1.実はほとんど読まれていない職務経歴書
あなたは採用担当者です。
先日募集した求人案件に対して、多くの方が応募され、あなたの机の上には50通を超える封筒が山積みされています。
中途採用は、新卒採用と違い、突発的に発生するわけですが、それだけが仕事ではありません。
通常の業務の他に、採用活動をしなければならない。
仮に今回の応募者が50名とすれば、50人の応募書類を読んで、面接対象者を選ぶ必要があります。
しかも、応募書類は個人情報の塊です。
もし紛失したら会社の信用問題にも関わることになります。
そのため、書類は一人の担当者が管理し、書類選考もその担当者が行う場合がほとんどです。
さて、あなたが担当者なら、これから50通の応募書類を一字一句丁寧に読み込むことができるでしょうか・・・
そうです。
一つ一つ丁寧に読みたくても、時間がなくて出来ないのが実情。
だから、ぱっと見て(読んでじゃないことに気付いてください)、ダメな書類(応募者)をふるい落としていくわけです。
よく「ふるいにかける」という言葉がありますが、まさにその状態です。
つまり、職務経歴書を細かく書いても読まれていないのが、現状なのです。
たとえば、1人の応募書類に10分掛けたとしたら、50人✕10分=500分。
約8.3時間掛かることになります。
それだけで、一日の業務になってしまう。
実際のところ、一人当たり3分から5分程度しか時間を掛けられません。
したがって、職務経歴書は、①3分程度で読めること、②その時間で経験内容とアピールポイントが伝わることが大切です。
2.職務経歴書の勘違い
転職活動において、職務経歴書は書類選考を通過するために欠かせない書類です。
あなたの情報は、送った書類しかありませんから、採用担当者はあなたの経歴やスキル、経験を職務経歴書から判断するため、その内容は非常に重要です。
職務経歴書により、これまでの職場でどのような仕事を担当し、どのような成果を上げてきたのかをアピールする必要がある。
そのため、多くの方が細かく仕事内容を記載されていますが、これまで述べてきたように、現実はほとんど職務経歴書が読まれていません。
よく出来た職務経歴書とは、①3分程度で読めること、②その時間で経験内容とアピールポイントが伝わること。
テレビのコマーシャルを思い出してください。
わずか30秒で、商品やサービスの特徴を説明し、視聴者が購入したくなるように作られている。
これを職務経歴書にも応用してみましょう。
3分間であなたの経歴とアピールポイントを伝えることで「直接会って話をしたい」「面接で詳しく聞きたい」となるわけです。
3.多くの人は情報量が多すぎる
これまで、ココナラに限らず、多くの方の職務経歴書を読ませて頂きました。
そこからいえることは、情報量が多すぎると思います。
とても3分では読みきれない。
たとえば、履歴書と職務経歴書の両方に、免許や資格、そして志望動機を記載されている方が、とても多くいらっしゃいます。
果たして、本当に両方に書く必要があるでしょうか?
以前、フォントサイズ10,5ポイントの文字の大きさで、A4用紙5枚にビッシリ書かれている職務経歴書を読んだことがあります。
一通り読むのに、17分掛かりました。
その感想は「結局、この人は何が言いたいのだろうか・・・」
多くの人は、なんとか書類選考が通りたいと思い、あれもこれもと情報を詰め込んでしまうので、結局何が言いたいのかわからなくなります。
したがって、反対に、①採用担当者に伝えたいことを絞り、②それを読みやすい文字の大きさで、③簡潔でわかりやすい内容にまとめて書かれた職務経歴書に、採用担当者は心が動きます。
詳細は、面接時に口頭で確認すれば良いからです。
「面接で伝えればよい事」まで職務経歴書に書いてしまうから、分量が増える。
しかも、履歴書と、職務経歴書の両方に、同じようなことを書いている。
これでは採用担当者に「要領が悪い人」と判断されてもしかたありません。
作詞家であり音楽プロデューサーとしても著名な秋元康さんの名言に「記憶に残る幕の内弁当はない」があります。
以下は、秋元康さんご自身がインタビューで語っていることです。
「だから、僕のヒット企画のポイントというのは、まず『記憶に残る幕の内弁当はない』ということ。これはもう一番ですね。」
「会議をやればやるほど、僕が、例えばこの1品で勝負しようと思っても、『いや、それじゃあ肉を食べられない人どうするんですか?』『お魚食べられない人どうするんですか?』ってどんどん増えて、結局は幕の内弁当になっちゃうと。」
「だからもう、1品でいいんだと。例えば、世の中に梅干しだけの日の丸弁当を出したいと。まさか世界一おいしい、梅干しだけの、白いご飯の日の丸弁当が出るわけないと思ってるところに出すから価値があると。」
あなたが伝えたいこと、言いたいことを極限まで絞ってみましょう。
それが、採用担当者の記憶に残り、書類選考を突破することになります。
4.記憶に残る職務経歴書とは
3分間で読めて、しかも記憶に残る職務経歴書。
それには、全体の構成がとても大切になります。
流れは①略歴、②職歴、③自己アピール。
この順番と、それぞれの分量がポイントです。
①最初に略歴を記載します。
どのような経験があるのか、ざっくり説明することで、次の『職歴』を読むための下準備が整います。
読書をするとき、いきなり本文を読むよりも、あらすじがわかっている方が、読みやすいし内容をつかみやすいでしょう。
だから、最初に略歴を記載することは非常に重要です。
ここは30秒で読めること。
②職務経歴
職務経歴書というくらいですから、職務経歴が大切です。
そもそも、これがないと職務経歴書とはいえませんね。
でも、3分で読み切れるようにするためには、1分30秒から2分以内にまとめること。
そのため、樹木で例えると、木の幹となる部分のみ記載する。
枝葉の部分は、面接時に説明すれば大丈夫です。
言い換えると、採用面接とは、応募書類作成に書かなかった部分を補足説明するものです。
枝葉だけではなく、なかには花や実まで記載する方もいますが、それが情報が増えてしまう一番の原因です。
伝えたいことが全部で「10」としたら、「5」まで削りましょう。
残りの「5」は面接時に口頭で伝える。
このメリハリが大切です。
③自己アピール
①の略歴でおおまかに全体像を把握して、次に②の職務経歴で担当してきた仕事内容を理解する。
ここまでは過去のことになります。
だからこそ、③の自己アピールが一番大切になる。
なぜなら、この自己アピールはこれからのこと、いわば入社後の抱負になるからです。
採用担当者は①の略歴、②の職務経歴から「この人は何が出来るのか」「これまでどんな経験をしてきたのか」を把握する。
そのうえで、これからこうしたいという意気込みや抱負が含まれる自己アピールを書くことで、「面接で詳しく話が聞きたい」「直接会って説明して欲しい」と思われるようになります。
この自己アピールですが、「会社に対してどのような貢献ができるのか」と、採用担当者の立場で考えてみましょう。
よく『志望動機』と『自己アピール』を混同している方がいらっしゃいます。
しかし、両者は全く違うもの。
志望動機は、
「なぜその会社を選んだのか」
「どうしてその仕事をしたいのか」
など理由や動機を記載するもの。
それに対して、自己アピールは
「私ならどのようにその会社へ貢献できるのか」
「どのような成果や実績をもたらすことができるか」
という貢献度を記載するものです。
最後の自己アピールを読む時間が、30秒から1分。
これで合計3分になります。
履歴書に2分、ここでは志望動機を重視します。
そして、職務経歴書は3分、合計5分になります。
全体の構成は①略歴、②職歴、③自己アピール。
それぞれの分量は、略歴:30秒、職歴:1分30秒から2分、自己アピール:30秒から1分。
私が作成している職務経歴書は、採用担当者の心理や心の動きを基にした構成になっています。
実は、これはセールスライティングの応用です。
私はキャリアコンサルタントになる前は、花王販売株式会社(現 花王カスタマー・マーケティング株式会社)に13年勤務して、法人営業をしていました。
ここで、消費者購買心理学、マーケティングスキル、セールス話法・商談技術、プレゼンテーションスキルを学びました。
その結果、私はこちらから売り込むのではなく、相手から「欲しい」「買いたい」と言われる営業活動を実施していました。
その経験とスキルを用いて、採用担当者の心を動かす応募書類の作成を提供させていただいています。
まとめ
・3分で読めるように、シンプルでわかりやすくまとめる
・分量は2~3枚程度
・文字の大きさは12ポイント
・略歴⇒職務経歴⇒自己アピールという構成にする
・詳細は面接時に口頭で伝える
なにより一番大切なことは、読み手である採用担当者の立場で考えること。
つまり、あなたが言いたいことを書くのではなく、採用担当者が知りたいことを書く。
これを意識するだけで、これまでとはまったく違う職務経歴書になります。