絵を描く事よりもそういったストーリーを作り上げる事が仕事の大半なのです。
オリジナルのストーリーに必要なものが幾つかあり、その一つが「創業者の想い」です。
起業家の社会をよくしたい、もっと便利にしたい、だから私はこのサービスを提供するという想いがその企業の物語となっていきます。

とくにベンチャーの起業家の方は想いが強く、伝えたい事が次から次への言葉になって出てきます。時に言葉の種類が多すぎて起業家本人も整理が上手く出来ずに矛盾を生んでいたりします。
その想いを第三者として受け止め整理して提示されるのが企業のシンボルマークなのです。
映像や書籍の編集みたいなものでより良く伝えるために削ぎ落とし、言葉の順番を変えてストーリーを作り上げて行きます。
そして最後に、あなたの会社はこの想いを抱いて歩んでいくのですよね?と念を押す感じで提出します。
そしてそれにはデザイナーとして覚悟が必要です。念を押すという事はある種の決めつけにも近い圧力を持ち、それを提示するからにはそれなりの自信があり、その自信の裏付けの為の幾度もの検証する胆力があります。また今回題材にした佐野さんの様に依頼者ではなくロゴマークを見た一般の人の批判も受け止める覚悟が必要だからです。

ロゴマークの検証

世界初の株式会社東インド会社が発足してすでに400年余りが経ち様々な企業のロゴマークが生まれ乱立しています。

有名どころのロゴマークをググってみてください。
時代の影響もあり当初の形より変化している物が多いです。
ただそのどれもがストーリーを持っているのです。

例えばAmazon

amazon 2.png


1994年のロゴマークではAをモチーフにアマゾン川が描かれています。
これは創業当時アマゾン川のような広大なシェアを取るというジェフ・ベゾスの想いが描かれています。
2002年にはその広大なシェアへの想いを引き継ぎ a から z へ矢印が伸びており AからZまでを指しておりさらに顧客の満足を表現する笑顔の口もとを表現しています。つまりA to Zな品揃えでお客様を満足させるというストーリーがあります。

このように本来ロゴマークには物語が込められるものなのです。

AmazonのAというアルファベットと川、アップルのリンゴ、shellの貝、マクドナルドのM、見たことあるものばかりです。どこに今までにないものがるのでしょうか?
逆に見たことあるものの方がすぐに何を示しているかわかるのではないでしょうか?前段で記載した知りうる経験とかさねて「これは◯○だ」と簡単に理解できて安心していないでしょうか?

ロゴマークは 見たことある形であってもなくても物語があればオリジナルとなります。逆に物語がなければどこかで見たことあるアイコンとなります。

現代デザインが形成されて100年あまり、さらに株式会社が生まれて400年以上経ち無数のロゴマークたちが生まれて来ました。
同じモチーフのもの、形が似通ったもの沢山ありませんか?
でも、それぞれに物語が込められた時、その企業ロゴは企業の顔となりその企業オリジナルのロゴマークになるのです。


今一度見比べてみてください。
ダウンロード.png

本当にこの二つは同じですか?

さらに佐野さんの提出時のロゴマーク案と比べてパクリですか?

当初とくらべpng.png

ロゴマークが持つメッセージを、ロゴのシェイプを分解利用したアルファベットで、言葉を具現化された代物です。私ではとても完成させられない高レベルでの技術と知見が込められていると感じました。
at0805037.jpg


もちろん上記は私の見解であり、
東京五輪のパクリ事件について判断するのは玄人素人関係なくあなたです。
だからはあなたの判断に委ねます。



まとめ

ロゴマークに必要なのは「今までにないもの」ではなく

物語

これが重要です。

それら物語を作り上げる事に力を注ぎロゴマークに魂を込めるのがプロのグラフィックデザイナーの仕事です。

とまあ、ロゴマークについて蘊蓄をたれましたが
ロゴマーク一つとってもデザインって隠れた物語があって面白ですよ

ロゴの由来だけを調べてもドキュメンタリー小説を読んでいる様な感覚で感心すらします。もし少しでもロゴに興味が湧きましたらみなさんもググってみてはどうでしょうか。

ちなみにお勧めの日本のロゴマークは
トヨタのエンブレム
新国立美術館
LOFT
無印良品
込められたストーリー面白いです。
そしてそれらをデザインした
上原昌、佐藤可士和、田中一光さんの他の作品も超一流です。

職場やクライアントとのお話のネタにもなりますし、ご自身が発注される作られる販促物の見方が変わります。
ぜひ、デザイン、アートに込められている物語をお楽しみください。
そしてその作品の向こうに物語が見えた時、あなたもすでにクリエーターなのです。デザインで大切なのは何を伝えるのかというコンセプト(物語)なのですから。


最後に

前段で自分の好都合のふるいにかけてに物事を判断するのが人間と述べました。そして自分の好みに合わないと否定しがちになると。

これはものづくりではとても不利な引っ掛かりとなります。

否定な感想を述べるだけは簡単なのですが次への一歩を生まず建設的でも生産的でもありません。
例えば事業を進める上でも自身の計画を遂行する上でも各方面の協力が必要となりますし、その時あなたが否定だけして意見を言った相手にマウンティングしているようではその人は目標を見失いその人の存在意義が見出せず愛想尽かされて離れて行き、いつまでも協力者は現れる事はないでしょう。
だから常に謙虚な気持ちを持ち続け様々な視点で万事を受け止め未来を予想する俯瞰した目が大切だと思います。

これは言葉では分かっていてもその時の体調やストレスで意思と体が違った判断行動をしてしまいがちです。が故に余計な事まで伝えてしまったり、大切な目的を上手く伝える事ができなく、見た目はよかったのだけど効果がないチラシやポスター、販促物を作り上げてしまう事があります。
お金と時間を費やして目標が達成できないのは勿体無いです。だから第三者の目を近くに置くと言う事は今の自分を映し出す鏡となり成功への道標となります。

ただ、商売を始めたばかりの時は資金も人でも足りず自身で営業経理広報をやられて大変かと思います。販促物を自分で作成しているいつ方もいらっしゃりします。
時間がいくらあっても足りずさらに、思った効果をあげられないというお悩みをお持ちの方の為に、チラシ、DMのグラフィックからTVドラマのオープニングの映像、WEBデザインとクリエイティブ業界を網羅してきたディレクターが、発注する製品の仕組みや工数値段の理由それらを踏まえて効果的な依頼の仕方を丁寧に助言するサービスを提供しておりますのでよろしければご検討ください。

最近の成果ですと、ボートレースのCMに出演する俳優さんと選手さんのYouTube用の対談動画を2本、既存の対談動画とは違う手法で編集しましたがその2本とも20万再生以上(サイト内平均再生数は2~3万回)を記録してそのチャンネルのべスト5に2本入っています(チャンネル/目指せ!ボートレーサー!!!)。



最後までお読み頂きありがとうございます。
ロゴのお話は今回で終了します。

次回からはチラシやDM、カタログなどのページ物のレイアウトに関してのルール・ヒント・テクニックを呟いていきますので興味がある方はフォローした上でお待ちください。
また、デザインで聞いてみたい事があればコメントを頂けると嬉しいです。

それではもう秋が近づいて来ています。
コロナ禍の季節の変わり目どうかお体ご自愛ください。

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