秘密保持契約、秘密保持条項のひな型でよくあるリスク

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法律・税務・士業全般
こんにちは。ファビスト行政書士事務所の久保です。
今回は秘密保持契約や契約書の秘密保持条項のひな型に含まれるよくあるリスクについて解説します。

1 事例1

第〇条(秘密保持)
 甲及び乙は、本契約に基づき相手方から開示された一切の情報(書面あるいは、口頭等、その開示の方法を問わない。以下「秘密情報」という。)を秘密として保持するものとし、相手方の書面による同意を得ることなく第三者に開示し、漏洩し、又は本契約を履行する目的以外に使用してはならない。ただし、次の各号の一に該当するものは、秘密情報から除外する。
⑴ 開示を受けた時点で、既に公知となっている情報
⑵ 開示を受けた後、情報の開示を受けた当事者(以下「被開示者」とい  
  う。)の責めに帰すべき事由によらずに公知となった情報
⑶ 被開示者が開示を受けた際に、既に自ら保有し、又は第三者から秘密保持 
  義務を負わずに適法に入手した情報
⑷ 被開示者が本契約の履行にかかわりなくかつ秘密情報にアクセスすること
  なく、自ら開発又は取得した情報

さて、この条項ですが、一見問題無さそうに見えます。では、どのようなリスクが潜んでいるのかについて解説します。
この条項では、「秘密情報」の定義が非常に広く、例外は⑴~⑷に該当する場合だけです。
相手方から受領した情報がこれらの例外に該当しない限り、例えば、監督官庁、裁判所に対する開示であっても、相手方の書面による同意を得ることなく開示した場合には相手方との秘密保持義務違反となり、損害賠償請求を受けるリスクが生じます。
また、仮に相手方の承諾が得られる見込みがあったとしても、監督官庁の検査などに先立って、書面による同意が得られるように交渉しなければならないといった手間が掛かってしまいます。
以上がこの条項に含まれるリスクです。

2 事例2

第〇条(秘密保持)
 甲及び乙は、本契約に基づき相手方から開示された一切の情報(書面あるいは、口頭等、その開示の方法を問わない。以下「秘密情報」という。)を秘密として保持するものとし、相手方の書面による同意を得ることなく第三者に開示し、漏洩し、又は本契約を履行する目的以外に使用してはならない。ただし、次の各号の一に該当するものは、秘密情報から除外する。
⑴ 開示を受けた時点で、既に公知となっている情報
⑵ 開示を受けた後、情報の開示を受けた当事者(以下「被開示者」とい  
  う。)の責めに帰すべき事由によらずに公知となった情報
⑶ 被開示者が開示を受けた際に、既に自ら保有し、又は第三者から秘密保持 
  義務を負わずに適法に入手した情報
⑷ 被開示者が本契約の履行にかかわりなくかつ秘密情報にアクセスすること
  なく、自ら開発又は取得した情報
⑸ 法令、政府機関、裁判所の命令により開示が義務付けられた情報

こちらの場合はどうでしょうか? ⑷までは事例1と全く同じですが、⑸が加わっています。⑸のような規定は、ネット上のひな型や市販のひな型集にも記載されている場合があります。
しかし、⑸のような規定があると、法令、政府機関、裁判所の命令により開示した場合に、当該情報が「秘密情報」の定義そのものから除外されてしまうと読めてしまいます。この場合、当該情報が秘密情報として扱われないというリスクが発生してしまいます。

3 対策

以上の事例1、2の条項でのリスクは、秘密保持条項が不十分であることから生じています。対策としては、事例2の⑸の規定を削除した上で、以下のような規定を設け、裁判所の命令や、法令等に基づき開示を要求された場合には例外的に開示が認められる旨の規定を追加することが考えられます。
規定例
1 省略 (事例1と同じ規定
2 前項にかかわらず、被開示者は、裁判所の命令、その他法令に基づき開示  
   を義務付けられた場合には、秘密情報を開示できるものとする。
3 前項により開示された秘密情報は、当該開示にかかわらず秘密情報として 
   扱われるものとする。

ネット上のひな型や市販のひな型集の秘密保持条項では、事例1、2で解説したようなリスクが含まれている場合があります。使用される際には、この点を留意して使用するようにしましょう。








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