日当たりシミュレーションで解った日照改善3つの方法

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このところ多くの時間を「日当たりシミュレーション屋さん」をやって
過ごしております
様々な設計を日当たりの観点から拝見していて
「設計者があまり日当たりについては考えていないのだな」と感じることが
少なくありません

デザインや収納など住宅にたくさんのこだわりを持っているお客様も
日当たりに関しては設計者に伝え忘れているのだろうと感じること
もあります

例えば
・南側の建物の影の中に入るような配置になっている
・日が当たる南側に窓がない
・自己日影の影響が大きい
というような設計です
この反対をすると日当たりが良くなります

確認すると
1、建物を北に寄せて南側の建物の影から逃げる
2、日が当たる南側に窓を設ける
3、自己日影の少ない建物にする
この3点です


1、建物を北に寄せて南側の建物の影から逃げる

1-1、太陽の動きを知ろう

太陽の動きがどうなっているか
もう一度おさらいしてみましょう

・東から登って真南で一番高くなって西に沈む
ですね

緑の台形の部分をあなたの敷地とします
南側に総二階の家があります
その建物の影はどうなるでしょうか?
動画で実感してみてください

1-1-1、春秋分にはこんな感じです

・春秋分には太陽は真東から登って真西に沈む
・敷地の南側に影が出来る

1-1-2、夏至にはこんな感じ

・夏至の太陽は高い軌道
・真東より北から登って真西より北側に沈む
・日陰は短く隣家の足元にでき
 このケースでは敷地に入らない(東京、2.7m離隔、軒高7m)

1-1-3、冬至にはこんな感じです

・冬至の太陽は低い軌道
・真東より南から登って真西より南に沈む
・日陰は長く遠くまで届く
 1日中隣家の影になる


1-2、隣家の影の形1

春分に隣家が地面に落とす影を30分ごとに調べると
下の動画のようになります
時刻ごとの日影を重ねてみると
下のように両端の伸びた扇形のようになります

敷地日影図.jpg
(敷地内にダミーの小さな建物を入れてあるので少し形が乱れています)

1-3、隣家の影の形2

陰になる状況を立体的に見てみるとこんな表現になります
上の例よりも隣家が近いケースです
敷地とその上空を910mmの縦横高さのメッシュに切って
隣家の影になる時間ごとに色分けしています

日当たりナビ.jpg

影になる部分
影にならない部分が一目で解りますね

ここまでわかるとどこに建物を建てて
どこに窓を付ければ良いかもわかります

1-4、影の濃い部分を避けて家を建てると日当たりの良い家になる

上に書いてきたことから
日当たりの良い家にするためには
グレーの濃い部分を避けて建物や窓を作ることが大事です


2、南側に窓を付ける

当たり前すぎる話ですが
南側に窓が無いと南側からの日差しが入りません
南面に大きな窓を付けると日当たりの良い家になります

2-1、家族が日中に居る場所を南に配置

南側の日の当たる場所に窓を付けるためには
・第一にリビングやダイニングなど家族が日中に居る場所を南に配置する
・次に子供室や寝室などを配置する
・玄関や階段やトイレ、浴室、収納などでは窓を付けても仕方ありません
敷地や隣家の状況、間取りの関係上仕方ないこともありますが
日当たりの良い家の原則です

2-2、南側道路の日当たりの良い敷地の日当たりの悪い家

南側に道路があると南側の隣家の影の影響が少なく
敷地の日当たりが良いと言えます
気を付けなければいけないのは
駐車スペースの取り方によっては次に説明する自己日影が起きやすく
玄関が南側に来ることが多いという事です
2階の南面が寝室の場合プライバシーを意識しすぎると
日射取得のできない家になりかねません

3、自己日影を避ける

3-1、自己日影とは

下の図のように自分の建物の一部が他の部分の影になることを言います
コの字型やL字型などで建物の南面に凸凹がある場合
凸の部分
凹の底の部分に影を作ります

自己日影.gif

3-2、南側道路の日当たりの良い敷地の日当たりの悪い家その2

上で紹介したケースの3D動画です

3-2-1、プライバシー意識しすぎると日当たりが悪い

2階に寝室はプライバシーを意識して縦長スリットになっています
日射取得には難ありです

3-2-2、南面に凸凹があると自己日影が起きやすい

駐車スペースに面して設けた
大きな窓の日照に注目して見ると
大きく張り出した凸部分の影になって
ほとんど日が当たらないのが分かります

3-2-3、駐車スペースは道路と平行を検討すると良い

上記のような場合
・駐車スペースを道路と平行に設ける
・ビルトインガレージにして2階リビングを検討する
などの方法を提案しています

まとめ

日当たりの良い家は日当たりを意識して計画することから始まります
確認すると
1、建物を北に寄せて南側の建物の影から逃げる
2、日が当たる南側に窓を設ける
3、自己日影の少ない建物にする
この3点です
この3つの方法を生かした工夫をしてプランすると日当たりが改善します


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