男性が「悩みを話さない」3つの心理学的理由:あなたが責められているわけじゃない

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男性が黙る本当の理由


彼から連絡が来ない。

既読がつくのに、返信が来るまで2時間かかる。「最近、仕事どう?」と聞いても「まあ普通」で終わる。夜、隣にいるのに、何か抱えているのがわかるのに、聞いても「大丈夫」しか返ってこない。

もしかして嫌われた?それとも他に好きな人ができた?自分が何か悪いことをしたのかと、送ったメッセージを3回読み返す。

——でも、実は、これはあなたのせいじゃない。

たぶん。

これを言うと「そんな慰めはいらない」と思うかもしれない。でも、心理学的には、かなりまっとうな理由がある話だ。少し聞いてほしい。

製造業で働くケンジさん(40代)は、5年付き合ってきた彼女にこう言われたそうだ。「あなたって、いつも笑ってるけど、何も話してくれないよね。私、あなたのこと何も知らないのかもしれない」

ケンジさんには心当たりがあった。仕事で追い詰められていた時期も、部下との関係がうまくいかなかった時期も、「大丈夫」と言い続けた。弱音を吐くという発想が、そもそも頭に浮かばなかったという。

「言ってもしょうがない、という感じがしていたんです。心配かけたくないとかじゃなくて、なんか……言葉がなかった、という感じで」

これは彼が冷たい人間だから、ではない。

第1章:「男らしさ」は、小さいころから何度も練習させられた結果だ


男性が感情を話さないのは、「メンタルが強いから」でも「女性を信頼していないから」でもない。

もっとずっと前に、すでに起きていたことの話だ。

子どものころを思い出してほしい。男の子が泣くと「男のくせに」と言われた。傷ついたと言えば「そんなことくらいで」と返ってきた。弱さを見せれば、馬鹿にされるか、シカトされるか、心配をかけるか——そのどれかだった。

そういう経験を何百回、何千回と繰り返してきた。

「感情を出さない」というのは、強さじゃなくて、長年かけて身につけた生存戦略だ。脆弱な部分を見せないほうが、生き延びやすかったから。それを練習し続けてきた結果として、今があるのだ。

比喩で言うなら、こういうことだ。

利き手じゃない手でずっとハシを持ち続けてきた人に「なぜ不器用なんだ」と言っても意味がない。その人はその持ち方しか知らない。それが「普通」だと思っている。

だから、彼が話してくれないのは、「話したくない」のではなく、「話し方がわからない」か、「話すことが危険だと学習してきた」かのどちらかだ、ということになってくる。

これは、僕自身の話でもある。

製造業に入って5年目ごろ、朝5時半に出社して夜9時に帰るような生活が何年も続いていた。体重が10キロ近く落ちて、夜はお粥しか食べられない日が1年近く続いた。胃腸がどんどんおかしくなっていった。

それでも、誰にも言わなかった。

「仕事を失う=人生の終わり」という感覚が体に染み付いていたから。家族に心配させたくなかったから。それより前に、「こういうことは話すべきじゃない」と、どこかで学習していたから。

結局、話さなかった。

そのあいだずっと、「大丈夫?」と聞かれるたびに「大丈夫」と答えた。笑ってた。

話してほしかったとしたら、相手はどれだけ空振りし続けていただろうと、今になって思う。

じゃあ、どうすればよかったのか。

それを一言では説明できないのだけど、少し話を進めさせてほしい。

第2章:「話してくれた」人たちの、その後


ここ数年、さまざまな立場の人の話を聞く機会があった。

「彼氏が変わった」と言った人たちには、あるパターンがあった。

フミコさん(30代・会社員)は、パートナーが急に「職場でやっていけるか不安だ」と話してくれた日のことを覚えている。それまで3年間、彼は何も話さなかった。「その前の週に、私が何かを話したとき、彼が黙って聞いてくれたんです。あの対応が変わっていた」と言っていた。

具体的に何がどう変わったかは、彼女自身もうまく説明できていなかった。ただ、「責めるとか、解決しようとするとか、そういうんじゃなかった」とは言っていた。

話す側からすると、何かが「安全だ」と感じた瞬間があったんだと思う。その「安全」が何かは、ケースによって全然違う。

3か月後、彼は転職の話を自分から切り出した。給与は下がったが、表情が変わったとフミコさんは言っていた。「帰ってきたときの顔が違う」と。

サトシさん(50代・自営業)は、30代のころ、妻に「もう限界」と言えたことで、夫婦の関係が変わったと言っていた。それまで20年近く「俺がしっかりしなきゃ」で生きてきたそうだ。

「言えた理由は?」と聞くと「妻が、ある日から、解決しようとしなくなったから」と言っていた。

何かの「きっかけ」があったわけじゃない。ある日ふと「この人には話せる」と思った、そういう感覚があったらしい。

ただ、そのきっかけが何だったのかは、二人ともよくわからないまま今に至るとのことだった。

「パターン」みたいなものがどこかで変わったんだと思う。——それ以上のことは、ここでは言えないのだけど。

「でも、この人たちはたまたまうまくいっただけじゃないか」と思う方もいるかもしれない。

まあ、そうかもしれない。ただ、話せるようになった人たちには、何か共通したものがある気がする。それが何かは、一人では気づきにくいことが多い。

自分の目で自分の目を検査するのは難しい、というのと同じで。

第3章:「もっとオープンになって」という言葉が、逆効果になる理由


パートナーに「もっと話してほしい」と伝えている人は多い。

それ自体は、間違いじゃない。でも、言い方によっては、逆効果になることがある。

「なんで話してくれないの?」→ 男性の多くは「責められた」と感じる→ さらに黙る→「やっぱり話せない」が強化される。

これは、悪循環だ。しかも、誰も悪くない悪循環だ。

相手を変えようとするアプローチが、相手を「もっと変わりにくい方向」に押し込んでしまう——これは、意外とよくある構造だ。

それより厄介なのが、「話す気がないなら、もういい」という距離の取り方だ。

拒絶されるくらいなら話さない、という学習をしてきた男性に、「話さないなら離れる」という信号を送ると、何が起きるか。

話してこなかった理由が、もっと強化される。

僕自身、5年近く、一人でぐるぐるしていた時期がある。

本を何十冊も読んだ。自分で「気づいた」と思ったことも何度もあった。コミュニケーション教室に3年通って、年に40〜50万円かけた。半年後には、また同じところに戻っていた。お金と時間だけが消えていった。

「自分一人でなんとかしなきゃ」というのが、問題をずっと維持していたんだと、あとになってわかった。

一人で抱えている時間は、思っているより長くなる。

それは、僕が一番よく知っている。

このサービスで、僕にできることは限られている。医者じゃないから、薬を出すことはできない。話し合った全員がうまくいったわけでもない。途中でやめた人もいた。「相性が合わない」と感じさせてしまったこともある。

正直に言う。

ただ、「自分の状況を誰かに話す」というだけで、何かが動き始めることはある。50分、あなたのペースで話してもらう。相手を変えるための方法を授けるというより、今自分がどういう状況にいるのか、整理の手伝いができればと思っている。

この記事をここまで読んで、何か引っかかるものがあったなら——



一人で抱えてきた時間は、思っているより長くなる。僕は5年、そのループにいた。そのうち何年かは、向きがずれていた。


🙋 このブログを書いている人について
だいき|産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
会社員時代、職場の人間関係でメンタルが限界に。「このままではまずい」と一念発起し、コミュニケーションを学び直した経験が、産業カウンセラー・キャリアコンサルタントの資格取得につながりました。
恋愛・婚活でも7年間で88人とデートを重ねながら、うまくいかない時期が長く続きました。その苦しさを知っているからこそ、脳科学・進化心理学・愛着理論といった知識を「自分ごと」として学び続けてきました。
キャリアブレイクコミュニティでは160回以上のワークショップを主催。さまざまな悩みや状況を持つ方と向き合い続けてきた経験が、相談の土台になっています。
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