ほんとうにあったかもしれない怖い話『ダンボール』
記事
小説
仕事からのいつもの帰り道
電柱の前に不自然に
ダンボールが電灯に照らされていた
ダンボールを開けるのはこわいので
手を入れて運ぶ穴にライトを照らしながら
姿勢を低くして覗き込む
すると人間らしきモノと目が合う
生きているとは思えない表情だが瞬きをする
びっくりして後ろに倒れこむ
するとダンボールが
ガサガサと音を立てて近付いて来る
悲鳴にならない悲鳴をあげる
意識を失う
どれ位の時間が経ったのだろう
段々と明るくなって意識を取り戻す
目の前にはダンボールの手穴
どうやらダンボールの中にいるようだ
それから私は通行人を待ちながら
ダンボールの中で電灯に照らされている