はじめに
数学では、
「途中式をきちんと書きなさい。」
とよく言われます。
私自身も、多くの生徒に途中式を書くよう指導しています。
しかし実は、
「途中式を書かない=必ずダメ。」
とは思っていません。
実際の指導現場では、途中式を書かなくても高い正答率を維持している生徒さんもいます。
今回は、途中式について私が普段どのように考えているのかをお話ししたいと思います。
私が途中式を重視する一番の理由
私が途中式を書くよう指導する最大の理由は、
ミスを防ぐことです。
例えば、
* マイナスの付け忘れ。
* 分母を払うときの掛け忘れ。
* 分配法則の処理ミス。
* 数字や文字の見落とし。
こうしたミスは、頭の中だけで計算しようとすると起こりやすくなります。
一方で、途中式を書けば考える内容を紙の上に出すことができます。
すると、一つ一つの処理を目で確認できるため、ミスが起きにくくなります。
途中式を書く習慣で大きく伸びた生徒
実際に、途中式を書く習慣によって大きく成績を伸ばした生徒さんもいます。
以前指導していたある生徒さんは、私が担当する前(中1の1学期)はテストで30点台を取ることが多い状態でした。
計算問題でも間違いが多く、まともな途中式はほとんど書いていませんでした。
そこで私は、計算の考え方や問題パターンごとの解き方だけでなく、途中式を書く重要性についても繰り返し指導しました。
すると少しずつ途中式を丁寧に書く習慣が身につき、計算ミスも減っていきました。
そして指導開始から約1年後。
中学2年生最初の中間テストでは、計算問題が中心だったこともあり、点数は80点台を取ることができたのです。
もちろん成績向上の理由は途中式だけではありません。
計算方法の理解や演習の積み重ねも大きかったと思います。
それでも、途中式を書くことで頭の中の処理を整理し、ミスを減らせるようになったことは、大きな要因の一つだったと感じています。
(なお、ここでは計算問題の顕著な成果事例を紹介しましたが、他の単元がメインのテストでも少しずつ上がっています)
途中式を書かなくても解ける子もいる
一方で、全く別のタイプの生徒もいます。
頭の中で計算を進めることが得意で、途中式を書かなくても高い正答率を維持できる子です。
実際に私が指導している生徒の中にも、
途中式をほとんど書かないにもかかわらず、宿題でも授業でも高い正答率を維持している子がいます。
説明できないのに解ける子がいる
その生徒に、
「どうやって解いたの?」
と聞くことがあります。
ところが、うまく説明できないことが少なくありません。
最初は理解できていないのかと思いました。
しかし、その場でもう一度同じような問題を解いてもらうと、やはり正しく解けるのです。
つまり理解していないのではなく、
頭の中で反射的に処理できるくらい定着している状態なのだと思います。
自転車に乗れる人でも、
「どうやってバランスを取っているの?」
と聞かれると説明できないことがあります。
それと少し似ています。
それでも私は途中式を勧める
だからといって、途中式を書かなくていいとは考えていません。
普段は正しく解けていても、テスト本番では緊張や時間制限によって普段はしないミスをすることがあります。
そのような場面では、途中式を書いていた方が安全です。
私は、きちんと正解できる生徒に対しては
「途中式を書かなければいけない。」
とは言いません。
しかし、
「途中式を書いた方がミスは減りやすいよ。」
ということは必ず伝えています。
無理に直そうとはしない理由
それでも、途中式を書かない癖がなかなか直らない生徒もいます。
私はそのような場合、何度もしつこく注意することはありません。
もちろん途中式を書くメリットは説明します。
しかし本人が必要性を実感していない状態では、行動はなかなか変わらないからです。
もしテストで、
「途中式を書いていれば防げたミスだった。」
という経験をすると、本人の方から
「途中式を書いた方がいいかもしれない。」
と感じることがあります。
その経験の方が、私が何度も注意するより説得力がある場合も少なくありません。
大切なのは、その子に合った方法を見つけること
私が本当に見ているのは、途中式を書いているかどうかではありません。
大切なのは、安定して正しく解けるかどうかです。
途中式を書くことで伸びる子もいれば、
頭の中で処理する方が得意な子もいます。
だから私は、全員に同じやり方を押し付けることはしません。
その子の理解度や得意な考え方を見極めながら、一番力を発揮できる方法を一緒に考えるようにしています。
まとめ
途中式には、大きな意味があります。
私が考える最大の目的は、ミスを防ぐことです。
一方で、途中式を書かなくても高い正答率を維持できる生徒がいることも事実です。
だから私は、「途中式を書くこと」そのものを目的にはしていません。
大切なのは、その子が安定して正しく解ける方法を身につけることです。
数学の学習では、形式にこだわるのではなく、一人ひとりに合った学び方を見つけることが、成績向上への一番の近道だと私は考えています。